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変身したんだよ

 雪花視点に戻ります。

 寝ぼけてナニかをやらかし…いや、大体予想がつくな。可愛いあんちくしょうが鳴きながら遠ざかっていく。魔力を分けてくれたらしく、だるさがない。後でお礼を言うかな。


「すいません、副団長様。できる仕事、あります?」


「………昨日の事をもう一度詳しく話していただけますか?お辛いようでしたら、走り去った駄犬を捕獲してきますが」


「……大丈夫です」


 副団長様、人の旦那を駄犬呼ばわりしないでください。

 副団長様のジョーク?のおかげで少し肩の力が抜けたせいか、ちゃんと昨夜の事を話すことができた。


「つまりオバハンの逆恨みな」


「簡潔にまとめるとそう……かな?」


「しかし、子供を人質にするなど騎士の風上にもおけないな!」


 ケイ様はいつのまに来たのかな?まぁいっか。


「あ、ケイ様。孫の雪斗ですよ~」


 雪斗を紹介するが、当の本人は私の膝でお腹を見せて寝ている。すぴ~とか変な寝息をたてつつムニャムニャしていて間抜け可愛い。


「可愛いな…!」


 ですよね。

 うちの子超可愛いですよね!

 でも、私の膝にすがりつかないでほしいです。どう反応していいかわからん。


「きゅうん?」


 雪斗が起きた。至近距離にいたケイ様をクンクン……めっちゃクンクンしている。え?何??ケイ様くさいの??


「ははは!父ちゃんに似た匂いだろう!私はお前のばあちゃんだ!」


「くぅん?」


 多分だけど、ばあちゃんってなぁに?と言ってる。


「ばぁばはね、雪斗のパパのママ。家族だよ。」


「わん!」


 家族=遊んでくれる人と解釈したらしい。


「わん、わん!」


 遊んで遊んで~とケイ様にじゃれる雪斗。


「はっはっは。元気がいいな!そういえば、ユキトは人化しないのか?」


「くぅん?」


「人化すれば、セッカ…母ちゃんと話ができるぞ」


「わん!」


「よしよし。私の魔力を感じて、魔力をゆるやかに…」


 そして、雪斗は…

 うちの愛息子は……


「あえ?」





 立派なケモミミ赤ちゃんに、見事変身した。





「まぁま」


 ふにゃり、と私に笑いかけるマイベイビー!

 イエス!ケモショタ!!

 正義(ジャスティス)!!

 エキサイティング!

 ワンダホー!!


「我が人生に一片の悔いなし!!」


「奥方様!?」


 我が子の可愛らしさに鼻血を噴いて倒れる私に、サズドマから冷静なひとこと。


「似た者夫婦……」


「いた~のいた~の、な~いない」


「!?」


 また白い光が溢れ、鼻血が止まった。我が子、スゴくない!?


「雪斗、ありがとう!」


「あい」


「なかなかやるな、ユキト!」


「あい!」


「その状態で走るのに慣れるんだぞ。そうすれば、獣体と人体を自然と使いこなせるようになる」


「あい!」


 そして、我が子が走り…いや、ハイハイで去った。速かった。高速ハイハイだった。ハイハイとはあそこまで速度が出る移動方法だっただろうか。あっという間にプリティなお尻が見えなくなった。赤ちゃんってあんなに速くハイハイできるんだね……

※雪斗は現在全裸です。





「ゆ、雪斗おおおお!??」






「あまりの速さに出遅れましたね!騎士団、緊急任務です!!騎士団長のご子息を保護するのです!!」


「ユキトさまぁぁ!?」


 流石は副団長様。冷静な対処…でもないか!騎士団を私物化したらダメですよ!


「あああ、もうあんなとこに!まて!チビぃぃぃ!!」


 サズドマが追うが、高速のハイハイを会得した雪斗は速い。


「あきゃきゃきゃきゃ!」


 しかも、あれは明らかに遊んでもらっている…鬼ごっこと勘違いしている。


「ユキト様、お待ちください!」


「あきゃきゃきゃきゃ!」


 雪斗の進行方向にいたヘルマータを…飛び越したああああ!?


「えええ!?」

「馬鹿、退け…ぎゃあああああ」


 あ、サズドマとヘルマータが正面衝突した…。うちの子がマジでごめん…


「いた~のいた~の、な~いない」


 アフターケアも完璧だね。しかし、まだ遊び足りないらしい。サズドマが起き上がったらまた逃げた。他の騎士も捕まえようとするが、ありえない速さのハイハイで回避している。


「待てええええい!!」


 本気になったらしいサズドマは、すごい速さで雪斗に迫った。


「あきゃ~!」









 飛んだ。








 うちの息子、空飛んだ。多分だけど、あのままではサズドマに捕まると思ったのだろう。空飛んで逃げた。サズドマは跳躍はできても落ちる。


「もうお腹を空かせて戻るのを待った方がいい気がしてきました」


「…奇遇ですね。私もです……」


 遠い目をする副団長様と私。虫取り網なら…いや、無理か。私が現実逃避しかけていたら、可愛いあんちくしょうが雪斗をアッサリ捕獲した。


「魔力の使いすぎはよくないぞ?」


 ケビンの人外な身体能力は、息子を大幅に上回っているらしい。


「ぱぁぱ」


 ケビンの抱っこが嬉しいらしく、満面の笑みを浮かべる我が家の天使。


「我が人生に一片の悔いなし!!」


 天使の笑顔攻撃により、鼻血噴水となったケビンであった。



 そして、ようやく雪斗はお洋服を着た。


「うあああああ、可愛い…」

「うむ…愛らしい……」

「なんだこれは…可愛い…」

「ユキト様、可愛い…」

「ユキト様…」


 私リクエストの着ぐるみ服…おおかみさんのフード付き。尻尾とお耳が出る穴もある。獣化すると首輪になる便利アイテム。うちのケビンとスノウが作ったよ。


 はああ、雪斗がマジで可愛い!可愛いは正義!ケモミミ赤ちゃんに着ぐるみ服は最強の組み合わせだよ!!

 私、親バカ全開であります!!だって可愛いんだもん!!

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