のど自慢
昼休み。ワタシと蒲生さんと犬飼さんは、たいてい学校の中庭でお昼を食べることにしている。
今日も今日とて、三人そろって中庭に設置してあるいつものテーブルに向かって歩いていた。その途中。
「あれ? 川辺センパイと小室センパイじゃなかと?」
蒲生さんの視線の先、中庭の片隅に、並んで立っている二人組みを発見。
「刷毛なんか持って、何しよーとやろか?」
「さあ?」
川辺先輩と小室先輩は二年生の美術部員。ふたりはいつも一緒に行動している。でも、その行動は……。とにかく、不思議なのだ。
「一番、川辺椋。突然ですが歌います」
川辺先輩が刷毛をマイク代わりに、いきなり歌いだした。
『共存があり 個性がいきる 人も色も同じだろ~』
「カーン」
「な、なぜに?」
「椋ちゃん。それ、別な美術系4コマのEDテーマ」
「みゃび!?」
「続いて二番、小室楓。歌います」
『この心はひとつで~ ひとつのようで無限で~』
「カン、カーン」
「な、なぜに?」
「楓ちゃん。それも別な美術系4コマのEDテーマ」
「で、でも、鐘ふたつ!」
「古いね、楓ちゃん。本家本元ではもう、鐘ひとつは消滅してしまったのですよ」
「えぇ!? これはいわゆる、たてまえしゃかい~」
「……ねぇ、楓ちゃん」
「なんです、椋ちゃん」
「これ、ちょっとマズくない?」
「ううん、かなりマズイかも」
「だよねぇ。とりあえず、あやまっときますか」
「そうしましょうか。せーの!」
『関係者さん、ごめんなさい!』
「……あれ、何?」
「さ、さぁ……」
川辺先輩と小室先輩は、相変わらず謎なのだ。
歌詞引用元
作詞・Noria 作曲・酒井陽一 編曲・大場敬朗
「Coloring palettes キョージュいろ」からの引用
作詞・micco 作曲/編曲・菊池達也
「芽生えドライブ」からの引用