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普段温厚な人のガチギレは怖いんだよ

 私は氷の竜の腕から胸に移動させられた。胸部分は空洞で、中には変態(ロリコン)が居た。


「い、嫌!触るな!!」


「契約執行!!」


 契約書から現れた使い魔君が電撃を変態(ロリコン)に与えたが、あまりダメージはないらしい。しかし使い魔君が結界でくるんでくれたので触られなかった。


「姫様!」


「ヒメサマ!」


「おいこら、お前責任者だろ!なんとかしろよ!」


「負けたあげくに異界の姫様をさらうだなんて、どう始末をつけるんですか?」


 おっさんとサズドマが助けてくれようとしている。

 オレンジ頭とガウディさんは近衛騎士団長に説得させようとしているのだろう。


「敗けを認めろ!姫様を困らせるな!」

「ヒメサマを返せ!バーカバーカ!!」

「ヘルマータ、や、やめなさい!」

「無駄な抵抗はやめなさい!」

「姫様を返せば今なら洒落ですむかもしれんぞ~」


「うるさい、うるさいうるさいうるさいうるさいぃぃぃ!!!」


 氷の竜がメチャクチャに暴れだした。


「逃げてぇぇ!」


 おっさん達は氷の竜の尻尾に皆はね飛ばされた。私が咄嗟に展開したトランポリンタイプの結界と、それぞれ受け身をとったおかげで皆大ケガはしていないようだ。客席の方はどうにか結界が間に合った。


 でも、でもさ?下手したら、今のは即死だよね?



 ぷちり、と確かに私のなかで何かが切れた。


本来の姿になる。魔力がもったいないからだ。ちなみに最近着ている服や下着はちゃんとサイズが合うように魔法がかかっているから問題ない。

 魔力を掌に集めていく。たくさんお手本を見たから、大丈夫。きっととても上手にできるよ。





「ふっっざけんなああああああ!!」





 私渾身の魔力と怒りをこめた右ストレートが変態(ロリコン)に炸裂した。身体強化により威力は格段に上がり、変態(ロリコン)は綺麗に弧を描いて地面に落ちた。一応死なないよう地面にトランポリンタイプの結界は出してあげた。前歯が数本折れたらしい。何やら呻いている。


「お前、ふざけんなよ!?全員に謝れ!!」


 変態(ロリコン)を足蹴にして私は怒鳴りつけた。


「ヒイッ!?」


「アレも止めろ!」


 氷の竜を指差した。変態(ロリコン)はすっかり怯えきっている。


「あ…アレはもう暴走してて…止められません……さ、さっきまではコントロールしていましたが…今はもう制御不能になってます…」


『はああ!?』


 全員が変態(ロリコン)の言葉に驚愕した。


「あああアレは最強の氷魔法で…は、暴走したら最後、動くものがなくなるまで暴れます……」


「自分で止められない魔法なんか使うんじゃない!」


 この時、私はキレていた。ゆえに、正常な思考ができなくなっていた。


「ふ、ふふふふ……最強とはいえ所詮は氷…お前なんか………お前なんか、かき氷にしてくれるわ!!」


 キレていた私は、暴走していた。


「ひ、姫様!?」


「カモン、ペンギンかき氷器!!」


『コケコッコ~イ!!』


 私の魔力が結晶化し、巨大なペンギンかき氷器が出現した。ツッコミどころが満載だが、キレていた私は全く気にならなかった。


「やっておしまい!」


『コケコッコ~イ!!』


 ペンギンかき氷器さんはお腹に氷の竜の頭を突っこんで固定し、ガリガリ削って口からかき氷を吐き出した。ハンドルは自動で高速回転している。ひたすらにペンギンかき氷器さんの腹でガリガリ削られていく氷の竜。


「あーははははははは!」


 高笑いする私。ざまあみろ!おっさん達を傷つける奴は私が滅ぼしてくれるわ!!


「あ、あばばばば…」


 最強魔法を粉々にされて唖然呆然の変態(ロリコン)


「きゅぅぅん…」

「ヒメサマ、こえ~」

「うあ…」

「うおぉ…」


 そして怯える大多数。

 後で知ったけどかき氷器を知らない異世界人からしてみたら、氷の竜を粉砕する未知の拷問というか処刑器具に見えたらしい。




 そりゃ怖いわ!




 しかし、そんな私に話しかけた勇者がいた。おっさんである。


「姫様は、何故そんなにお怒りなのですか?」


「そんなの、大事なおっさんやサズドマや…騎士さん達…私の大切な人達を傷つけたからです!私の大切な人達を傷つける奴は、私が許しません!!」


「あ、アオーン!!」


「ふしゅうう…………」


「ぐうう…………」


「にゃおーん!」

「ぱおーん!!」

「きしゃああああ!」



「…………ナニコレ。姫様は本当に連打するなぁ……」






 私がやや冷静になって周りを改めて見てみたら…おっさんも含めた騎士達が悶え、近衛騎士と観客はドン引きして怯えていた。




 どうしてこうなった。





「あ、おっさん。ご褒美」


「え」


 丁度おっさんはしゃがんで見悶えていたので、私もかがんでキスをした。んー、でもほっぺだけ?婚約もするんだし…もーちょいサービスしてもいいよね?


「ちょっ!?姫様!??んむう!??んんんんん!??」


 ちゅっ、ちゅっと頬、額、耳、瞼にキスをして…最後に唇を塞いだ。ちょっと唇を舐めた。


「………………ん?」


 おっさんは、全身を赤く染めて白目をむいていた。


「おっさぁぁぁん!?」


「ヒメサマ、ヤりすぎぃ」


「ですよね!サーセン!!」


 ビックリし過ぎてまたちっちゃくなっていた。おっさんは、その日目覚めなかった。翌日は普通に仕事してたらしい。


 それから、異界の姫は怒らせると恐ろしいという噂があっという間に広まった。まあ、やらかしちゃったから仕方ないよね。

 ただ、別によほどの事をされなきゃそうそうキレないから、ぶつかっただけで『ヒッ』とか言うのはやめてほしいな。……わりと傷つくから。

 雪花さん、今回の結果(笑)


 一般人➡怖い姫様

 騎士団➡忠誠が上がった

 近衛騎士➡超怖い姫様



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