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秘密のお茶会の目玉

 そろそろケビンさんもお腹がふくれてきたようだ。ついあれもこれもとすすめてしまった。

 ケビンったら『雪花がすすめるものはどれも美味いが…雪花の作るものが一番だな』とか言っちゃってもー!もおおおお!!無自覚爆弾に悶えたよ!!


「そんなことないよ~。やっぱプロの料理がおいしいよ~。お世辞がうまいんだから!」


 そして否定する可愛いげのない私。だが、ケビンは穏やかに微笑んで横に首を振った。


「いや、雪花は俺の好みを考えた味付けをしてくれるから、世辞ではない」


「そ、ソウデスカ…ありがとう?」


「いや、礼を言うのは俺の方だろう。雪花が隣に居てくれるだけでも幸せなのに…雪花は言葉通りにもっともっと…毎日たくさんの幸せをくれる。感謝も愛も…言葉で伝えきれないのがもどかしいな」


 ケビンさぁぁん!!その幸せそうな顔での顎クイコンボなんてどこで覚えてきたんですかい!?そして、流れるようなデコチュー!


「伝わってる!めっっちゃ伝わってるから!!」


「遠慮するな。正直、この程度の言葉では俺の気持ちを語りきれていない。俺の気持ちをすべて…受け取ってくれるのだろう?」


「…もらってもケビンの気持ちは返しませんからね。ケビンは私の旦那様で、私はケビンの奥さんです。ケビンは私のもので…私はケビンのなんですから。それから…私の気持ちはちゃあんとあげますから。受け取ってくださいね?」


 そして、私はケビンがいかに素晴らしいかを語った。まず、そもそも私はケビンの外見が好きである。好みである。ストライクなのである。モフモフや肉球はもちろん、オッドアイも神秘的で綺麗だし、たくましい体つきは彫刻みたいで美しいと………ケビンに口を塞がれた。


「……ぷは!まだ本番があるのに~」


 やんわりと拘束を外してケビンに苦情を言った。ケビンの素晴らしいところは、その内面。まださわりだったのに!


「まだあるのか!??その…雪花に好ましいと言われるなは幸せなのだが…一気に言われるとナニかが破裂しそうだ……す、少しずつ伝えてくれるとありがたい」


 そう言いながらも尻尾はちぎれるのが本気で心配なぐらい高速で揺れている。狼フェイスで赤面しているので、顔がピンク色に見える。結婚しても、ケビンはやはり可愛い。


「続きは閨で……ね?」


 首にキスして、すぐ逃げないようにしがみつく。うむ、我ながら慣れたな。ケビンが慣れるより、この方が早いだろう。

 そして、ケビンは私がしがみついたら絶対落とさない。相変わらず、側にいると安心できる。




「そろそろデザートたべよっか!おすすめがあるんだよ?」


 しばらく会場内を爆走したケビン。ようやく落ち着いたので、本日の目玉に案内した。


「これは……」


 茶色の噴水。自信があったのだが、誰もいない。ケビンも不思議そうだ。


「甘い香りがするな…飲むのか?」


「いえ、こうやって…」


 近くにある素材…とりあえずプレーンケーキを専用フォークに刺し、茶色の噴水から噴き出す茶色い水にくぐらせる。ケビンにあーんで食べさせた。


「…これは、ちょこか。美味いな」


「好きな素材をこのチョコにくぐらせて食べるんです。これぞ、パーティで大人気間違いなしの秘密兵器、チョコレートファウンテン!!」


 スノウと試行錯誤して作った自信作!温度を変えてチーズファウンテンも可能な素敵アイテム!!

 見映えがよく、準備も素材を切るだけという素敵なチョコレートファウンテン!!


 そのうち人が来るだろうから、今のうちにケビンとゆっくり……


「わん!」


「雪斗…?」


 僕にもちょうだいと口をあける雪斗。この間試作品に落ちて漆黒の毛並みが茶にそまったため近寄りたくないらしい。


「ママたちのじゃまをちたやだめよ。ワタチがとってあげゆわ」


 雪那が魔法を使い、フォークと皿が浮いた。ふわふわフォークはマシュマロや果物を刺し、チョコを絡めて行儀よく皿におさまり雪斗の手元に来た。


「おいちー。せちゅなもあーん」


 仲良く食べさせあううちの子達。可愛い!なんとかわゆい光景なのか!ご機嫌に揺れる尻尾がまたぷりちー!

 決定的瞬間をおさめるべく、激写する私。うちの子可愛すぎる!!


「セナちゃ、チョラにもほちいにゃ!」


 ソラ君達は雪那をセナちゃんと呼んでます。呼びにくいらしい。

 ソラ君達も雪那にチョコフォンデュをねだる。


「いいわよ」


「おいちい!」

「うま~」

「…………(もぐもぐ)」

「…………(しあわせ)」


「…なんでワタチにわざわざもたちぇてかじゆの…?」


 嫌ではないみたいだけど、わざわざソラ君達に渡したのに、食べさせてほしがるのがわからないらしい。


「あ~んはなかよちがすゆの!チョラとセナちゃはなかよちなの!」


「……ああ」


 チラッと私たちを見て、雪那が苦笑した。後で知ったが、ちみっこ達にとって『あ~ん』は憧れだったらしい。しかし、私はケビンのものだから頼めず、雪那にお願いしたんだそうだ。


「そうね、なかよちだわ。つぎはなにをたべゆ?」


 そして、視界の隅にせつなげなシロウ君を発見したので隠し撮りした。耳も尻尾もしんなりしている。

 デジカメっぽいヤツなので、隠し撮り画像を雪那に見せる。


「え?なに??…………!!」


 雪那が勢いよくふりむいて走り出し…いや、浮いてる!!


「!??」


 そして何故か追いかけっこが開催され………捕まったシロウ君は雪那にあーんをされるのだった。


 照れながらも嬉しそうなシロウ君と、珍しく笑顔の雪那。たまにシロウ君からもあーんをされている。将来はバカップル間違いなしだ。


「…微笑ましい…」

「可愛いわ……」


 結果『赤き瞳の姫君と獣人少年の恋を応援する会』の会員が増えた。

 そして隠し撮りがバレて私はシロウ君に叱られた。いいじゃん!どっちも可愛いんだもん!!

 ちなみに、雪花とケビンも微笑ましいし仲睦まじいと同じように見られてましたが、雪花は気がつきませんでした。

 ケビンは気がついてたので余計に恥ずかしかったみたいです。

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