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酔っぱらい観察なんだよ

 サズドマの活躍(背後から手刀で一撃)により、副団長コンビは強制終了した。


「寝かせてきまぁす」


 副団長コンビを両肩にかつぐサズドマ。疲れたご様子だね。


「………大変ね」


「…たまには俺も酔いてぇわ」


 体質的によほど呑まないと酔わないらしい。ちょっとかわいそうかもしんない。


「わん!」


 副団長コンビをかつぐサズドマの周りを駆け回る雪斗。


「あ?チビ、踏みそうで怖いからチョロつくな…って、ヒメサマ!あんたのガキをなんとかしろよ!!」


「え?頑張れ」

「たのちいってゆってゆわ。がんばれ」


「オイイイイ!!この鬼畜母子おお!!」



「いや、いじめられるの好きでしょ?」


「こーゆーのは普通に困るわ!ガキをいたぶる趣味もねぇし!」


 わりと正論な文句言いつつオロオロするサズドマは、見てて楽しい。赤ちゃん狼に翻弄されるなんて、丸くなったよね。

 ケビンも苦笑しつつ傍観のかまえだし。同じことを考えてるっぽい。


「何を騒いで…ユキト、お仕事してる人を困らせんのはダメだ」


「きゅうん…」


 皆のお兄ちゃん、シロウ君により雪斗は大人しくなった。


「すいませんでした。ほら、ユキト」


「ごめちゃー」


 シロウ君にだっこされ、雪斗はケモミミ赤ちゃん姿で謝った。


「オマエさあ、なんでオレのゆーこと聞かねぇの?そいつのゆーことは素直に聞くわけ?」


「きゅうん?ママがチャウドマはこまらせていーよってゆった」


「ヒメサマのせいかあああ!ちょ!なんかオレに恨みでもあんの!?」


「ないよ~。ただ、赤ちゃん相手にオロオロするサズドマを見てると楽しい」


「ちっくしょおおおお!!」


 不利を悟ってか、サズドマは逃亡した。チッ、賢いやつめ。そして、雪斗が後を追う。逃げる獲物を追うのは狼の習性(サガ)。頑張れ、サズドマ。


「…セツ姉」


「はい?」


「その子、女の子?」


「そうだよ、私の娘だよ。名前は雪那ちゃんです」


 じっと雪那を見るシロウ君。雪那もじっとシロウ君を見ている。


「俺はシロウだ。よろしくな」


「あい。よろちくね。チロウおにちゃ、だっこ」


「え?あ、抱っこな?」


 慣れた様子で雪那を抱き上げたものの、首をかしげるシロウ君。シロウ君が気に入ったのか、抱っこされて尻尾をシタパタと振る雪那。

 そして、落ち着かないケビン。かわゆす。


「お、おとなしい……」


「おとなしい?普通じゃない?」


「いや、獣人の普通はユキトみたいなチョロ助だから。ガキの面倒を見るのは完全に体力勝負だからなぁ…こんなにおとなしい子は初めて見た。やっぱ女の子だからか?」


 全力ダッシュが基本らしい。出産が楽なぶん、大変だね!獣人の子育て。


「おにちゃ、ワタチいい子

?」


「ん?いい子だな」


 シロウ君に言われて、嬉しそうな雪那。アリかもしれないな。雪那があっちに行きたいとねだり、シロウ君はちゃんと私に許可をとってから移動した。マジでいい子だ…さりげなくスノウが動いた。護衛をしてくれるようだ。スノウもすっかり真人間…まではいかないけど丸くなったね。



 隣のケビンが悲しげに鳴いているので、私を抱っこさせてあげた。つまり、ケビンの手をとって後ろから抱きつかせた。


「アオン!?」


 おや、腕までモフモフ…はっ!掌に肉球が!肉球プニプニ…たま~にプニらせてくれるんだよね、ケビン。


「フニフニ~」


 容赦なく肉球をプニる私。ケビンの肉球は丸一日プニっても飽きない、魔性のプニ心地なのだ。


「ななななな、なんで!?」


「娘を取られて寂しいみたいだから、可愛い嫁が慰めてあげようかと。ついでに子供ばかりじゃなく、私にもかまってください」


「…ぐううっ…雪花はなんと愛らしいのだ…!」


 図々しい嫁に悶えるマイダーリン。ありがとうございます。ちなみに今はケビンを逃がさないようガッチリ手をホールドしている。こんな酔っぱらいだらけの場に置いていかれたら困るからね。周囲の皆さん、元側妃へのストレスが消えてハイになっているのだろうか。かなりのヨッパライダーの巣窟となっている。貴族的にアウトだろってぐらい酔ってる人もいる。


「ぐじゅっ、ようやぐ、ようやぐ頭の仇を討でまじだああああ!!草葉の陰からみまもっでくだざいいい!!」


「……うん。あのな、ミストル。私は生きてるからな?」


 明後日に乾杯しているじいと、つっこむケイ様。ケイ様がツッコミって珍しい。


「………見てるか、頭。若奥様がやってくれたぞ…」


「マサムネ…それテーブル。私はこっち」


 テーブルに話しかけるマサムネさんとつっこむケイ様。ケイ様がツッコミって珍しい。


「かじらあああああ!がんばっだがいがありまじたああああ!!のんでぐだざいいい!!」


「ちょ、おま!それ私のダーリンだから!王様だから!!」


 お義父様の口に酒瓶をぶちこむ多分元銀翼騎士を必死で止めるケイ様。ケイ様がストッパーって珍しい。


 屋敷の元銀翼騎士達と、元側妃に仕えてスパイをしていた元銀翼騎士達。特にスパイをしていた人達はストレスがひどかったのか、皆様愉快なことになっている。


 あ、強制的にお酒を一気させられてたお義父様が倒れてケイ様に抱きついた。


「ゲイイィィ!いぎででよがっだああああ!!あのクソ女どじんじゅうじなぐでよがっだああああ!!」


「は!?心中!?ナニをする気だったんだ!?」


 もはや、カオス。

 それに比べて、私はケビンのおかげで安心安全。寄ってくる酔っぱらいをケビンが自動で威嚇しています。


 まだまだ飲み会は続きます。

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