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秘密のお茶会へようこそなんだよ

 今日は絵本の購入特典である秘密のお茶会。マサムネさんと頑張ったよ!

会場はお城になってしまった。当初は自宅予定だったんだけど、お義兄様がセキュリティの問題とお義姉様が身重だから城で!城でやってくれ!協力は惜しまないから!!と猛プッシュされたのだ。あまりの押しに敗北してしまった。

 まあ、お城の料理人さんや使用人さん達にも手伝ってもらえて、結果オーライだからいいけど。


 お茶会は予定通りバイキングスタイル。軽食とスイーツです。

 軽食はサンドイッチやオムライス、自家製赤ワインの煮込み、トマトソースパスタ等。なるべく赤いものをメインに作った。赤ワインも無かったから作った。赤い果物やスイーツもたんまり用意した。赤は忌避すべきではなく、おいしいのだと教えてやるわ!!

 ちなみに軽食の目玉はラーメン!ついに完成したものの御披露目は出来ていなかった。というか、出すに出せなかった。ここに来て、ようやく出せたよ!


 私がついうっかり軽食のオススメは?と聞かれて素直にラーメンと返答したせいでラーメンに長蛇の列が出来ています。スープは塩、醤油、豚??骨の三種類。激辛スープは赤い。

 私の好みは麺かためネギ増し増しバター入り塩ラーメン。


「ふー、ふー。はい、あーん」


 そしてそれを愛しのケビンにあーんしてます。


「うまい……」


「わん!わん!」


「雪斗も?はい、あーん」


「はぐはぐ…わん!」


 雪斗も気に入ったみたい。貪り食っている。


「あ、チョラ!ママ、ゆきとチョラたちとあちょんでくゆ!」


 ソラ君達を見つけた雪斗は走り出した。


「あ、雪斗!」


「ちかたないわね。ママ、ゆきとたちはワタチがみていゆわ」


 雪那がやれやれと雪斗を追う。そしてさりげなーく後ろで見守るシロウ君。どうやらうちの娘、愛されてるようですね。ラブラブみたいでなにより。


 雪斗達を穏やかに見つめていたら、ラトビアちゃんが声をかけてきた。


「お姉様、ごきげんよう」


「ラトビアちゃん、来てくれてありがとう」


「いいえ、楽しみにしておりましたもの。何があろうとも参加いたしますわ。それにしても……愛ですわね」


「あい??」


 ラトビアちゃんはウットリしているが、私はなんのことだかサッパリである。


「ええ、愛。このお茶会も、そのドレスも、あの絵本も、お姉様の愛の結晶!愛する旦那様とご息女のためなのでしょう?ああ、お姉様はなんて素敵なのかしら!」


 ラトビアちゃーん、帰っておいでー。いやまあ、そうなんだけどね?お姉さん、シャイな日本人だからそう言われると照れるんでやめてくれないかな??


「そうなんだ。本当に雪花は素晴らしいんだ。優しく、賢く、働き者で…可愛いのだ!今日のドレスも俺の瞳の色を着たいと言ってくれたのだ!雪花は世界一の妻だ!ああ、雪花…心から愛している。それにしても、我慢せず雪花へ愛を囁けるようになって嬉しい。この溢れる想いをそのまま雪花に伝えられて、本当に幸せだ」


 今日はワインレッドのドレスを着ている。わざわざ職人さんに染めてもらい、ケビンが縫いました。マーメイドラインの大人っぽいドレスで、お気に入りです。

 それにしても、ケビンさんの恥じらいスイッチはいつ頃再稼働する予定なんだろうか。それとも一生このままで、私が慣れるしかないんだろうか。言動と行動が直球ストレート過ぎて慣れる気がしないんだけど!


「照れているのか?」


「……えっとその……はい」


 イエスとしか言えない。しかし、手加減してとも言えない。ケビンはずっとずっとたくさん我慢してきたんだから、もう我慢させたくない。せめて私にはちゃんと言いたいことを言って欲しい。


「うふ、うふふふふ………愛…そう、愛ですわね…」


「ラトビアちゃん?」


 なんだろう……ラトビアちゃんが輝いている!キラッキラだよ!なんか違う境地にたどりついてるっぽい!!


「不遇な騎士団長様を健気に支えるお姉様…ただ一途に団長様を愛し、結ばれて終わりではないのですわ。長きに渡り耐え続けてきた騎士団長様の心の枷。それを愛と優しさでソッと外すお姉様。枷が外れたことにより、溢れる愛…そして恥じらいつつもそれを受け入れるお姉様……」


「ラトビアちゃん!?」


 なんか、ブツブツ言ってて怖いんだけど!ケビンもラトビアちゃんのただならぬ様子に困惑している。


「ああ、私ったら肝心なことを忘れておりましたわ。忌避色の赤色の瞳に悩む団長様。それを知り、皆が赤色を受け入れるよう奮闘するお姉様。そしてそれを知り、団長様は………きゃああああああああん!いやあああああああん!!」


「ラトビアちゃん!??」


 本当にどうした!?いきなりクネクネしだしたよ!??


「ああ…イメージが…イメージが泉のごとく沸きだし激しく溢れてきましたわ!今目に焼きつけたものを…この崇高なる愛を記録しなければ!お二人の恋…いいえ、真実の愛物語を!!ああん、なんて素敵なのかしら!!紙!紙とペンを持ってこなくてはああああああ!!」


「ラトビアちゃぁぁん!???」


 ラトビアちゃんは走り去った。よくわかんないがご乱心でござる!


「どうやら眠れる天才を起こしてしまったようですね」


「ひゃっ!?マーロさん!??いつからそこに!?」


「さっきからいましたよ。さて、私は異界の姫様と騎士団長の恋を見守る会改め、異界の姫様と騎士団長の愛をサポートする会・会長として同志をサポートせねばなりません」


「待った」


 事情を知っていそうなマーロさんに説明を依頼した。


「ラトビア嬢は天才なんですよ。姫様にも劣らぬ文才があるのです」


 マーロさんに渡されたラトビアちゃんが書いたという本。そこにはケビンと私のお話が書かれていた。

 事実と妄想と夢と愛と捏造がごっちゃになっていて、死ぬほど恥ずかしい内容だった。


 奇声を発しながら悶える私に、ケビンは言った。


「その、照れくさいが俺達の仲を好意的に見てくれる者達が増えたのは…貴殿らの努力のおかげなのだな。マーロ殿、ありがとう」


「は!?あ、はい……わ、わわわ私はラトビア嬢のところに行きますね!」


 マーロさんが逃げた。

 私の旦那様、マジ大物だと思った。

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