First Love~2
暖かい日の光。
優しい風のにおい。
今日もいつもと同じ1日が始まった。
「おっじゃまっしま〜す!おぃ、笑架!!起きろよ!!」
「う〜ん…なに!勝手に入ってくるなーー!!湊のバカ!!」
「なんだよ!せっかく迎えに来てやったのに…」
「あっそ!んなの頼んでないから、さき行っていいよ。」
もう、朝からうるさいな〜!湊は!
「やだ。今日はお前に話があったから、迎えに来たんだよ!」
えっ?なに?なんかいつもと様子が違う…
なんで、こんなまじめな顔なの?こんな湊、今まで見たことない…
「…だから。」
「えっ?いま、なんて…」
「だから!俺、お前のこと好きだから。俺と付き合えよ。」
は、い?なんで、湊から告られてんの?
わけわかんない…
「は?意味分かんない。なんで、私があんたなんかに…」
「俺は本気なんだよ!そんな言葉で、俺の気持ちなかったことにするな!」
私の言葉は、湊の声でかき消された。
なんだよ、それ…なかったことにするなって、私に言ってるのか?
「ごめん、私は湊の本気には答えられない。」
絶対言わないと決めていた気持ち。
「は?!なんでだよ…」
なかったことにしたかった私の気持ち。
「…私っ!航のことが好きなの!こんな気持ち初めてで…」
でも、逃げていてもなにも変わらない。
私は、もう自分に嘘をつきたくない。
「そっか…ごめん。じゃぁ俺さき行ってるから。」
「うん、ごめんね。」
「いいって!きにすんなよ!お前にんな顔似合わねぇから。」
「ひっどー!なんだよ、それ!」
「じゃぁな…」
優しく微笑んで、湊は私の部屋から出て行った。
まるで、あの日の光のように、暖かい目をして―――
琉夏が航のことが好きだと言ったあの日から、何日たっただろう。
ただ、何気ない毎日が私は好きだったのに、今じゃ何かものたりない。
私は、恋愛なんかに興味なかったのに…
でも、航が来てから、私は変わった。
だからこそ、逃げないで向き合おうと思った。
「琉夏…あのさ…実は私も航のことが好きなんだ…」
ビックリした顔で琉夏は、私の目をみつけて口を開いた。
「そっか〜♪そうなんだ!大丈夫、気にしないで〜うち、今は湊のことが好きだから。」
えっ…いまなんて…
「えっえぇーーー!!!いつから?!」
「えっ?うんと、昨日から。」
そっか〜そうなんだぁ〜と、ホッとした顔で笑架は言った。
それから、私たちはいつも通り変わらない生活を送っている。
やっぱ、もう少し、今のこの青春をたのしんでおきたかったから…
告白する勇気が出たら、告白しよう!と思っていた。
中学3年。3月、卒業式の日―――
今日も、暖かい日の光や、優しい風のにおいが私のそばにあった。
「今日で、卒業か〜…やっぱ、さみしいね…」
「そうだね…3年間お世話になった、うちらの思い出の場所だもんね…」
「そうだっ!ねぇ、河原行こっ!」
「ちょっと、待ったー!笑架、さきにやることあるでしょ?」
「えっ?!…ごめん!琉夏!さき河原行ってて!!」
「はいはい。了解!頑張ってな!!」
「うん、ありがと♪行ってくる!」
私は、3年間過ごした思い出の場所をかけぬけ、校庭へ向かった。
あいつなら、あそこに居るからな、絶対!
そう思って向かった先には、航が居た。
「はぁ、はぁ…良かった!まだ居たんだ!」
「なに、お前走ってきたのかよ!どうしたの?」
「えっ?あっ…もう卒業だね…なんか、短かったな〜」
「そうだな。俺が来てから、もう2年たつのか…早いよな。」
また、いつもの優しい風が吹いた。
私の初恋もここで始まったんだ。
そして、私はあのころより大きくなった。変わった。
初めて、人を好きになって、初めて人に告白されて…
そして、今、初めて告白する。
「航!私、ずっと航のことが好きだったんだ!」
「えっ!」
「だから、付き合ってほしいとか言わないけど、航の気持ち知りたくて…」
「…俺から言おうと思ってたのに…」
「えっ?ごめん、よく聞こえない〜」
「俺も、お前のことが好きだ!俺と付き合って下さい!!」
「えっ!ほんとに?」
「嘘ついてどうすんだよ!」
「だって…私、夢見てるのかな?」
「だったら起きろ!」
「ありがとー!私も、航が大好きだよ!」
「おう。」
気がついたら、私は航の胸の中にいた。
暖かいこのぬくもりを私は、きっと忘れない。
だって、あんたは私が初めて好きになった人だから―――
春の風は、あのときよりも暖かくて、優しかった。
ただ何気なく過ごす、そんな日々がスキだった。
だけど、今は風に見守られてるって分かってるから、逃げずに向き合える。
そんな私とキミの初恋―――
最後まで読んで下さってありがとうございます!!
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