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忌むべき色

 マーロさんがいい感じに浄化されたところで、聞きたかったことを聞いてみた。


「なんで赤は忌避色なの?」


「ああ…確か血の色を連想させるからと…魔力が高すぎる人間の瞳の色だから、ですかね」


「雪那の目の色はどの程度マイナスになる?」


 マーロさんが苦笑した。


「オブラートは要りますか?」


「無しでお願いします」


「…トータルならばマイナスになりません。獣人ハーフであっても、異界の姫の子で騎士団長殿…王族の血を引く姫君ですから。ただし、心無い誹謗中傷はあるでしょうね」


「………きゅうん…俺の…俺のせいだ…」


 ケビンがしくしく泣き出した。オロオロするマーロさんとか激レアだけど、私は怒ってます。怒りのままにケビンの尻尾をわしづかみにしてつねってやった。


「キャイイイン!?」


「ケビンの馬鹿!」


「雪花?」


「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!私は、ケビンの赤い瞳も大好きです!最愛の旦那様の色を持つ娘を愛しく思いこそすれ、忌み嫌うはずがないでしょう!大体、赤が血の色?情熱的な愛を象徴する薔薇も赤!炎も赤!林檎も赤!夕焼けも赤!赤い色なんて、血以外にいくらでも他にあるでしょうが!馬鹿じゃないの!?」


「………雪花………」


「ケビン、聞きなさい!いいこと?瞳の色なんかで人を貶める人間こそが浅ましくて最低です!!ケビンや娘をよく知りもせずに悪く言う輩なんて、この私が根こそぎ殲滅してやります!!」


 ケビンを真っ向から睨みつける。ケビンが諌めたって、今回は引く気がない。


「いいですか!ケビン自身がその瞳を嫌いでも、私は大好きですからね!!」


 言うべきことは言った。なんか注目を集めてしまったが、後悔はしていない。私の本音をぶつけただけだ。


「………雪花……すまない。俺が間違っていた。俺は…本当にいい女を妻にしたな」


 あ、あれ?何故そうなる??いや、ケビンが間違いを認めたならいいのかな??


「…甘酸っぱいなぁ……」


 そして、マーロさんはまた何がツボったのか、痙攣している。彼の笑いのツボがよくわからん。


「…雪花が好ましいと言ってくれるなら、この瞳も好きになれそうだ」


「ええ。私の大好きな旦那様を貶めるのは、本人であろうと許しませんから。よーく覚えておいてください」


「…ああ」


 ケビンは嬉しそうに尻尾をパタパタさせた。動く尻尾を捕まえたくなるのはなんでだろう。ちょっとだけモフっても……と魔がさしたところで雪那達が戻ってきた。


「ママ!ワタチはチロウおにちゃとけっこんちまちゅ!!」


「………うん?」


「待て!話が違う!セツ姉、違うから!結婚とかしないから!セツナ、さっきの話をすっ飛ばすな!」


 慌てた様子のシロウ君。ごめんね、お姉ちゃんは展開がジェットコースター過ぎてついていけてないよ?

 ええと、雪那がシロウ君とけっこん…結婚……シロウ君ならうちの娘を全力で守って愛してくれるに違いない。


「おめでとう」


「セツ姉!?」

「ちゃちゅがはママ!はなちがはやいわ!」


「あれ?赤ちゃんでも結婚できたっけ?」


 まだ頭がから回っているな。マーロさんが床に倒れて痙攣している。ケビンは口をあけたまま硬直している。雪那は幸せにするわ、ダーリンとシロウ君を口説き、どう考えても早すぎると言うシロウ君。


「…これは脈ありね。ママは応援するわ」


「ええ!がんばゆわ!」


「セツ姉、あまりふざけない!」


 シロウ君いわく、雪那とは『大人になっても雪那がシロウ君と結婚したいなら結婚する』と約束したらしい。


「ふざけてないよ?シロウ君は優しくて賢くて変態じゃなくて家族を大切にしてくれそうな超優良物件です。母としてもオススメ。見る目があるわねぇ、雪那」


「ふふん、とーじぇんよ」


 シロウ君は信じられないものを見る目で私と雪那を交互に見た。


「…いや、俺貴族じゃなくて平民だし…」


「しがらみがなくていいよね、平民」


「ちょうね。きじょくはめんどうだからやーよ」


 同意する雪那。一応我が家も貴族らしいが、あまり実感がない。


「身分を気にするなら、うちに養子に来ますか?」


「エンリョシマス……」


 マーロさんが舌打ちした。結構本気だったようだ。


「か、金ないし…」


「ワタチがかちぇぐかや、いいわよ」


「雪那は賢いから、色々と手段があるだろうねぇ。それに、養われるだけの男になるつもりはないよね?」


「それは、そうだけど…獣人だし、見た目もパッとしないし…」


「ワタチ、チロウおにちゃのみためもちゅきだかやもんだいなちね」


「……………!??なっ!?」


「だぁいちゅき」


 ペロペロとシロウ君を舐める雪那。真っ赤になってアワアワするシロウ君。


「ふむ、これは新たに『赤き瞳の姫君と獣人少年の恋を応援する会』設立の予感ですね」


「すんな!!」


 聞こえたらしく威嚇するシロウ君。私は挙手した。


「会長、会員1号として入会します」


「ぶひゅっ!……歓迎しましゅ」


 笑いすぎてマーロさんが噛んだ。やはり残念なイケメンです。


「だから、すんなああああ!!」


 シロウ君の訴えもむなしく『赤き瞳の姫君と少年の恋を応援する会』は結成されてしまった。

 頑張れ、シロウ君!

 負けるな、シロウ君!!


 我が家の少年達にしこたまからかわれて暴れるシロウ君は、年相応の少年だった。でも、私は知っている。雪那といる時、シロウ君の尻尾がよく出る。そしてめっちゃパタパタしている。どっちも可愛いったらありません。

 姫様と団長は最近やることがなくなってきたので新しい風ですね!これからますます楽しくなりそうです。

byマーロさん

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