○口だけ女と顔だけ男~或いは古の魔女と麗しの真珠王~
歴史ある王国ドネペジルには代々王にのみ継がれる秘宝があるという
この度めでたく王位を継いだアリセプト・エビリファイ・ドネペジルは、秘宝があるという秘密の小部屋の扉をドキワクしながら開けた
しかし、一面青に染められた部屋はがらんどうで、目立つものは扉の真正面の壁にぽっかり開いた拳大の穴だけ
アリセプトはガックリしながらも穴をのぞき込むと…
「人の口を覗き込むのがドネペジル王家の伝統なのかな?」
なんと穴から女の声
声曰わく、この穴は女の口であり、秘宝とは女のことらしい
穴に何が出来ると聞けば、女は齢3000を越す魔女であり、代々ドネペジル王家に助言を与えてきたらしい
それならばとアリセプトは政治上の悩みを相談するが、魔女はのらりくらりと交わし助言しようとしない
イライラしたアリセプトに魔女は言う
私はドネペジル王家に助言を与える魔女、但しその助言は政治や法についてではなくおねしょの直し方や、効率の良い暗記法くらいがせいぜいなんだよ
つ、つかえない…と再度ガックリするアリセプトに、魔女はクスクス笑う
「使えないとは失礼な王だね、誰のおかげで13まで続いたおねしょがなおったか教えてあげたいね、恩知らず王よ」
黒歴史を暴かれくずおれる王、笑う魔女
二人は、相談という名の井戸端会議を政務の合間に息抜きとして楽しんだりする仲になる
○ある日の会話
「我に群がる女って皆金や地位や我の美貌目当てで、嫌いなんだよね…我自身を見て好きになってくれる女の子いないかなぁ」
「王よ…それは金や地位や美貌くらいしか女を惹きつけるものが無いと自ら暴露しているのと同じだよ、みっともないからそういう愚痴は止めた方がいい」
「ぐっ…本当のことというのは人の心をこうも傷つける」
○キャラクター
・王
アリセプト・エビリファイ・ドネペジル
真珠を思わせる内から淡く輝くような白い肌と、柔らかな桃色がかった花珠のような白髪の美青年
後の歴史書で「麗しの真珠王」と称される顔が一番の取り柄な王
顔だけ王と陰で呼ばれていて、優柔不断で夢想家という愚王まっしぐらな性格だが、最低限締めるべきところのラインを見極めることはうまかったので、次代に可もなく不可もない状態で国をわたすことが出来た
側近からは何故ベストを尽くさないと言われるが、これが彼のベストである
・魔女
王家の始祖と共に戦ったとも、王家の始祖に封じられた邪悪な魔女とも言われる謎めいた女
しかしてその実体は、暇を持て余した普通の魔女で、代々の王の相談に乗りながら王をからかいおちょくって楽しんでいる
壁に開いた穴は実際には魔女の口ではなく、異世界にある魔女の住処に繋がっている次元の穴
魔女は世界を行き来は出来ないので、穴を通して会話したり小さなものを受け渡し出来る程度