なんだか固まってたよ
とりあえず、ひよこ的な元魔王をプクプク君に作ってもらった鳥籠に入れた。ひよこの下に、美しいルビー的な石があった。
「ん?コレ何??」
ものすごく強い魔力を感じる。プテラノ的魔王と魔力波長が似てるね。というか、これが本体なのかな??必死で魔王だったひよこが鳥籠の中で暴れている。大事な物らしい。
「これは、恐らく魔宝玉だな。魔王の力の源だ。これを使った兵器もかつては存在したらしい
「へー」
たしかにこの石なら、兵器ぐらい簡単に作れそうだわ。強い魔力を感じる。魔法無効のアミュレットとかいいかも。軍事利用よりは、国を守る結界とか……ありなんじゃないかな?
「これがあれば、魔王討伐の証となるだろう。場合によっては陛下へ献上せねばならないが……いいだろうか?」
「ケビンが倒したんだし、かまわないよ。コング達はバナナのほうがいいだろうし」
コング達をちらっと見たら、めっちゃ頷いていた。異世界バナナには中毒性があるのか、本気で心配になってくる。魔宝玉はケビンに預けて、カルディアに帰還した。
まず、コング達にたくさんのバナナを与え、バナナ祭りを開催させた。私もチョコバナナ食べたい。コング達は狂ったように踊り、歌い、バナナを讃えていた。よかったね。小作人の方々がドン引きしていたが……まあ良しとしよう。
次に、自宅へ無事を伝えてから城に報告へ向かった。すぐに謁見の間へ通された。
「よくぞ無事で戻った!」
「セッカ!ケガはないか!?人質を取るとは……許せん!!卑怯なタイタンめ!私が成敗してくれるわ!!」
予想外に国王夫妻はお怒りであった。なだめるのが大変だった。なんだかんだで他国に友人もできたし、今後を考えたら結果的にはよかったと言えなくもない。いや、もうケビン欠乏症はごめんだ。次はケビンも連れてく!
ある程度は報告がされていたようでタイタンの件はスムーズに進み、さっきの魔王(笑)についての話となった。ケビンが討伐の証拠として魔宝玉を出した。
「………確かに、強い魔力だが……賢者殿を呼べ!」
流石に陛下も魔王(笑)でちゃいました☆はなかなか信じられないらしい。私からしても、ちょっとお強い魔物じゃないって感じだったしなー。
呼ばれた賢者のじいさまはとても面倒くさそうにしていたが、魔宝玉を見た途端に瞳を輝かせた。
「これは………まさか伝説の魔宝玉!?」
流石は老いても賢者……一目で魔宝玉だと見抜いた。まるで、ガムプラを目の前にした少年のようにキラキラした瞳で魔宝玉を見つめている。
「………お主の目から見ても、それは魔宝玉であるか」
「はい!間違いございません!魔物からはここまで純度の高いものは………」
そこで、賢者は気がついた。これが魔宝玉だとして、討伐したのが誰なのかを。めっちゃこっちを見てる。いや、違う。私じゃない。ケビンが殺った!
「むう………となれば、これからさらなる魔王が出現する………ということになりますな」
「へ?」
「えっへん!説明してあげるよ!」
ピエトロ君によれば、これはこの世界の自浄作用。たまった悪意や怨念が一定を越えると、それが結晶化して魔王が現れるのだとか。あの魔王(笑)が大したことなかったのは、生れたてだったから。悪意を吸い、魔王は育っていく。そして時に魔王同士で争い、喰い合うのだ。魔王を倒せば浄化されるので、魔宝玉は問題なく使用できるんだって。何かに強い恨みを持つものや魔物が魔王になりやすいそうな。
「なるほどー?なら、魔王狩りしよっか」
何故か全員が硬直した。
「雪花、何故か聞いてもいいか?」
ケビンが硬直から復活して聞いてきた。
「いや、単純な話だよ。強くなりすぎて手におえなくなる前に倒しちゃえばいいんじゃないかなって」
「流石は雪花だな!」
「その理論で行くと、ババアが魔王になりそーだし」
またしても、全員が硬直した。なんか変なこと言った?あ、存在自体を亡きものにしてたのかな?
「雪花……流石は雪花だ!俺はそこまで考えていなかった!いかに犠牲を出さず魔王を討伐するかを考えていただけだ!」
流石は騎士団長。難しい顔をしているなと思ったら、そんなことを考えていたわけね。
「そうなの?陛下、対策としてこの魔宝玉は賢者様に渡していいですか?国全体を覆って浄化する結界と、悪意あるモノを入れなくする結界、よろしくお願いしまーす」
「それは魔力が……いや、魔宝玉なら可能じゃ!早速作ってくるぞ!!」
賢者は陛下の返事を待たずに魔宝玉を持って行ってしまった。陛下は苦笑しているが、止めようとしていないのでオッケーということなのだろう。
「では、私とケビンで魔王を一斉駆除してきます」
またしても全員が硬直した。あれ?おかしな事言った?
「雪花、危険だ!俺はともかく、雪花を連れて行くわけにはいかない!!」
「私がいれば、移動手段に困らない。姫勇者特権で、他国フリーパス。自衛できるし、何より聖なるバナナという魔王専用の兵器が使える」
聖なるバナナはピエトロ君に守られてる私以外が触ると電撃でやられてしまうのだ。つまり、聖なるバナナは私とピエトロ君専用の兵器なのであーる!さらに、威力は魔王(笑)で実証済み。
「……………絶対に俺から離れないでくれ」
「言われなくとも!そもそもケビン欠乏症が再発するより、一緒にいたい!!」
とはいえ、子供達と長期間離れるのも避けたい。なので、連続討伐してしまおう!魔王もパワーアップできないし、いいことづくめだね!
お供確定なサズドマとシャザル君が遠い目をしていたが、見なかったことにした。
バナナの快進撃は続く……!
バナナよ、永遠なれ!!