Sham Battle(3)
その後、俺はユーに『特別訓練につき、風紀委員会の訓練場にいるので』と適当な文面でメールを送りながら移動した。
場所は風紀委員会の本部が置かれている。第二校舎一階にある訓練施設でワンフロア―すべての壁を取っ払ったかなり広いスペースで、風紀委員がいつも訓練を行っている場所だ。
ちなみに、風紀委員会はさっき言った通り、第二校舎を主な勢力圏としているのに対して、監査委員会は第一校舎、軍事委員会は第三校舎に本部を置いて勢力圏としている。
とりあえず、第二校舎一階のトレーニングルーム的な場所まで来た。
「来ましたか。それではこちらへ」
風紀委員会副委員長、雛野百合華が出迎える。薄い茶髪のロングで後ろを髪留めでまとめている。ロリエの半分くらい開いた目が特徴的な基本的に大人しい。
荷物を指定された壁際のスペースに置く。
トレーニングルームはワンフロア―ほぼ全部使っているので、かなり解放的、窓は階段とトイレにあるくらいで他にない。地下室のような雰囲気がある。
3人は練習着に着替えるらしく、第3校舎一階の更衣室に行った。3つの校舎と1つの部室棟との連絡通路は二階と三階にしかないため、一度二階に上がり、連絡通路を通りまた下りなければならない。一階から行けないようになっているのには理由がある。一階にまで渡り廊下をつけると校舎がグルッと囲うようになっているので反対側にまわるには大幅に迂回しなければならなくなるからである。主にグラウンド側から中庭への行き来が大変になるからである。
「僕も着替えて来るわ」
光圀も更衣室かと思いきや、階段近くの男子トイレに入っていった。アイツはそういう奴だ。
俺は着替えない。あまり汗をかかないし、それに基礎練習をする気はない。実戦練習が始まるまで、本でも読んでいよう。
近くにあった椅子をトレーニングルームの隅まで持って来て座った。やはり本は落ち着く。
「はい、没収~」
本が俺の手から勝手に離れる。
「おい、返せ!!」
本を追いかけ取ろうとしたら、ポイッと部長が投げて御影先輩に渡った。
「訓練終わるまで、没収よ」
御影先輩が自分の鞄の中に入れてしまった。
仕方なく基礎トレーニングに参加しようとした時だった。
「そうそう、京四郎は射撃訓練場で先に撃ってきなさい」
「了解」
適当に返事をして射撃場に向かった。
俺はこの部の中では銃は得意な方だ。御影先輩は刀一筋だし、ユーは自分の能力の方が銃より威力が高いのであまり使おうとはしない。部長は基本M4カービンぶっ放すイメージしかないのが、なら銃の腕もあるだろうと推測できる。九戸兄妹は戦闘力低めなので論外である。
前のミッションでは部室に取りに行けなかったので、ナイフオンリーだったが、いつもなら拳銃を標準装備している。
射撃場は第三校舎裏の林の中にある。一端第二校舎の二階に上がり渡り廊下で第三校舎へ、それから一階におりて非常口からグラウンドに出て、さらに裏へまわり込んだ。
4m近い高さの金網の囲いが見えて来る。今回は風紀委員会が借りているため、扉の南京錠は開いており入れるようになっていた。
中に入ると射撃練習レーン15ヶ所あり、その左側にクレー射撃用レーンが10ヶ所、右側には人型のターゲットが移動する最新式の射撃レーンが5ヵ所の計30ヶ所ある。
クレー射撃用レーンは半径約50mの半円、円弧上のラインが引かれていてその両サイドにクレー射出用の機械がついている。その奥はコンクリート製の防壁と防弾製のシートで囲まれている。
練習用の射撃レーンはターゲットが25m、30m、50mの3つの距離で練習できるようになっている。
この学園は警護科や守護科などの『GUARDIAN』と呼ばれる警備員を養成する学科はないのにここまで設備が整っているのはとても珍しいことである。
既にクレー射撃レーンは射撃部に人たちが使っていたため、練習用の空いているレーンで撃ってみることにした。
俺が使っている銃は部室でさっき整備したH&K USPだ。使用弾薬は9㎜パラべラム弾で装弾数は15+1発、さらに俺のUSPにはフルオート機構が搭載されている特別製、実際にハンドガンをフルオートにしてもスペック的にはサブマシンガンにはかなわない上に装弾数も限られているがサブマシンガンよりはコンパクトであるとことと、ロングマガジンに差し替えれば装弾数はカバーできる、でもハンドガンなので支える部分が少なく、普通の人がフルオートで連射すると照準はかなりずれるが、俺はこんなインドア風に見えるが肩や握力、腕力がかなりあるらしく、フルオートで撃っても問題は無かった。
レーンに移動し銃をテーブルに置く、メガネをはずし、保護メガネを着用する。ポケットからマガジンを出して差し込み、スライドを引いて弾を装填した。
今日が今年度の初撃ちだ。少しだけ気合を入れようかな。その程度の意気込みだ。
そして銃を構える。俺が立っているレーンが一般的な距離25m先にターゲットが設置されているレーンだ。
俺が入ると近くにいた生徒が集まって来る。
そっと銃を構え集中する。照門と照星を見て微妙に位置をずらしていく。
風の影響はほとんどない。なら重力による影響と、発射時の反動による手のブレを計算すれば、狙い通りになるはずだ。
そこだ!!
俺はトリガーを引いた。
バァーーーン!!と銃声が響く。
「おおぅ!!」「かっこいい!!」
周りから歓声が上がる。それもそのはずだ。
銃弾は真っ直ぐとターゲットに向かって飛んでいき、中央の二十丸(◎)の中央より数ミリ干下に命中したのだ。
その後も俺は15発撃ち尽くすまで集中して狙いを定めた。
撃ち終わる、ターゲットには銃弾よりも少し大きめの穴が中央に開いていただけで非常にきれいな状態だ。俺も流石に穴ひとつだけつまりまったく同じところだけを狙うのは無理があるが、一つの穴しか開かないような撃ち方は可能だ。
でもこれは静止しているターゲットを狙うだけだ。実際の戦闘とは全く異なるため、本当の戦闘で役に立つか別問題だが、俺の腕はこんなものだ。
大変なのはこの後なのだ。
「各務原先輩、私に教えてください」
「俺にもお願いします」
この練習は新風紀委員が多く参加しているため、ノウハウを教えるためのものである。なので、俺は実質ここのコーチ役として呼ばれたのだ。
「わかったから、落ち着いてくれ」
適当のその場を沈めてから、まず銃の説明から入った。
風紀委員になりたての1年生は、一応さらっとは説明を受けていたようだが、よくわかっていないようだったので、一通りさっき使ったUSPを片手に銃の説明をした。
それから、銃を使う時の初歩的な注意事項や照準方法を教えてから、各自で実射してみることにした。
ここからは風紀委員の2、3年の人も一緒となり一人に一人つく形で実射練習を行った。




