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おやつ

 夜。テレビを見ながら緑茶をすする。まったりとした至福のひと時。……だけど、ちょっと寂しい。

 そうだ。確か羊かんがあったはず。ワタシは、羊かん探索のために台所へと向かった。

 あった、あった。羊かん発見。賞味期限も切れてない。喜び勇んで包丁を持ち出す。

 ……でも。

 刃を入れる段階で手が止まる。厚めに切るか、薄く切るか、ここは思案のしどころだ。

 聞くところによると、寝る前の食べすぎは体に悪いという。だけど、少なすぎても満たされない。

 う~ん

 包丁が、行ったり来たりを繰り返す。

 そういえば……。以前、聞いた話を思い出す。

 むかし、むかし。豊臣秀吉が、千利休宅に咲き誇る朝顔を見に行った際。利休は庭の朝顔を全部刈ってしまい、一輪挿しのみで出迎えたという。

 『侘び』の極意は、無いことから有ることを想うところにあるらしい。ならばワタシもソレに習おう。

 薄くひときれ切ったところで、再びワタシの手が止まる。

 ……でも、それって結局どういうことなのだろう?

 そもそも『無』と『有』の関係はとても難しい問題だ。

 う~ん

「姉ちゃん……。そうやって色々思い悩むのが、一番体に悪いんじゃないのか?」


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