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そもそもの始まりは……

 この長いお話の発端は何か、と考えると、やはり僕の幼児期から開始するべきだろう。

 それは僕が小学生──いや、もっと幼い頃──幼稚園くらいの頃だと思う。

 すまない……何しろ記憶が曖昧で、こんな言い方しかできない。

 がらんとした誰もいない部屋、多分、園内のどこかで、女の子が床に腹ばいになり、広げられた画用紙に向かい合っていた。

 絵を描いているのかと思ったら、何かの図面のようなものを熱心に書いている。

 女の子は僕と同じくらいの年頃で、多分、五、六歳くらいだ。

 髪の毛は真っ赤で、ピンク色の縁をした眼鏡を架けていた。眼鏡にはレンズが入っておらず、伊達眼鏡だった。

 僕は彼女の前に近づき、広げられている画用紙を覗きこむと、女の子は顔を上げ、不機嫌そうに口を開いた。

「おいっ! オイラの仕事の邪魔をするな! お前のせいで、影になるだろう」

 僕は女の子に尋ねた。

「何をしているの?」

 女の子は答えた。

「ロボットの設計をしている」

「へえ!」

 僕は俄かに興味を覚えた。

「どんなロボットなの? いつ、完成するの?」

 僕の質問に、彼女は難しい顔つきになった。

「判らねえ……。何しろ、部品が足りないし、肝心な動力源の問題もあるしな。けど、いつかオイラはこいつを完成させるつもりだ」

 僕の胸は躍った。

 その頃、テレビではロボットが登場する番組が大人気で、僕は夢中になって観ていたからだ。

「ねえ、僕にも手伝わせてよ!」

 僕の興奮に、女の子は皮肉そうな目つきになった。

「お前がオイラの手伝いをする、だと? 本気か?」

「うん! 本気だよ!」

 僕の答えに、女の子はニヤリと笑いを浮かべた。

「よし、それならオイラはお前を召使いにしてやる! オイラの命令にはなんでも従うと誓うか?」

 僕は女の子の言葉の意味を何も考えず、返事をした。

「うん。誓うよ! 僕、君の召使いになる」

 今になって思い返すと、それが総ての始まりだった。


 いや!

 本当はもっと以前。

 それは、百三十八億年前に始まる──。

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