性癖をなんとかしてほしいんだよ
とりあえず、マーロさん達については納得した。
「我々は今後正式に婚約という形を取らせていただきます。後日家から使者を出しますね」
「サズドマ、貴様はどうするつもりだ?よもや、ミユキ様に恥をかかせるつもりではあるまいな!?お前のためにジョウオウサマにまでなると言ったのに!う、羨ましい!!」
ヘルマータ、最後本音がポロリしてるよ。それに関して、サズドマはどう思っているんだろうか。とても困って……鱗が出てる。この反応はもしや……?
「……サズドマ、照れてる?」
「フシャッ!?てててて照れてぬぇしィ!?」
「兄ちゃんが照れてる……」
「だーかーらー、照れてねェ!!」
声が裏返ってるし、鱗が出てるし……これは、間違いないわ。
「よかったわね、深雪。かなり脈アリよ」
「うんうん!みゆは〜、長期計画でサズドマをくどくの!たくさんおべんきょうして、サズドマを満足させるね」
うん、それ不安しかない。最終形態、SM的な意味の女王様だよね?
「……サズドマ、人の性癖をとやかく言いたくないけど……うちの娘をアブノーマルな世界に連れ込むのはやめてくれないかなぁ……」
お母さんは泣きそうです。なんとかならんか、サズドマよ。今からでも性癖をなんとかしてくれないだろうか。
「いや、そういうつもりは無いっつーかァ……あー……オレはミユキはそのまんまがいっかなと……思ったりぃ?まぁさぁ、オレぶっちゃけこんなナリだからぁ?まともなオンナはそもそも相手にしてくんないわけよぉ」
「何がだめなの?うろこ、キレイだしみゆは好きよ〜」
本気でわからない深雪は首を傾げる。そーいや、サズドマの鱗が赤ちゃん時代からお気に入りだったかもしれない。三つ子の魂百までってやつ??
「だからなァ、ミユキがこんなオレでいいってんなら夫でも何でも別にいい。もっと大人になっても、オレでいいなら結婚するかァ」
「わーい!……ど〜ゆ〜こと〜??」
サズドマらしい、とてもわかりにくい告白だ。
「深雪が大人になってもサズドマが大好きなら結婚してくれるって」
「やった〜!」
「女王様じゃなくて、今のままの深雪が好きだって」
「言ってねぇわ!!どぉせまともな結婚なんざできねぇから、気長に待つってだけだっつの!!」
サズドマは痛みで快感を得るようになったと聞いたけど、実際のところは……うん。試してみる価値はあるかも!
「深雪〜」
「ん?そうなの??やってみよ〜かな〜?女王様よりかんたんそう〜!サズドマ〜、ぎゅ〜!」
「フシャッ!?」
「ちゅ〜!好き好き〜なでなで〜」
「ヒメサマ!?アンタ娘にナニ吹き込んだァ!?」
顔がいまだかつてないほど鱗まみれなサズドマ。動揺しまくりである。
「え?サズドマは女王様よりデロデロに甘やかす嫁のほうが好きそうだよって」
「うおおおおおおい!??言ってねぇ!!そんなん、言ったことねぇわ!!」
「無いね。でも、効果は抜群だ」
その証拠に、深雪の拘束を解こうとしない。からかわれるとわかっていても、温もりを失うのが惜しいのだろう。
「やだ、サズドマったら……実はよしよしプレイがすきなんでちゅかー?」
「フシャッ!?」
ちょっとからかってみたら、すかさずカダルさんも乗ってきた。
「私としたことが……サズドマは女王様にいたぶられるよりかわいい嫁に愛されたかったのですね?」
「ちちちちちちちちちちちげぇぇぇぇし!!」
「いや、もう語るに落ちてるというか、サズドマわかりやすすぎ。ミユキ様ー、サズドマは甘やかして可愛がってくれる女の子が大好きみたいですよ!」
「ふぎゃーーーーーーーーーーー!!!」
シャザルくんがトドメをさした。サズドマは見たことないほど赤いウロコまみれの顔になって深雪を乗っけたまま泣きながら逃げた。
「あら、やりすぎちゃった」
「サズドマさん、いじりがいありそぉ☆これから楽しくなりそうだね!」
「兄ちゃんいいなぁ……」
大変カオスではありますが、娘は女王様にならずに済みそうで……母はホッとしました。
実は愛されたかった系なサズドマ。
そこそこ不憫なので、甘やかされると弱いんです。