娘が国を傾けそうだよ
ここにきて出てきた魔王問題。結界は何故効かなかったのだろうか。そして、魔王はどこへ行ったのか。
「おそらく、ではあるが宿主を隠れ蓑にしたか……魔力ヨッッワイから感知できなかったかだな」
前者はともかく、後者はあり得るのだろうか。魔力がヨッッワイ魔王ってどうなのよ。ピヨ魔王とカモノ魔王は後者じゃないかと言っている。それ、どうやって見つけるのさ……。相手が事件を起こすまで待つしかない??うう……仕方ないかなぁ。
「とりあえず、ババアの警備を厳重にすべきかな」
ババアフラグの回収は全力で回避したい。
「そうだな。すぐに通達しよう。じい……はまだフェロモンが抜けきらないのか。俺が行くのが一番早いだろうな。行ってくる」
言うが早いか、ケビンは狼になって駆けていった。獣人の方がフェロモンは効果が高いのか、じいはまだメロメロだ。カダルさんはほぼ正気……?
「深雪の能力はフェロモンだって話だけど……具体的にはどんな力なの?」
「んーとね、好きな人をメロメロにするよ。好きじゃない人もメロメロにできるよ。みゆねー、マーロとメルお兄ちゃんとヘルマータとも結婚するの」
何故深雪は重婚する気満々なのだろうか。この国の制度としては深雪のほうが普通なのだろうけど、私個人としては違和感が強い。
「そうしたら、いつかママが死んでも、みゆがせつや妹達を守れるもの。マーロとメルお兄ちゃんとヘルマータがみゆの旦那様になったら、当然みゆの家族も守ってくれるよね?」
「もちろんです」
「全力で守るね。まあ、夫でなくとも守るけど……立場としてそのほうが動きやすいかな☆」
「我が忠誠と愛は、ミユキ様に捧げます」
マーロさんとメル君もメロメロ……ではなさそう。ヘルマータは微妙にまだフェロモン効果があるのではないだろうか。そもそもロリコンだったから深雪が性癖にストライクなのだろうか。わからん。
「ええと……つまり、マーロさんとメル君とヘルマータを防波堤に??」
三大公爵家を婿にして、他の姉妹の防波堤にすると??
「私とミユキ様はそういう契約をする予定ですねぇ」
「メルはミユキ様が好きだからー、もう少し大きくなったらミユキ様を口説いてメロメロにしちゃう予定だよ!ミユキ様はメルも大好きだよね?」
「私は真実の愛に目覚めました」
「マーロもメルお兄ちゃんもヘルマータもだーいすき!」
深雪が無理をしている様子もないが、これ大丈夫なんだろうか??まあ、娘が幸せならいい……のかな??
「ママ、深雪はこういう性質だから諦めて」
「みゆ、はーれむつくるんだってー」
「うん?」
さっきから情報量が多すぎて、ママは頭がパンクしそうだよ??
「まあ、ミユキ様の判断は至極妥当ですよ。姫様も騎士団長殿も永遠に生きられるわけではないのですから、権力はあった方が良いです。私なんかはこれでお見合い地獄から抜けられるんです。ミユキ様は私の救世主ですよ。女のご機嫌を損ねず断るのって辛いんですよ……」
マーロさんが遠い目になった。マーロさんとはそういうギブアンドテイクな関係なわけね。そこは納得した。
「メルは今のお仕事続けたいけどさぁ、メル可愛いじゃん?メルと結婚したいお姉さん、そこそこいるのね。でも、ミユキ様なら万事解決!角も立たず、お姉さん達が余計な血も流さない!」
「流血沙汰になりそうな状況だったわけ??」
「メルみたいな極上のなびかない美少年が欲しいお姉さんなんてぇ、プライドが高いに決まってるじゃん?メルを知ってるのは大抵上位貴族だし。メル、公爵家の秘蔵っ子だから☆」
テヘペロも完璧に可愛いメル君。私ったらそんな秘蔵っ子を働かせていたのか。そういや、お茶会なんかでメル君が私というか我が家の専属と聞いて羨ましがる女性が結構居たな……。
「姫様、以前姫様を愛していた気持ちに嘘偽りはありません。ですが、私はついに真実の愛を見つけたのです。必ずや、ミユキ様を幸せにします。どうか、ミユキ様の夫として認めてください!!」
メル君を見つめていたら、ヘルマータがひざまずいて本気の娘さんをくださいをかましてきた。
「決めるのは本人なので私が口出しできる問題ではないと思いますが……あんた、深雪が大人になっても愛せるの?」
「はい。先ほどの成長した姿も今の愛らしい姿も良いと思いますが?」
何故そんな事を聞かれるのかと首を傾げるヘルマータ。んん?ヘルマータって……もしやロリコンではないの!?
「ヘルマータ、オマエってロリコンじゃなかったっけ?」
サズドマがノーオブラートでぶっこんできた。よくやった、サズドマ!ナイスだサズドマ!!
「ろり……私もそうだと思っていたのだが、別に見た目が幼くなくとも平気らしい。要は、心根が醜い女性が嫌だっただけだ。子供の頃は、流石にそこまで女性達も邪悪じゃないからな……」
過去のヘルマータに何があったかは知らないが、本人なりに深雪を愛しているのはよくわかった。
「とりあえず、荒ぶるケビンを前に同じ事を言えたら許可するよ」
「はっ!!必ずや団長様からも許可をいただきます」
半ば冗談だったが、本気の返事が返ってきた。えええ……ちょっと嫁入りは早すぎやしないだろうか。そして、三公爵家の婿って……国をほぼ掌握しちゃってないだろうか。
傾国の天然美少女、深雪たん。
雪那は雪那で、深雪みたいな可愛げがないのがコンプレックスです。
カクヨムにも悪なりを連載することにしました。
ついでに限定で別の新しい連載も載せてます。ぜひ見に来てくださいませー