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子供達の成長なんだよ

 しばし雪那をかまいまくり、そういやおやつ作りが途中だったことに気がついた。

 今日のおやつは、計画に必要な先行投資……すなわち、賄賂なのである。ちなみに白玉ミニフルーツパフェを作ってます。フルーツは飾り切りも終わっている。時間停止の魔法を刻んだ冷蔵庫バンザイ。


 後は白玉をこねて丸めて茹でて冷やし、盛りつけるだけ。


「ママ、てつだうわ」


「俺も何か出来ることある?」


 雪那とシロウ君が手伝いを申し出てくれたので、遠慮なく白玉作りを手伝ってもらった。


「ママ、みて!」


「わ、可愛い!」


 雪那は手先が器用らしく、猫や犬(後に狼と判明)や馬、兎の白玉を作っていた。よく見たら、家族全員を作ったらしい。食べるのが勿体ないな。逆にシロウ君は……


「セツ姉………ごめん。これ、難しい」


 丸めてくれているのだが大きさが揃わない。ちょっと不器用らしい。雪那みたいなのに挑戦したが前衛アートと化している白玉もあった。


「ワタチがてつだうわ。おおきちゃはちょろえたかや、きえいにまゆめてね」


 シロウ君、今度は綺麗な白玉を作れました。めっちゃ嬉しそうに尻尾をパタパタさせてて可愛い。



 白玉の形ができたので、茹でて~、魔法で冷まして~、レッツデコレーション!


「せっかくだから、自分達のは自分でやってみたら?」


 幸い、生クリーム絞るやつは予備があるし。雪那とシロウ君は頷いて自分達の分のデコレーションをすることになった。

 私はひたすらミニ白玉フルーツパフェを量産していく。もはや作業である。


「ママ、みて!」


「雪那すごいねぇ!」


 プロ顔負けのデコレーションではないだろうか。クリームで花を作ったり、バランスもいい。お店に出せちゃいそうな、可愛らしい白玉フルーツパフェだ。


「…………セツ姉、これはどうしたら……」


「とりあえず、失敗した奴は食べる」


「僕、食べてあげるよぅ!」

「同じく」


 失敗したクリームはプクプク君とピエトロ君が食べてくれた。多分食べたかっただけだな。何度か失敗したもののコツをつかんだらしく、シロウ君の白玉フルーツパフェも綺麗にできていた。しかし、シロウ君のにしては小さいような?


「先に食べてていいよ~」


「いや、皆で食いたい。セツナ、皆を探すのを手伝ってくれ」


「あい。ママ、むいちたらダメよ」


「はーい」




 雪那が探知魔法を展開したのだが………。


「なんでこんなとこにいゆの!?いつのまにいどうちたの!??」


 なんとケビン達は魔物がたくさんいる森にいた。どうも何かを囲んでいるっぽい。


「狩りかな?走れば俺も間に合うかなあ」


 シロウ君も参加したいらしい。んん…走るよりはペンダントで転移した方が早い。でも雪那をどうしよう。連れていくのも置いていくのもちょっと不安。


「姫様、ご息女達の事はこのカダルにお任せください!」


 どこからともなく現れたカダルさん。最近のカダルさんは深雪のお世話のスペシャリストとして皆から認められている。そのせいか、最近やたらはりきってイキイキしている。

 シャザル君とサズドマから『キモい』とか『子供の教育に存在自体がよくない』とか言われてたけど、意外なことに普通に可愛がって…いや、カダルさんはおちょくったりはするものの、ちゃんと仕事をするタイプだから意外ではないね。

 もちろんシャザル君とサズドマは言ったあとカダルさんに捕獲されてどこかへ連れていかれた。その後姿をみていない。強く生きてくれ。


「じいもおります。ミユキお嬢様のお世話はまだ不馴れでございますが、セツナお嬢様は命に代えましてもじいがお世話させていただきます」


「だめ」


「お嬢様!?」


 じいがショックのあまりに羽根を出して丸くなって泣いた。気にした様子もなく、じいによしよしする雪那。


「……じいがしんだら、かなしいから、だめ」


 舌足らずにならないよう、ゆっくりと話しかけた。


「お嬢様ああああああ!!」


「じいは、じいはお嬢様が大好きですぞおおお!!」


「ちってゆ。ワタチもじいがだいちゅきよ」


「お嬢様ああああああ!!じいは、じいはああああああ!!」


 じい、大号泣。雪那がよしよしして鼻をかませ……これ、逆じゃないだろうか。雪那が面倒みてる気がする。


「えっと……ではお二人に任せますね」


「「はい」」


 転移する瞬間、シロウ君がちょっとふてくされていたのに気がついた。

 いきなり戦場に転移するのは嫌だったので、近くの生き物がいない場所に転移した。


「シロウ君、雪那の一番はシロウ君だと思いますよ」


「!??な、ば!ちが!違うから!別にそんな!ああもう、くっそおおお!」


「あ」


 シロウ君が走り去ってしまった。まあ、シロウ君は匂いで皆の位置がわかるはずだし、大丈夫かな。私もいざとなったらケビンのとこに転移するし、問題なし。


 そういえば、こんな風に一人で森を歩くのはここに来た初日以来だなぁ。

 あの日からのたくさんの変化を思い、少しだけ笑った。

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