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本当の役目を知ったよ

 いつものように子供達を寝かしつけ、ケビンとイチャイチャしまくって寝たというか気絶した……はず。


 私はスーツ姿になっていた。足は自然と自宅に向かう。コンビニ、自動販売機…なんだか、懐かしい。


 狭いながらも居心地のいい我が家には、先客がいた。そんな気はしてたんだよね~。


「……ミスティア」


「こんばんは!貴女って、本当にすごいわ!」


 絶世の美女に誉められるのは悪い気がしないが…それよりも美女の隣にいる狂っぽーが気になって仕方ない。存在感がとんでもない。


「ポッポちゃんです」


 鳩マスクだからか知らないが、変態マッチョ鳩マスクに対して可愛すぎる名前だなぁ…。狂っぽーで充分だよ。


「ポッポちゃんです」


「人の心を読むな、この狂っぽーが」


「ポッポちゃんです」


 メンタル強いな、狂っぽー!だが、私は負けない!なんとなく負けたくない!


「…ポッポ、小さくなりなさい。ロザリンドもその姿は最初嫌がっていたでしょう?」


「……仕方ありませんね。今回の勇者様はゴリマッチョとモフモフを好むというのでこの姿になりましたが「待て。私がその姿を望んだみたいに言うな」


 確かにゴリマッチョもモフモフも大好きだが、全身白タイツの鳩マスクは好まない。断じて望んでない。むしろ嫌だ。


「………なったのですが、仕方ありませんね」


 狂っぽーは可愛らしい文鳥になった。騙されてはいけない。これは狂っぽーだ。首をかしげる姿がぷりちー…………………いかんいかん!これは狂っぽーなんだってば!!


「…ミスティアは隣にあんな存在感がとんでもない奴が居て平気なわけ?」


 狂っぽーから意識をそらすためにミスティアに話しかけてみた。


「え?別にポッポは普通よ??」


 神だから凡人である私とは価値観が違うのか、慣れによるものなのかは知らないが、ミスティアとこの件について解り合える気がしなかった。

 日本において確実に通報されるレベルでおかしかったからね!?


「ポッポはどうでもいいのよ!それよりも、おめでとう!!」


「何がです?」


「えっと…ラビオリちゃんだっけ?」


 ラビオリちゃん??そんな名前の女性は知らない。私も首をかしげる。しかし、この世界で知っている女性はそう多くない。似たような名前の女性……?


「もしかして、ラトビアちゃん?」


「そう!それ!」


 そういえば、ラトビアちゃんが謎の発光をしていたね。もしや、それはミスティアの仕業?


「半分正解ね」


 人の思考を読まないでいただきたい。半分…ということは………もしかして…!?


「そうよ!あの娘は自力で私の呪いを解いたのよ!これってスゴいことなんだから!」


 ケイ様のように、ほぼ幼少から呪いがなかった人間は確かにいる。だが、貴族社会で育った娘が自力で解呪するすることはほぼないらしい。

 生活環境で刷り込まれたものを変えるのは、容易ではない。


「あの、ローズちゃんだっけ?」

「ローゼンシアちゃんですかね…」


「そうそれ!あの娘ももうすぐ自力で解呪するわよ!」


「……そう」


 ローゼンシアちゃんはそうだろうなぁとなんだか納得した。

 どうせ私の思考を読んでいるのなら、知りたいのはそれじゃないって解ってるんでしょ?答えて、女神ミスティア。


「…………ごめん、なさい。話すわ」


 異界の姫君の役割は、当然だが命を繋げることだ。しかし、一人で一つの国家を支えるなど、到底不可能。

 今の私の出産ペースを維持したとして、せいぜい20人前後だろう。私は若くないし、出産は体への負荷もある。そして、全てが女児とは限らない。

 ならば、今までの異界の姫君達はどのようにして国を支えたのか。




 知りたいのは、その答えだ。




 ミスティアは俯きながらポツリポツリと話始めた。


「……貴女の血で肉人形を作り、精霊を宿すの。そうしてつがわせて…女児を一定数まで増やす。異界の姫君を拒否した子は血だけもらって帰したこともあるわ」


 それはミスティアにとって都合のいいシステムだったのだそうだ。身体が朽ちても精霊は精霊に戻るだけ。子を、夫を愛した精霊は人を守る。また、人も精霊に感謝する。

 数百年もすれば人間は忘れてしまうから、人と精霊の絆のためにもよいシステムなのだそうだ。精霊…ね。なるほど、なるほど。これなら…いけるかも!


「ミスティア」


「ごめんなさい!亀甲縛りで吊るすのは勘弁して!あれ、かなり辛いのよ!それに、私は貴女の可能性を見てみたい!貴女は本当に最高よ!今までで一番影響力のある異界の姫君だわ!貴女の行動で、女性達が変化しつつある!!」


 その評価は、正直嬉しい。私の行動をミスティアは肯定してくれているらしい。


「亀甲縛りはしないけど…代わりにお願いを聞いてくれないかしら?」


「…できることとできないことがあるわよ?」


 だが、できる限りの助力はするとミスティアは約束してくれた。ならば、きっとできると自分を奮い立たせて宣言した。






「ミスティア。私は、この世界最後の異界の姫君になるわ」







 私は進むべき道を定めた。後はそこに向かってひたすらに突き進むだけ。


 そしてその先に、子供達の幸せな未来があることを信じている。

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