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絵本と幸せとモフモフなんだよ。

 最近ラブラブとモフモフが足らんという意見があったので、ちょっと閑話的なお話です。

 最近、我が家では絵本を読む習慣ができた。寝る前の読み聞かせタイムをするのだ。


 その前にお風呂に入り、モフモフを念入りに乾かしてブラッシングタイム。ケビンは大きいからやりがいがある。股間と尻尾は死守しようとするけど、無駄なあがきだよ。特に尻尾は触り心地がいいので念入りにブラッシングする。なんか喘いでる気がするのは気のせいだよね!


 雪斗と雪那は毛が柔らかいのでベビー用ブラシを使う。やっぱり赤ちゃんだからか、すごーく毛が柔らかい。毛繕いは親や伴侶の愛情表現にあたるそうで、いつも念入りにしている。

 ソラ君達ちみっこ達も最近はブラッシングをねだるのでちみっこ達にもブラッシングしてあげている。めっちゃ楽しい。種族によって毛質も違うし、ブラッシングでサラサラにするのがとても楽しい。


 特に最近のケビンは明らかに毛艶がよくなり、騎士達にからかわれているらしい。私から見ても天使のわっかが出てツヤッツヤだもんなぁ。つまり、毛がツヤッツヤは私に愛されている証らしいよ。


 念入りに手入れをした愛するモフモフ達を膝にのせ、絵本を読む。私の背中を包むように大きな狼となったケビンがいてくれる。ブラッシングしたての腹毛は絶品ですが、顔をグリグリすると恥ずかしがって逃げてしまうので注意。さりげなくお触りをするぐらいで我慢する。


 膝には我が子である子犬達と子猫(虎)と子兎。肩に梟の雛。隣にエド君。獣になると余計でかいから彼だけ人型です。


「じゃ、絵本を読むよ~」


『は~い』


 この穏やかな時間が何より幸せ。最近は絵本に子供達が飽きてきたので私がいた世界の童話を話している。


「雪花の世界には、たくさんの話があるのだな」


 ケビンも真面目に聞いていて、たまにわからなかった部分の質問をしたりする。こっちに鬼とかいないしね。

 もう帰らない世界だけど、ケビンに向こうの事を語る時間は好きだ。ケビンは私が向こうに帰りたくないのかが、いまだに不安みたい。

 こんなに素敵な旦那様ととっても可愛い子供達がいて、たくさん家族や大事な友人達がいるから…帰りたいなんて思ってないのにね。


 子供達を寝かしつけたら、夫婦の時間。明日も休みだから今夜は…と期待している。


「じゃ、おやすみ~」


「アオン?お、おやすみ…」


 翌日が早い日なんかは別に寝ることもある…の、だが。


「くぅ~ん…きゅぅぅん……」


 この切ない声に負けてついつい一緒に寝てしまい、我慢できなくなったケビンにおいしくいただかれてしまう日もある。まぁ、基本一緒に寝たいから別々で寝ることはとても珍しい。


「ケビン、私に言うことはありませんか?」


「きゅうん?言うこと??」


 首をかしげるケビン。彼はなかなかワガママや自分の意見を言わない。


「ね、欲しいものはないの?」


「!!」


 私の意図を察したケビンが真っ赤なモフモフになった。恥ずかしさが限界を突破したらしく、大きな狼姿で丸まっている。


「ケビン、私行っちゃうよ?」


「きゃいん!」


 とっさに私の寝間着のスカートを噛んで止めるケビン。スカートに穴が開いたのでショックを受けているが、それはどうでもいい。

 行かないでほしいと意思表示したケビンへのご褒美に、首を抱き締めてスリスリしてやる。


「ね、欲しいものはないの?」


「欲しいもの?いや…ないな。怖いぐらいに幸せだ」


 欲しい言葉はそれじゃない。私はケビンがもっと欲しいのだから、ケビンも私をもっともっと欲しがるべきなのだ。


「じゃあ、今日は私が独り寝していいの?満足したんだよね?」


「アオン!?い、いや、その……えっと……」


 もうひと押しかな?なんて言おうかなと思案していたら、ケビンが狼から獣耳姿になっていた。顔がものすごーく赤い。耳も赤い。可愛いから耳を触ったら、ぴるぴる震えて逃げた。


「み、耳で遊ばないでくれ…いや、遊んでいいから…ここに居てくれ」


「はーい」


「アオン!??」


 ひざまずくケビンのお膝に座ったら驚かれた。動揺しすぎて狼フェイスになっている。首とか頬までふっかふかでたまらん!


「雪花!?な、なんで!?独りで寝たかったのではないのか!?」


「ケビンがどーしても可愛い奥さんと寝たいとお願いするんなら、仕方ないから寝てあげる」


 我ながら超上から目線だね!さて、ケビンの反応は…


「くうっ…なんと可愛いのだ!」





 なんでそうなった。





 そして私が呆然としているうちに、ケビンは私を下ろして土下座した。


「一緒に寝てください」


 いや、うん。ケビンの自己評価の低さを甘くみていたよ。そうじゃないんだよ。

 私の不満が表情に出ていたのだろう。ケビンがオロオロしていた。


「…い、嫌か?」


「不公平だと思うの」


「…不公平?」


 ケビンが首をかしげた。そう、不公平なのだ。


「私ばっかりケビン好き好きアピールしてるんだもん!」


「…………へ?」


 今度はケビンがポカーンとする番だった。


「いっつもいっつも!私ばっかりケビン大好きケビンは私の!嫉妬したり独占欲を発揮するのは私だけ!」


「雪花…」


「一緒に寝るのもえっちなことも、誘うの私だし!」


「アオン!??そう…………だな………」


 いつも私のお誘いというか誘惑に負けるケビンという図式なのだ。


「たまにはケビンからもいっぱいかまわれたい!私が欲しいって言われたい!大好きアピールしてほしい!えっちなことしたいってお誘いされたいぃぃ!!」


 ワガママ大爆発である。流石のケビンも呆れただろうと思った。


「……雪花、雪花はなんと心が広いんだ」


「……は?」


 むしろ我慢できずに爆発したんだけど??ケビンはうっとりしながら私を見つめた。


「愛している。その黒曜石のような美しい髪と瞳、真珠のような肌…何より俺を愛してくれているその心…天使のような優しさ…もうこの気持ちを抑えなくていいんだな?」


「うん??」


 どうしてそうなった??いや、うん。悪い気はしないですがね?こう、耳もとでイケボで囁かれるのはね?とっても心臓に悪いんだけど!この無意識イケメンめ!!


「…俺がこの溢れかねないほどの愛を雪花に伝えたら、嫌がるかと思ったが…雪花はそれすらも望んでくれるのだな」


 顎クイからスムーズにキスがきた。ケビンさんの恥じらいスイッチが大破した模様。

 失敗したよ。こんな夜に言うべきじゃなかったよ。えらいめにあったよ。


「…雪花は本当に魅力的だ。今すぐ、君がほしい」



 萌え死ぬ!!

 ピンポイントで一生に一度でいいから言われたい台詞が来た!!


「………ど、どうぞ」


 動揺しすぎてリアクションが薄い私。しかし恥じらいスイッチが大破したケビンさんは気にしません。


「照れているのか?可愛いな」

「真珠の肌が赤く染まっているな」

「本当に綺麗だ。恥ずかしがらずにすべて見せてくれ」

「…こんなものを身につけていたのか。本当に雪花は俺を煽るのが上手いな」





 とんでもない羞恥プレイだった。私の状況を詳しく実況しながら甘ぁぁい言葉を吐きまくるケビン。今夜は勝負する下着を着るべきではなかったと心底後悔したのだった






 そして、翌朝。


「ああ、雪花。今日も愛らしいな。雪花と今日も過ごせて、俺は幸せだ」


「あ、あうう……あああありがとう…」


 朝になってもケビンの恥じらいスイッチは大破したままであるらしく、ケビンが甘い。愛が溢れこぼれんばかりに………いや、完全に溢れてだだ漏れている。そのため、流石の私もぎくしゃくしてしまう。

 ケビンと私の様子が違うので、首をかしげる雪斗。


「くぅん?」


「どうやらママがパパのたがをはずちてちまったようね」


 よくおわかりですね、雪那さん。なんかもう、いたたまれない。ケビンのキャラが違う!違いすぎるの!!


「パパ、そーゆーのはふたいきいのときにやいなたい。うじゃいわ。ママもはじゅかちくてこまってゆじゃない」


「き、キャイイイン!!」


 娘の痛烈な指摘に、ケビンが泣いた。確かに四六時中この甘々垂れ流しは辛かったので助かったが、オブラートも大事だとママは思うの。


「ママ」


「なぁに?」


「どうやったやママみたいにしゅきなあいてをメヨメヨにできゆかちや」


 幼い娘は狩人(スナイパー)の瞳をしていました。


「うーん……それは相手によりけりだから、これから少しずつ方法を模索すべきじゃない?料理とかプレゼントとか、ママも協力するから、一緒に考えようよ」


「うん!」


 笑いながら尻尾をブンブン振る雪那はとっても可愛かった。しかし、確実にシロウ君を射止めようとしている。シロウ君、頑張れ!!


 ちなみに雪斗はケビンを慰めようとペロペロしていた。うちの息子は天使だった。


 後できっちりフォローしたので、ケビンは復活してくれた。しかし二人きりになると甘すぎて嬉しいけど恥ずかしい。

 なにはともあれ、私は今日も幸せなのだ。

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