幸せな私
帰宅したら、いつもお出迎えしてくれるのはじいと可愛い我が子達。じいが馬車や歩く音で誰が来たのか判断して、子供達を呼ぶらしい。
「おかえりなさいませ、若奥様」
「ただいまああああああ!!」
「きゅうん!?」
「きゃん!?」
うちの可愛い子供達を抱きしめる。お行儀は悪いがしかたない。じいも苦笑しながら黙認してくれている。
「ありがとう、二人とも!」
「えへへ~、わん!」
「は!?まちゃかチョーンたん、ばやちたの!?」
「いや、私が気がついた。あああん、うちの子世界一!!」
抱っこしてスリスリもふもふしてやる。ケビンよりも赤ちゃんだから柔らかい毛が幸せええええ!!
「は、はずかちいわ!」
「ゆきもちあわちぇ~」
兄妹でだいぶ反応が違う。娘はツンデレだ。口では嫌がってるけど、可愛い尻尾がブンブン丸なのだよ!!
「………セツ姉、なにしてんの」
お手伝いが終わって帰宅したシロウ君がキョトンとしていた。
「おかえりなさ~い。えーと、母の愛を存分に与えている」
「ただいま…………………玄関で?」
「……………うん。だってだって!うちの子可愛いんだもん!!」
「………………………そう」
シロウ君はツッコミを諦めたようだ。
「チロウおにいたん!抱っこ!おかえいのちゅーがまだでちゅ!」
「え」
うちの娘はそんなことしてたの?ついじいを見たら頷いた。
「ええええ!?雪那、ママには!?ママにはないの!??」
「ちかたないわねぇ」
「ゆきも~」
「ママもお返し~」
ああん、うちの子マジで天使!!両頬にチューいただきました。そろそろ雪那は解放してやろう。シロウ君に雪那を渡した。
「セツナ、今はダメだからな!?」
どうやら私の前でおかえりのちゅーは恥ずかしいらしい。ついニマニマしていたら怒られた。どっちも可愛いから仕方ないよね~。
「さて、今日のママはお休みだから、雪斗と雪那達と遊びたいな~」
「わんわんわん!!」
もはや人語を忘れた雪斗が喜んで駆け回る。
「だめよ、ゆきと!ママをやちゅまちぇてあげないと!」
「きゅうん……」
悲しげに鳴く雪斗。雪那にニコニコしなが話しかけた。
「ママ、遊びたいなぁ」
「!??」
「ねぇ、一緒に遊んでほしいなぁ…雪那、だめ?」
「うううう…」
「わんわん!」
結局、雪那は私に負けた。うちの娘、可愛い。
さて、何して遊ぼうかな。お腹が大きいから、走り回るのは無理。しばし思案してみる。
「よし、双六作ろう!」
幸い、ダイスはある。本来は賭け事に使うらしいが、綺麗なやつがあったのでこないだ買って部屋に飾った。
「すごろく??」
せっかくだからトラ君達も誘って、皆で大きなやつを作ろう!
「へ~、俺も混ざっていいか?」
「大歓迎!」
シロウ君がいれば少年達も参加するわけで…
「あっ、はみ出した!」
「ここに、にーにかくの~」
「絵をかいてもいいのか?」
皆でわいわいやるのは思ったより楽しくて、あっという間に双六は出来上がった。
「人数が多いから、チームにしようか」
実際にやってみて、色々失敗したなぁと思った。
進まない、というか…進めないのだ。
私がつい2マス戻るとか、1回休みも作ってねとか言ったせいである。しかし、なかなか進まないだけで進めないわけでは…
「あっ!?また1回休み!?」
「スノウ、運悪すぎじゃね!?」
スノウのチームはスノウがダイスを振る度に止まる。
しかし、逆にスーパーラッキーボーイもいた。
「すげー!ユキト、お前また6か!?」
やたら6を出す。そしてマスは何もない。連続で進むのだ。
「くぅん?」
当人はよくわかってないようだが、お兄ちゃん達にナデナデされてご機嫌だ。
「……ママ、まほうつかったらだめかちら」
「却下」
「ちょうよね……」
何故か雪那もダイス運が悪かった。ちょっとイライラしている。
「ただいま~。何をしているんだ?」
愛しのマイスイートが帰宅した。今日も渋可愛い。両手でハグの構えをしている。おもいっきり飛び込むと、子供達も抱きついてきた。おずおずと少年達も来た。
『おかえりなさ~い!!』
「くう…なんと幸せなのだ…!!」
「だよね~。本当に素敵な家族をくれてありがとね、ケビン」
「…ああ!!」
そしてケビンもゲームに参加したのだが……
「やべぇ」
「マジか」
「すげぇな…」
ケビンの不運は他の追随を許さなかった。進めば必ず戻るか休み。終いには冗談で作った『このマスに入ると負け』にホールインワン。珍しく6が出たと喜ばせておいて、なんたる仕打ち!
「…ケビンは常に雪斗と組ませようか」
足して2で割るとちょうどいいことがわかりました。