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だるいんだよ

 身体が猛烈にだるいが、原因がわかっているからしかたない。

 だから私がケビンのお膝に乗っかり、ケビンの服の中に手をつっこんで腹筋を撫で回すのもしかたない。素肌を触れ合わせることで魔力回復しているのだ。そう、仕方なくしているのだ。ちょっと…だいぶ楽しいが、しかたないのだ。


 あ、尻尾が出てきた。もふもふ~。


「キャイン!?せせせ雪花!閨以外で尻尾は駄目だ!」


「んー?お尻を撫で回すみたいな感覚?」


「アオン!?か、感覚的には、近い……だ、だから駄目だ!」


 悲しげに、しょんぼりしてみせた。


「…ケビンの尻尾、好きなのに………」


「くぅん?きゅう……」


 あ、雪斗が自分の尻尾を差し出した。触っていいってこと?


「わん!」


 うむ、悪くない。毛が柔らかい…これはいいモフモフ感だなぁ。ケビンよりふわふわだわ。


「きゅふふ…」


 くすぐったいらしく、なんか笑ってる。


「こちょこちょ~」


「わふっ!わふっ!」


 くすぐったらとび跳ねた。ああん、うちの子可愛い!!


「………雪花。少しなら、尻尾…」


「わん!わん!」


「ほーら、取っておいで~」


 じいが買ってきた、雪斗お気に入りの鈴入りボールを投げると、雪斗が持ってきた。


「雪斗、おりこうさんだね。いくぞ、それー!」


「わん!わん!」


「雪花……………尻尾……………」


 鈴入りボールをいじりながらもちゃんと私の所にボールを持ってくる雪斗。うちの子、賢い!


「わん!」


「ようし、いくぞー!」


 今度はなんと、ボールの落下点を予測して空中でキャッチした!


「きゃー!雪斗すご~い!」

「わん!わんわん!」


「姫様…いえ、奥方様」


「はい?」


 雪斗とキャッキャしてたら、副団長様に声をかけられた。


「すいません、ご子息と楽しまれていて大変微笑ましいのですが…団長が……」


 ケビン?ケビンを見たら、耳と尻尾をしんなりさせて大きな体を丸めていた。


「おおぅ…」


「仕事に支障をきたすと判断しました。ご子息は私に任せ、団長のケアをお願いします」


「ずるいぞ、イシュト!俺もユキト様のお世話がしたい!ユキト様、こっちにおいで~」


「くぅん?」


 呼ばれて首をかしげる雪斗。とりあえずケビンをどうにかしなきゃなので鈴入りボールをガウディさんに渡した。


「わん!」


 ガウディさんが遊んでくれるんだと理解した雪斗は尻尾を振った。


「くっ、物で釣るとは卑怯な…ユキト様、こちらも楽しいですよ」


 それ、副団長様の私物なの?走るネズミのオモチャにユキトは大興奮。オモチャを尻尾を振りつつ追い回す。


「わん!わんわん!!」


 捕まえたネズミのオモチャを副団長様の所に持っていき、もっと遊んで!とねだる雪斗。


「かわいい…ええ、たくさん遊んであげますよ!」


「ぐっ!ほらほら、ユキト様!ボールですよ~」


「わん!」


 ボールを追いかけて走り出す雪斗。とてもほのぼのとした光景だけど、騎士団のツートップが何してんだろうか。うちの子が可愛すぎるからかしら。

 ちなみに騎士団のトップは私にブラッシングされて機嫌を直しました。大丈夫か、騎士団。それはさておき充電、充電。


「…雪花」


「はい?」


「魔力が減ってないか?」


「うん」


 あらら、気がつかれちゃった。あや?ケビンがしょんぼりしてる。


「そうか…だから今朝も…」


「たっぷり注いでもらったけど足りないみたい。また家でもいっぱいしてね?」


「!??アオン!?ぬあっそん、ゆゆゆ誘惑しないでくれ!魔力譲渡なら他にもやり方はある!」


 多分魔力補充のためにお誘いしたと思われたかな?それでもまんざらではないらしく、尻尾がパタパタしている。


「旦那様を誘惑しないでどうするの?ね?誘惑されてくれるよね?私は魔力だけじゃなく、ケビンも欲しいの。ねぇ、ちょうだい」


「グウウ……」


 ケビンは私のおねだりに弱い。めっちゃ困ってるわ。気をよくした私はケビンにベタベタ触りまくる。


「ずっと仲良し夫婦でいたいもの。いっぱい仲よくシテくれるよね?」


 ほっぺにキスしたら、すごい勢いで逃げられた。


「誘惑は家でにしてくれ!こんなとこで理性を完全崩壊させようとしないでくれ!大体、俺の全ては雪花のものだ!」


「はーい。でも魔力が足りないからベタベタはさせてね」


「きゅうん…」


 ケビンの膝に乗り、もふもふな胸に顔を埋めたり、首にスリスリしたり、見事な腹筋をサワサワしたり…幸せだなぁ。


「団長、そろそろ仕事してください」

「そうですよ、仕事してください」


 何故か副団長様とガウディさんが不機嫌な様子で告げてきた。雪斗は?と視線をやると、サズドマを追い回していた。


「シャザルぅぅ!お前子供の相手とか得意だろうが!なんとかしろ!」


「獣人の子供は専門外だよ。好かれてよかったじゃない」


 シャザル君に助ける気はなさそうだ。


「よくねーわ!万が一ケガとかさせたらシャレなんねぇ!!ヒメサマ!自分の子供だろ!なんとかしてくださいぃ!」


「いや、サズドマはそんなヘマしないでしょ」


 サズドマは案外面倒見がいいし、わりと周りをよく見ている。そんなヘマをするはずがない。


「フシュウウウウ!?」




『サズドマが鳴いた!』




 なんで鳴いた?サズドマは動揺したのか鱗まみれになっている。サズドマのツボがよくわからん。


「ちっくしょおぉぉ!!ついてこいや!チビ!!」


「わん!」


 雪斗は喜んでサズドマについていった。昨夜…というか明け方にハッスルしたので疲れていたらしく、私はそのまま眠ってしまった。

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