第三球
「いくぞ〜俺の直球〜」
「こいっ!」
シュッッ
ズバァァァアアンー!!!
「くっっ!いい球だぜ」
「よし、次はカーブだ!」
ズバァァンー!
俺の投げたボウルは綺麗に曲がり拓也のミットに収まった
「次は直球だー!!」
ドンッ
投げ放たれた球は地面にぶつかり
「くそっ、させるか」
拓也は前かがみになり必至でボールを抑えてようとするが嘲笑うかのようにバウンドが変わり後ろにそらしてしまった
「まったくどこに投げてるんだよ」
「わりぃー、ボールの縫い目に引っ掛かっちまって……」
まだ、ボールは止まることなくコロコロと転がるボールを追い掛けると誰かの足に当たって止まった
「……?」
ボールに気付き手に捕る
「スイマセーン、こっちに投げて下さいっ」
「いや、直接来るよ」
(いや別に来なくていいよ)
そう思いながらもボールを受け取る。
誰だっけ?この人?………あっ!いやっ違う…ん〜…あっ!!思い出した。
進藤先輩だ!
進藤先輩は二年で二番セカンドをしている。とても優しく頼りになる。
「ハイ」
ボールを差し出す
「ど、どうも」
「それにしてもいい才能を持っているな。将来が楽しみだよ」
拓也はとても嬉しかったのか、
「あっ、ありがとうございますっ!!」
「!?…キミは何を言ってるんだい?僕はあのピッチャーの事を言ってるんだがな…」
「エッ!?………そうなんですか……。」
ガビィィィーーン
まさにそんな効果音がピッタリの場面だった
一方、俺はと言うと拓也がボール拾いに行ってしまったので退屈だった
ボーッと空を見上げ飛び交う鳥を見たり、風が肌に当たり気持ち良かった、と思ったのもつかの間少しずつ体が冷めて寒く感じる時があった
「まだなのかよ…」
すると、向こうの方から二人の姿が見えた。逆光で顔まではわからないが確実にこっちに近づいてくる
(あれ……誰だ?)
きっと一人は拓也だろうと思いたい。いや、きっとそうだろう!
そうなるともう一人はなんだ?
「なー拓也だろ!?
もう一人は誰なんだ?」
「そう、俺は拓也だ
こっちが進藤先輩だ!お前ちゃんと敬語を使え!!」
そんな事は聞きながした。進藤先輩がゆっくり歩んでくる
するとやっと顔が見えた。髪はやっぱり短髪で顔は整っていてとても優しそうなイメージだ
「いや、別にいいよ」と、拓也をなだめる
「ほら先輩も言ってるんだし………」
「だからって目上の人には、けいご………………」
拓也の言葉を進藤先輩が遮る
「いや〜ね、さっきから見てたら結構出来そうだからね、そこでだ、俺と勝負してみないか?勝負は一打席。打とればキミの勝ち、ヒットを打てば俺の勝ち。どうだい?やってみないか?」
すると翔の心に火をつけた。
「ウォォー!! やってやるぜ!お前なんか三球で終りだ!!
首を洗って待っとけ!」
「そんな事しなくてもすくにやるよ
じゃあー行こうか」
先輩が行く先を見るとそこはグランドだ
まだ、練習があるんじゃ…と いいかけると 丁度一通り練習が終わって休憩している所だった
先輩はと言うとサハラ先生と何やら話して先生も納得したようだった
「おーい、翔!拓也!こっちにこい!」
そう言われて走って向かう
「おまえら二人でバッテリーを組んで俺と勝負だ!審判はサハラ先生がやってくれる」
「よっしゃ!はじめてのバッテリーだ!
必ず打ち取るぞ!」
「おい、拓也寝惚けてるのか?打ち取る!?なに言ってるんだ!三振捕るに決まってるじゃないか。お前は打ち取りたいのか?」
「そうだったな
わかった。二人で進藤先輩を三振にとろう」
そして闘いは始まった
「プレイベールっ!!」
サハラ先生の一声で始まった
ってか結構眩しいから。なにがって? それはモチロンあ・た・ま!
反射してるし、ピンポイントで目に当たってるし!
「眩しい………」
(あっ!言っちゃった。そりゃあ誰だってそう思うよ)
そんな事を考えないよう顔を振る
投球だけに集中する
「翔!何も考えず俺のミットめがけて投げてこい!」
(言ってくれるぜ。言われなくても投げてやるぜ!)
拓也がミットを構え、続いて進藤先輩が構える
セットポディションから第一球。
シュッッ!!
ズバァァーーアン
「ス、ストラーイク!」
進藤先輩はボールを見送った
「ふーん、なるほど。確かにいい球だ」
続いて第二球。
シュッッ!!
カキィィーンッ
ガサッ
打った球は後ろにいきフェンスに当たった
「よし、当たった!」
続いて第三球。
シュッ!!
カキィィーン
「あっ!」
白球は弾道を描きファール、フェアのギリギリを飛ぶ
「入るなっっ」
すると曲がってファールになった
「チッ!」
(タイミングは合ってきた。たが、まだ遅いか…)
(あ……あぶねー)
「翔の球は走ってる!次は最高の球を投げてこいっ」
続いて第四球。
シュッッ
カキィィーン!!!
見事にホームラン
おれ結構ガックリだし
「いや〜いい球だったよ。つい、燃え―――」
「ほんっと良かった!ホームランだったとはいえ、よく伸びていた。君が良ければ週末の練習試合出てみないか?」
あっ!遮った。
ま、どうでもいいか
「どうでもいいか。は無いだろ!バッテリー組んでたのに」
心の中読まれたっ!
こんな体験初めてだ
「モチロンいいっすよ!初めての試合で見事に完封してみせますよ」
「えっ!先輩良いんですか?いきなり一年を!?」
「いいんだ。コイツは!なんか将来期待できるからな…」
「ハァアー」
なんか納得いかないようだった
「それじゃ週末に出すから体調整えとけよ」
そして週末。
試合は始まった