○うたわない歌姫
産まれてこのかたミッション系女子校にしか通ったことのない女子高生清原歌子は、名前通り歌うことが好きだった
ある日、朝の日課であるお御堂掃除後気持ち良く歌っているところを時空の歪みに飲み込まれ異世界へ
気付けば、歌子は円卓の間で彼女をよびだしたという神々によって会議にかけられていた
異世界から来た異分子である歌子を受け入れればこの世界に異変がおこるかもしれない、だからこのような異分子さっさと殺してしまう方がよい、という意見が声高に交わされる中、紺色をした長髪の男神は断固として反対した
結局、罪なき命を刈るのは忍びないという意見が過半数に達し、歌子は異世界で生きることに
何の加護もない彼女がこの世界を生きるのは大変難しいので、先程殺処分に反対していた紺色の神の眷属となり、加護が与えられる
音楽神である紺色の神を信仰する小国に降り立った歌子は、そこで保護される
音楽神の眷属となったことで、歌うことにより強力な奇跡を起こす力を得る
しかし、どんな歌でも奇跡がおこるかというとそうではない
神が定めた歌(神歌と呼ばれる)を歌ったときのみ奇跡はおこる
神歌を歌うものは歌術師と呼ばれる
ちなみに奇跡:防壁の神歌は日本語の歌である「たんたんたぬきのきん〇まは~略」である
神歌は音楽神の独断と趣味で決められている
○主人公
清原歌子
軽く外にはねた肩くらいの髪と、釣り目とたれ目のちょうど中間の大人しそうな顔立ち
表面上はしとやかに見えるが、かなり気が強い女子高生
好きなものは歌、特に聖歌童謡など
歌うことで奇跡をおこす力に最初は喜んでいたが、肝心の神歌がセクハラまがいの歌が多いため、日々音楽神に対する不満と不信と軽蔑を溜め込んでいる
夢で音楽神と会うことが出来るのでそのとき文句を言うが、逆に「えー良い歌だろうがよ、そんな嫌なら今歌って慣れとけよ」とニヤニヤ笑いながら強制的にセクハラ神歌を歌わされるので、不満を言わなくなった
○音楽神
紺色の長髪の神
釣り目であっさりした顔立ちで、嫌がらせをするときのニヤニヤした笑みが似合う
歌子の殺処分に反対したのは、日本びいきであったため
神歌の九割以上が日本の歌なのもそのため
好きなことは、歌をきくこと、好みの娘にいやらしい歌を歌わせること
最近のマイブームは
「ほら聞こえねえよ、ちゃんと歌わなきゃ夢から醒めないぜ」
と、きんたのぼう○んを歌子に歌わせること
(のちに、その歌を大変気に入った音楽神は、奇跡:浄化の神歌に指定した)
セクハラが趣味の割には肉体的接触がかなり少ないことから、へたれであると推測出来る
○歌術師
歌子が降り立った小国の筆頭歌術師(所謂宮廷魔術師長みたいなもの)
とても良い声で、音域の広さ、豊かな声量、確かな技術、全て最高のレベル
しかし頭がかたく想像力が乏しいので表現力が伸び悩んでおり、希代の、とまではいかない
常に百パーセントを出せるけど、百二十パーセントは出せないタイプ
神歌を彼が歌うたび歌子は吹き出しそうになる
いくら美声で上手かろうが、歌詞がたぬきのき○たまではそれも仕方ないこと
異世界の言語で綴られた歌詞の意味を彼が理解出来ないことが救いだろう