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絵本について話したよ

 絵本の見本が完成した。


「うわあ……」


 装丁がめちゃくちゃ綺麗!私も買いたい!


「いかがですかな?私も読んでみましたが…いやあ、子供向けだからと馬鹿にできませんな!私も家内や家族に欲しいぐらいです。これは間違いなく売れますぞ!」


 ショーンさんは興奮ぎみだ。絵も一枚一枚手書きだから本によって微妙に違う。

 試しにと子供たちに読み聞かせをしたら、事件が起きた。

 綺麗な絵と簡単なお話に子供達は夢中だった。雪那も黙って聞いていた。読み終わってから、雪斗が首をかしげた。


「ゆきとは?」


「え?」


「こえ、ぱぱとまま。こえ、せちゅな。ゆきとのおはなちは?」


「…………えーと……」


 私がどう返答すべきか迷っていたら、賢い娘が対応してくれた。


「ゆきとはここ。わたちのおはなちにでてゆわ」


「ゆきと、いた~」


 本人は出ていれば満足だったらし……

「ゆきとのおはなちは~?」


 ですよね!満足じゃないよね!


「ま、また今度作るね!」


「あい」


「……まま、てきとうなおへんじはだめだとおもうの」


「…第二弾の製作依頼でしたら、いつでもお待ちしておりますぞ。当面は今回の製作で工房もフル稼働でしょうが」


「…その際には、是非お願いします…」


 流石は商人さん。もうけ話には敏感ですね。まだ具体的には何も決めていないので、後日話をすることにしました。どうせなら、スノウとカラーコピー魔法でも開発しようかしらとか考えつつ、まだ第二弾の具体的構想は待ってほしいと返答した。




 今日はお友達と内緒のお茶会です。


「姫様!私、予約できましたわ!」


「私も」


「わたくしも予約したわよ」


 ラトビアちゃんとローゼンシアちゃんはともかく、シフォンちゃん(隣国のお姫様)はすごくないかしら?


「…シフォンちゃん、すごいですね」


「ふふん!貴女からいただいた異世界すいーつレシピのおかげでわたくしはローシィアのトップレディなのですわ!それに、貴女も絵本の事を手紙で伝えたじゃない。そりゃ、買うわよ。新作すいーつ、楽しみにしているわ」


「友人には進呈するつもりだったのですが…」


「気持ちは嬉しいけど、そんなのつまらないわ。入手に苦労した分愛着がわくし自慢できるのよ。容易く手に入るものなんてつまらないわ」


 ローゼンシアちゃんが艶然と微笑む。年下なのに、この色気よ!元側妃が僻むのも仕方ないぐらいに彼女は魅力的だ。


「欲しいものは自力で手にいれてこそですわ。そうでしょう?」


 ラトビアちゃんとシフォンちゃんが笑顔で頷いた。ナニコレ、肉食女子の会だったっけ?


「そっかぁ。じゃあ今日のスイーツはメニュー変更しなきゃかな?」


「どういうことですの?」


「いや、実は秘密のお茶会で出す新作の試食をお願いしようかと思ってたんだけど…」


「「「いただきますわ」」」


 皆さん、即断即決即答だった。スイーツはまた別問題らしい。見た目も考慮したんだけど、食べてもらえなきゃ意味がないので出して意見を聞くことにした。


「これは…」

「初めて見ましたわ」

「黒いお菓子、ですわね。ゴクドーを使ってますの?」


 ゴクドーとは黒糖のこと。ちょいちょいネタを挟んでくるよね、この世界の調味料。


「いえ、黒糖…ゴクドーは使ってませんよ。香りが違うでしょ?」


 いい香りですわ、とローゼンシアちゃんがうっとりする。


「今日は紅茶ではありませんのね。私、お姉様の紅茶も大好きなのですが…」


「このお菓子にはコーヒーが合います。苦味が苦手ならミルクを足して調整してください」


 三人が恐る恐るお菓子に手を伸ばして、食べた。


「!!」

「おいしいぃぃぃ…」

「んんんんん………」


 三人が、プルプルしている。彼女達が食べた黒いお菓子…




 それはチョコレートである。




 試行錯誤を重ねて、ついに完成したチョコレート!なめらかな舌触りがなかなか出せず、ずっと御披露目できなかったチョコレート!

 今日はお洒落チョコ、ガナッシュ、ガトーショコラ、チョコチップクッキー。後でボンボンも出す予定。

 ちなみにお洒落チョコは砂糖菓子でコーティングしたり、花の形のお菓子で飾ったもの。ナッツ入りもある。


 三人はうっとりとチョコの余韻に浸っている。


「日保ちするタイプもありますから、お土産として持って帰ってくださいね」


「流石は姫様!」

「お姉様、大好き!」

「わたくしの友人なだけあって、気が利くわね」


 お嬢様達もご満悦です。どれも好評で、コーヒーによく合うと大絶賛でした。


「ローゼンシアちゃんはお酒、呑める方ですか?」


「人並みには。それが何か?」


「是非こちらの味見もお願いしようかと。ブランデー入りのチョコレートです」


 この中で(日本基準で)成人しているのは私とローゼンシアちゃんのみ。お酒は苦手だからとローシィア基準で成人しているシフォンちゃんは興味がないご様子。


「いただきます…これはいいですわね!」


「では、お土産として用意しておきます。チョコレートはブランデーなんかのお酒のおつまみとしても食べたりするんですよ」


「あら、そうなの。これも気に入りましたわ」


 友人達が喜んでくれて何よりだね。


「お姉様、ローゼンシア様ばっかりズルいですわ!」


 ラトビアちゃんから不満の声が出た。


「あ、じゃあチョコプリンをおまけに…」

「「ズルいですわ!」」


 異世界でプリンは大人気。某雅なおこちゃまもびっくりするんじゃないかと思う。

 貴族女子が鬼気迫る勢いでジャンケンするからね。給食の人気おかず争奪戦なんか目じゃないぐらいに皆が真剣だよ!



 結局チョコレートボンボンもあるのでローゼンシアちゃんはプリンをひとつ少なく持ち帰る、ということで納得された。


 争いの種になりそうだから、秘密のお茶会でチョコプリンはやめることにしたよ。他にも作るしね!



 ちなみに異世界(こっち)で作ったチョコを食べても精霊さんはパワーアップしなかった。しかし、食べ過ぎてピエトロ君とプクプク君が鼻血ブーになってしまった。

 私が向こうから持ってきたチョコの添加物が問題なのか、この世界からしたら異世界から来たチョコだから問題なのか…その辺りはよくわからない。まあ、こっちで作ったチョコは食べ過ぎなければ問題ないのでよかったということにした。

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