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 赤、緑、黄色、オレンジ、紫の各色に染められた全身を覆うスーツの女たちが、突撃隊員と格闘を繰り広げ、大暴れしている。

 その中で赤田斗紀雄が特製プロティンをぐいっと飲み干し、見る見る変身を遂げ、猛然と真っ赤なスーツの女に殺到した。

 まるで怪獣映画の一場面のような迫力で、二人が闘争を開始する。

 赤いスーツの女が斗紀雄に激突し、赤田はずっでんどうと地響きを立て地面に倒れ込み、呻き声を上げた。

 倒れ込んだ赤田は必死の思いで上体を起こし、逃げる流可男に向かって叫んでいた。

 ガッツ島に設置された、監視カメラの映像だった。

 スイッチが切られ、モニターが暗くなった。暗くなったモニターの画面に、赤田斗紀雄のむっつりと押し黙った顔が反射して映っている。

 赤田の背後から、免外礼博士が腕組みをして、乾いた口調で話し掛けた。

「まったく驚くべきことですな! 明らかにこの女たちは、筋力を倍加させる強化服を身に着けております。特にあの真っ赤なスーツの能力は、桁外れです。赤田君が敵わなかったのも無理はありません」

 窓のない広い部屋で、赤田斗紀雄、免外礼博士、朝比奈亜利紗総理の三人が集まっていた。部屋のあるのは突撃隊本部の地下で、豪華な調度と、座り心地の良さそうなソファ、足首まで埋まりそうな毛足の長いカーペット、飲み物を提供するカウンター・バーなどが揃えられ、いかにも居心地の良さそうな部屋だった。

 部屋の天井からは煌々と照明が灯り、部屋の隅々まで光を放っている。

 免外礼博士の言葉に、赤田斗紀雄は渋い表情を浮かべた。

 ガッツ島での敗北は、赤田の表情に暗い影を落としていた。

 二人から少し離れ、朝比奈総理は一人掛けのソファに楽な姿勢で座っている。身に着けているのは、カジュアルな上下の真っ赤なスーツで、長い髪の毛はきゅっと後頭部でまとめていた。

「ガッツ島と、ナデシコ島を襲った連中の正体は判明しているの?」

 総理の言葉に、赤田は上半身を捻じって答えた。

「証拠はありませんが、恐らく明日辺流可男を〝お兄様〟と呼ぶ女たちの一団と思われます。特に緑色のスーツを着た女は、肉体的特徴から、マンガ家の崎本美登里と思われます。あんな巨大な胸を持つ女は、そういませんから」

 朝比奈亜利紗の双眸が妖しく光り出した。

「明日辺流可男……確か、高校生のオタク男子だったわね。そいつが、今回の事件を引き起こした張本人よ! 明日辺流可男を確保できれば、解決は目の前と言っていいわ」

 一つ咳払いをして、赤田と朝比奈総理の注目を集めた免外礼博士は静かに語り出した。

「不思議なのは、彼女らが装備していた強化服です。極めて高度な技術が必要とされるあのような発明品を、いったいどこの誰が生産したのでしょう?」

 総理は目を細めた。

「何が言いたいの?」

「背後に大掛かりな組織があるのではないか、と愚考いたします」

 免外礼博士の言葉に、赤田はポカンと口を開いた。

「博士……あんた、何を言いたいんだ?」

 免外礼は鋭い目つきになって答えた。

「国外の勢力が背後にいるのではないか、と思われるのです。確証はないのですが、ガッツ島とナデシコ島のオタクたちを連れ去ったのは、原子力潜水艦だった、という目撃情報もあります」

「うーむ……」

 長々と赤田は唸り声を上げた。

 総理は考え考え、口を開いた。

「もし、その推測が当たっていたら、下手な動きは禁物ね。慎重に動かないと……」

 赤田は大きく頷いた。

「そうです! 強制捜査で一斉検挙も可能ですが、奴らの背後にいるらしき勢力を取り逃がす恐れもあります。わたくしとしては、背後の勢力を見極めてからにしたいですな」

 その時、ドアの向こうから急ぎ足で近づく音がして、せわしないノックの音が響いた。

 即座に赤田は命じた。

「入れ!」

 間髪を入れず、ドアが開くと一人の突撃隊員が入室して、赤田の目の前に進み出ると、さっと敬礼をし、きびきびと報告した。

「報告いたします! 明日辺流可男重要参考人の配下と思われる、女子高生、新山檸檬の姿を、監視カメラが補足いたしました。現在、被疑者を確保すべく、突撃隊秘密警察{シュタージ}隊員が急行いたしております」

 隊員の報告を聞いた総理は、薄笑いを浮かべ赤田に向かって話し掛けた。

「チャンスよ! どうやらその娘、単独行動をとっているらしいわね。密かにその娘を捕らえ、奴らを罠に掛けられれば……」

 赤田は勢いよく立ち上がった。

「よしっ! 何としてもその女子高生を捕らえるんだ!」

 立ち上がった赤田の顔は、興奮で紅潮していた。

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