紙芝居を見に行ったよ
本日はこっそり紙芝居を見に行くことに。もちろん
マイダーリン同伴だよ。
・ライトさん&少年達の場合
見渡す限りの長蛇の列。これ、何人いるの?昨日入れない人たちのために整理券代わりの木札を作ったけど、木札も尽きそうな勢い……
並んでいるラインナップは様々。家族連れ(ただし女性はいない)が多い気がする。
「げっ、木札が尽きた!」
えええ!?頑張って600は作ったのに!?アワアワするトラ君。
「ここまで並んだのに、手ぶらで帰れって言うのかよ!」
怒りだす(多分)お父さん。子供も悲しげだ。更にまだ並んでいる20人近くもその怒りに同調しそう。まずい!
「申し訳ありません」
「…は?」
いきなり現れた上等な身なりの女…つまり私に驚くお父さんらしき人。
トラ君もびっくりしてるわ。ニコニコしたらなんか拗ねたみたいな顔になった。なぜに??とりあえず並んだが木札もゲットできなかった人達に話しかけた。
「本日は無料でアメのみのお渡しとさせていただけないでしょうか…」
「おとーさん!ぼくアメ食べたい!」
よし!子供は釣れた!男性も仕方ないのはわかっているのだろう。あれ?怯えているような…?以前もこんなことが……背後を見たら、可愛いマイダーリン。正面に怯えた男性達。
とりあえず、アメで納得してもらえた。本日分終了を子供達が知らせに行った。ここは大丈夫みたいだけど、他はまずいかもしんない!!
「大丈夫か?」
騒ぎを聞きつけたシロウ君に事情を話し、後を任せることにした。
「お、おれだって…おれだってちゃんとできるんだからな!」
「え?」
トラ君が涙目です。ちゃんと?私は首をかしげた。
「トラ君はしっかりものだから、知ってるよ…?」
あ!そっか!私はようやくトラ君の言った意味がわかった。
「トラ君、お姉ちゃんはトラ君が頼りないから間に入ったんじゃないよ。お姉ちゃん達のミスをフォローしただけ。ちゃんと頼りになるって知ってる。だからお仕事もお願いしたんだよ」
「……………ほんとか?」
「本当だ。シロウはもちろん、トラ達も信頼している」
ケビン(別名男性限定人たらし)により、トラ達のご機嫌は直りました。
とっさに出てしまったけど、トラ君のプライドを傷つけてしまった。配慮が足りなかったと反省する。うちのよい子は確実に成長しています。
・ルフナさん&じい達
既に列はなく、お店の前に『本日分は前売り券も含め完売いたしました。またのお越しをお待ちしています』と書かれていました
すでに紙芝居も始まっているらしく、ルフナさんのバリトンボイスが聞こえてくる。
「おや、若奥様にぼっちゃま」
「こっちは問題無さそうね」
じいが穏やかに笑う。
「ふぉっふぉ、これでもあの屋敷を取り仕切っておりますからな。事前に来て最後尾以降は並べぬようお断りいたしました。それにしても、流石は若奥様。すごい人気でございます」
「ありがとう。こっちは大丈夫そうだね。流石はじいだね、本当にありがとう!」
「いやいや、それほどでも」
「いや、いつも感謝している。ありがとう、じい」
このパターンは…じい号泣か!?
「ぐしゅ……じいは本当に幸せ者にございます。お二人のようなよき主にお仕えしているのですから。ささ、ここは問題ございません。お任せください」
じいはウルウルしながらにっこり笑って、送り出してくれた。
「お願いします」
「ああ、任せた」
安心して次に行くことにした。
・ジャスミンさん&カダルさんの場合
こちらも既に列はなく酒場の入り口に『本日分は前売り券も含め完売いたしました。またのお越しをお待ちしています』と書かれた看板が立っていた。そしてその横に亀甲縛りをされた人々が転がっている。
亀甲縛りをされた人々??
「…カダルさん、カダルさぁぁん!?」
「呼びましたか?」
「みぎゃあ!?」
背後で耳フーはだめぇぇ!?とっさに頼りになるマイダーリンに抱きついた。
「はっはっは。何かご用ですか?」
耳へのダメージから立ち直れない私に代わってケビンが話してくれました。
「この者達は、何故縛られている?」
「ああ、なんかショバ代よこせとか難癖つけてきましてね。うちの下僕…じゃなかった可愛い弟とその友人に捕縛してもらいました」
「サズドマああああ!!」
亀甲縛りに対して対象者がピンポイントで浮かんできた。
「はっはっは。彼らがたまたま外回りで助かりましたよ」
「……………」
目線で本当にたまたま?とケビンに聞いた。
「…そういえば、急な当番変更があったな」
「「……………………」」
カダルさんは敵にまわしてはいけない。多分たまたまじゃない。
その後、紙芝居を見ていきました。
ジャスミンさんは美しいテノールボイス。彼が借りた酒場は比較的小綺麗な場所のためか女性もチラホラ。たまにウインクをサービスして、女性がきゃあきゃあ言ってたよ。たまに男性もうおおって言ってたよ。
こっちにもウインクサービスしてきたんで、はたき落としてやった(あくまで気分です)
ジャスミンさんはキョトンとしたけど楽しそうに笑った。私は真剣です!ケビンの尻は私が守ぉぉる!!
ルフナさんは魅惑のバリトンボイス。ジャスミンさんと違い愛想はないものの
、それを補って余りある美声だった。うっとりしていたらケビンが悲しげに鳴いた。浮気じゃないよ!声が素敵だったんだよ!!ケビンの声も大好物だよ!
そして、ライトさん。グリーンリバー=ライトさん。たまたま某声優さんを彷彿とさせる名前のライトさん。
「尊み秀吉…………」
拝むレベルで尊かった。美声はもちろん、演技力。子供から大人まで、演じきってくれた。私が自然に涙を流して拝むレベルである。
後で本人に何故泣いていたか聞かれたけど、うまく説明できなかった。尊かったんだよとしか言いようがない。
紙芝居自体は紙芝居さえあればできる。この大ヒットをうけて他の吟遊詩人さん達も自作紙芝居を披露するようになり、紙芝居ブームが起きたのだった。
吟遊詩人の腕や紙芝居の完成度にオマケもあって、うちの紙芝居が一番人気だけどね。
サズドマとシャザル君はショバ代をとってた元締めをシメに行っていたので不在でした。後で話を聞いた雪花さんからチョコを貰えて喜んでいたようです。