○あたしフランケンシュタイン
正確にはフランケンシュタインは怪物をつくった博士
のんびり半身浴でリラックスしていた主人公は立ち上がったときよろめいて、バスタブに頭を強打して即死する
身体から飛び出した魂はキラキラ光る霊道を通って極楽浄土(別名エリュシオンもしくはマーグメルド、あるいは天の国)へ至ろうとしていた
しかし、門をくぐろうとしたその瞬間、主人公の足に白く美しい腕が絡み付き、強い力で引っ張ろうとしていた
見れば腕は空中にあいた黒い穴から伸びている、しかもその黒い穴なんだかまがまがしい
必死に門にしがみつく主人公の努力虚しく、一本釣りの要領ですぽーんと気持ち良く穴に吸い込まれてしまう
気付けばそこは薄暗い部屋だった、部屋には血色の悪い不健康そうだけどこういうのに限って長生きするんだよ間違いないと十人中十三人が言うだろう美青年がいた
彼は主人公に勢いよく抱き着き言った
「ずっとずっと逢いたかった、私のユウコ」
ちんぷんかんぷんな主人公に構わず、彼は主人公に鏡を持たせる
鏡の中にうつるのは青い瞳が印象的な絶世の美女だった、呆然とする主人公に気付かず彼は解説する
その瞳の青さは素晴らしいでしょう?持ち主から譲り受けるのに苦労したんですよ、とか、真珠のような歯は亡くなったばかりの方のものなのでちゃんと生きてるんですよ、などドン引き間違いない無しの解説
「美しい貴女を飾る肉体は美しくなければいけない、かき集めるのは大変でしたけど貴女にまた逢えると思えば苦労もまた楽しみにかわるものなんですね」
とか爽やかに笑う彼だが、要するに死体や生きた人間から奪った美しいパーツで主人公の現在宿る身体は構成されていることになる
こうして主人公は継ぎ接ぎの身体と、纏わり付く美青年を抱えるはめになったとさ
○キャラ
・主人公
佐川裕子
長風呂が趣味の女子高生
死因は、とろみのある入浴剤いりの湯で滑って転んでの頭部強打
グロ耐性がない怖がりなので、自分の身体のメンテナンスが一番嫌な時間
メンテナンスは首から下のパーツ全てを取り外して部位ごとにバラし、特殊な薬液に二時間漬け込む、異常があれば青年が新しいパーツをモルグの名無しさんから盗ってきてくれる
パーツたちは特殊な薬液と処置のおかげで、細胞が生きているので腐らない、なんと髪や爪も伸びるという好代謝っぷり
本来ならあるべき脳のかわりに、主人公の魂が宿る核が頭蓋におさまっている
ちなみに核はなんか肉っぽい塊
継ぎ接ぎの身体は、まるでどこかの姫のような高貴な美女
主人公の要望次第でどんな姿にも変えてくれるらしい
しかし当然ながらそのパーツは死体からだったり、生きてる人からだったりするので主人公は断固拒否している
・青年
マグミット・イミグラン
不健康そうだけどこういうのに限って長生きするんだよ間違いない、そんな感じの美青年
ミルラと没薬の良い香をつねにまとっているが、オシャレなわけではなく単に趣味のミイラ作りにそれらを使用しているから
理性や良識は人並みにあるけど、並外れた執着で華麗にスルーしている
幼い頃に一週間ほど、主人公の夢と彼の夢が繋がったことがあり、そのとき主人公に惚れて、それ以来主人公を手に入れるため召喚術を学んだ
しかし物質が世界の壁を越えるのは不可能と気付いた彼は、魂だけにした主人公を召喚術で呼び寄せて、死体からつくった器に縛り付ける方法を思いつき、死霊術師にくら替えした
死体の防腐や代謝保全の手間を考えれば、生きている人間の魂を抜き取り器にするほうが楽なのに、主人公の器の殆どが死体からのものなのは、死者である主人公との親和性を高め、器から抜け出せなくするため
ひいては自分から逃げられないようにするためである
ちなみに器の容姿がお姫様風なのは、夢であった主人公がお姫様みたいになりたいと言っていたから