最終話 バットエンドは認めません!
やさしい木漏れ日が差し始める季節。
活気づいた森はその色を増し、命芽吹くあたたかな陽気につられ、わたしはゆっくりと目覚めます。
「よいしょ……っと」
わたしは土から出、ドレスについた土をふるふると落とします。
長い髪をくしくし。
白薔薇の髪飾りも忘れずに……っと。
その場でくるっとターン。白いドレス、赤い薔薇を模した裾が、ふんわりと弧を描きます。
「あのロリっ子、もといロリっ狐たちには感謝しなきゃいけませんね」
目の前には和歌恵ちゃんの住み家である大樹。
その虚の扉の向こうにはきっと彼女がいるのでしょう。
命は巡り――また新たな命として芽吹く。
その昔、椀ちゃんと槍ちゃんに胸をぐわしされたときに、わたしは意図せず胞子を捲いていました。その命の種は四季を越え、また“わたし”として命を宿しました――というわけですね。
いわゆる輪廻転生、というやつです。
ご都合主義?
なんとでも言ってください。
だって――これはわたしの物語ですよ?
ちょっとくらい良いじゃないですか。
「さてと! 今度こそおねーちゃんに会いに行きますかっ!」
わたしこと、色変色絵の冒険譚第二幕。
今度こそ――
今度こそは、姉と再会してみせますとも!