表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
173/241

予想外だったよ

 ケビンと貴賓室で観劇したのだが………面白かった。なんか悔しい。これで元ネタが自分じゃなかったら、もっと良かった。ケビンがラブシーンになるとチラッチラッとこっちを見てきたので、私も役者さんを真似て愛を囁いてあげた。叫ばれるとまた注目を集めちゃうので、逃亡できないよう膝に乗ってキスで塞いだ。うん、満足。ちゃっかりまだ膝に乗っていたりする。ケビンの心音がめっちゃ速くて嬉しい。このままイチャイチャしたいな~。


「その………雪花が可愛かったな」


「あ、うん。私より可愛かったね」

「そんなことはない!俺の雪花は世界一可愛い!可愛くて綺麗で妖艶で……賢くて可愛くて勇敢で……世界一可愛い!!」


 やたら可愛いと言ってくるが、可愛いのはケビンである。ちょっとからかうと生娘のような反応をするし、甘えん坊だ。体格がいいのに可愛い、奇跡の生き物なのだ。今まさにモジモジしていて可愛いのだ。


「私にとって世界一可愛いのはケビンだけどね。頼もしくて、勇敢で、強くて優しくて可愛くてモフモフで頭もよくて可愛くて可愛くて可愛くて死ぬほど甘やかして私がいなきゃダメだと言わせたいぐらい可愛い。もう拉致監禁したいぐらい可愛い」


 ケビンを眺めて弄り倒し続けたい。きっと、一生飽きないだろうな。


「………もう、雪花がいない人生が想像できないぞ。雪花が居なくては、生きていけない。死が二人を別つまで……側にいてほしい」


 うおおおお!無意識イケボはやめれえええ!!ケビンが好き過ぎて辛い!


「もちろんだよ!長生きして老衰でポックリ逝こうね!」


「それは………とてつもなく幸せな最期だな」


 そんな幸せ老後ライフのためにも、今頑張らなきゃね。でも、この瞬間はケビンに甘えて英気を養うのだ。


 劇は、やはりラトビアちゃんが原作だった。タイトルからそんな気はしていたよ。副題をつけるなら『私対オバハン』だった。ラトビアちゃんも姫君の優しさにより改心する悪役令嬢(後半は味方のちょい役)として出ていた。あれ、解るひとには解るよ?ラトビアちゃん的にはいいんだろうか。後に本人から、物語のスパイスになれて本望ですわと聞いた。ラトビアちゃん的にはいいらしい。

 オバハン……元側妃は、悪の親玉としてラスボス立ち位置にいた。ほぼ実話だった。誰だ!?ラトビアちゃんに情報をリークしやがったのは……副団長様だな!間違いない!職権乱用か!?いや、名前は伏せてるからセーフ?見る人が見ればわかるけどね。


「こんにちわぁ~」


 貴賓室にカマータさんが乱入してきた。ノックぐらいはしようよ。お取り込み中だったらどうするのさ。まあ、こんな場所ではいたさないけど………多分。


「あ」

「!??」


 ケビンが慌てて私を膝からおろした。照れ屋さんなとこも可愛いなあ。私は別に膝に座っててもよかったのに。

 ちびっ子時代に散々乗っていたので、まったく気にならなくなってしまった。カムバック、羞恥心!カムバック、奥ゆかしき日本魂。恥じらい大事。ケビンは私より圧倒的に乙女力が高いよね。


「ああん、ラブラブね!羨ましいわぁぁ!どう?どう!?今話題の最新作!!聖母のごとき姫君……ああん、次が今から楽しみだわ!!」


「そうだな、素晴らしかった!だが、まだ雪花の魅力を伝えきれていない!少々美化しすぎだ。雪花最大の魅力は、差別をしない所だ。雪花は人族も獣人も差別せず、普通に接している。獣人だって気にしないんじゃない。雪花はそもそも区別をしていないんだ。魔物すらも従えたぐらいだ」


「そのネタ、いただきね!というか、詳しく!!」


 このままでは、次回作が決定してしまう!考えるのよ、雪花!


「次回作は、私がシナリオを書きます」


「くぅん?いいのか?」

「あらん!本当に!?」


 ラトビアちゃんも、たまには己が題材になる苦しみを味わったらいいと思う!


「はい。今回の続編として、ちょい役悪役令嬢を主人公にします」


「うんうん!それで?」


「悪役令嬢は改心する前、美しい獣人の副団長様に高圧的な態度で接します。当然、相手にしない副団長様。怒る悪役令嬢。まあ、ここまではよくある話ですよね?」


「ええ、ありきたりだわ」


 カマータさんは頷く。この世界、女性は迷惑が当たり前なのだ。


「しかし、悪役令嬢は改心しています。さらには、姫君の恋を積極的に支援するようになりました。敬愛する団長の恋を支援する悪役令嬢に興味をもった副団長様。しかし、彼は彼女が以前迷惑をかけたご令嬢とは知らないのです」

「イイ!!イイわ!アリよ!!ファンタスティック!!」


 いや、まだ続きはあるんだよ?


「ご令嬢の中には、まだ恋心がありました。何も知らずに好意を寄せる副団長様。知られたら嫌われるのではと怯えるご令嬢……何故彼女は応えてくれない?応えたいけど知られたら嫌われるかもしれない………そんな二人の恋の行方は、いかに………みたいな」


「キィィヤアアアアアアアアアアアアア!!イケる!イケるわ!!というか、合作にしない!?イマジネーションが湧いてきたわ!噴き出してきたわ!キタキタキタキタ!!キタターボでスプラァァアッシュ!!」


 とりあえず、なにかが湧いてきたらしい。まあ、別に書きたいわけじゃないからカマータさんにお任せした。後日、ラトビアちゃんから苦情が来たのは言うまでもない。ちなみに副団長様はまんざらでもない感じだった。ちょっと意外。

当然悪役令嬢のお話も大ヒットしました(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ