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6. 火属性の魔法使い・エリナ

クラドと共に、国王様の住む王都への同行初日。

祭りが終わった村を離れ、次の目的地へと向かっていた私たちは、まだ日が空に昇っているにもかかわらず、適当な場所を見つけて野宿することにした。


森林の中は、思っているよりも日が早く沈むからだ。

もっと動けるとしても、日が暮れる前に適当な場所を見つけたら、それ以上移動せずに立ち止まり、やってくる夜に備えなければならない。

そうしなければ、困った事態に陥りやすい。


「ここが良さそうです。」

「いいですね。」


地面が少し平らではないように見える。

ここに横になって寝れば、寝返りを打ってしまいそうだが。

寝る前に魔法で地面を平らにならせばいいだろう。

クラドにもしてあげたいが、騎士だから野宿には慣れているのではないだろうか……?


私たちは周囲を整理し、持っていた荷物を解いた。

荷物と言っても、剣や簡単な小物がすべてだったが。


「火を起こす枝を拾ってきます。」


メラメラ。


枝を集めて真ん中に置き、火を灯した。

他の人と野宿するのも久しぶりだからか、少しは遊びに来たような気分になった。


さあ、焚き火を囲んで夕食を食べようとしたところ。

クラドが袋をまさぐりながらガサゴソさせると、硬いビスケットを取り出すではないか。


まさか、あれを食べるつもり?

懸念した通り、ビスケットを口へと運ぶクラド。


「ちょ、ちょっと!」


私は急いで彼を制止した。


「なぜです?」

「それを食べるつもりですか?」

「はい。何か間違いでもありますか?」

「大間違いですよ!」


思わず眉間にしわが寄る。

乏しい環境であればこそ、一食を食べるにしても最善を尽くすべきなのに、あんなもので食事を済ませようとするなんて?


私と一緒にいる限り、そんなことは絶対に許されない。

前の村で食べるものを買いに行こうと言ったことがあるのだが。

自分はもう準備したから、私が食べるものだけ買えばいいという言葉に、一人で買い物に行ったのだ。

私たちが出会ってから日も浅いし、騎士が女性と一緒に買い物をするのが恥ずかしくてそうしたのかもしれないと思い、それ以上は勧めなかったのだが、こうなると分かっていたなら首根っこを掴んででも連れて行ったのに。


私は予備の食料を取り出し、クラドに差し出した。


「受け取ってください。」

「私は本当にこれだけで大丈夫です。」


だが、私が差し出した救護品を拒絶する。


「次の目的地まで遠いわけでもありませんし、足りない栄養分は後で補充すればいいですから。」


呆れた言葉に少し腹が立ちそうになった。


「腕が痛いですから、子供のように振る舞わないでください。他人が好意を見せたら、こういう時はありがとうと言って受け取るものです。分かりますか? 体が資本の人が。もっと気を遣っても足りないくらいなのに。」


殊更怒ったふりをすると、ようやく予備の食料を受け取っていくクラド。


「……ありがとうございます。いただきますね。」


うん、そうだ、それでいい。

一口かじると。


「美味しいですね。」


私が選んだ食べ物が美味しいと褒めてくれた。

その言葉に、にっこりと笑った。


それでは、私も食べてみようか。

まずは干し肉からちぎって食べた。

口に入れた途端、花火のように弾ける豊かな肉の味。

一日中歩いた後に食べるからか、正気を失うほどに恍惚となった。


クラドはこんなものを差し置いて、硬いビスケットでも食べようとしていたの?

食べ物の味を知らない、可哀想な人なんじゃないかしら?

これもすべて騎士になるんだと修練ばかりしていたせいだわ。

修行が人をダメにしたという気がしてくると、彼が不憫に思えてきた。

王都に行けばお別れだけど、それまでは私が面倒を見てあげなきゃ。


味を噛み締めながら夕食を食べていると、私が渡した食べ物をすでに平らげたクラドが、私をじっと見つめているのが感じられた。

たくさん持ってきたわけではないけれど、人がお腹を空かせて他人が食べる姿を見つめているのを無視できるはずがない。

私は横に置いて食べようとしていたものを差し出した。


「もっと食べますか?」

「結構です。」


今食べた分で十分だという言葉に、素早く手を引っ込めた。

拒絶によって気まずくなった空気を打ち破ったのも、彼だった。


「それよりも、そのように食事にこだわる理由があるのですか? 普通は金もかかりますし、保存も容易ではないので、私のように簡素に済ませるのが一般的なのですが。」


眉間にしわを寄せて深刻そうに悩んでいたのは、それのせいだったの?

何をそんなことで深刻に悩んでいるのかしら。

教えてあげられない理由はないけれど、そうなると話が長くなってしまう。

そのためには、師匠に出会った時の話から始めなければならなかった。


うちの師匠と一緒にいれば、誰だって私のようになるはずだ。

食べるものは、ほとんど私が調達しなければならなかったから。

昔のことを思い出す。

あまりにお腹が空いて森に生えていたキノコを拾って食べ、一日中苦しんだことや、木の実を拾って食べたらあまりに辛くて、涙と鼻水を流しながら泣いたこと。

私はこんな退屈な話を並べるよりは、いっそ自分が食べ物に対する姿勢を教える方がいいだろうと考えた。


「一度過ぎ去った食事の時間は、二度と戻ってきませんから。面倒なことを我慢して少し動けば、より美味しいものが食べられるのに、しない理由がないじゃないですか。」

「うーむ、難しいですね。私は普段、食べ物を口にするのは、生きるために腹を満たす目的ですので……」

「難しいことなんて何がありますか。簡単に考えれば、クラドが騎士になるために注いできた努力の一部を、私は食べる幸せを見つけるために使っていると思えばいいじゃないですか。」

「そう言われると、ますます分かりません。」


分からないというクラドの言葉に、私は肩をすくめた。


クラドが私の言葉を考えている間に夕食を済ませようとしたのだが。

焚き火を見てやってきたのか、人々が何かに追われているような様子でこちらに向かってきていた。


「助けて! 助けてくれ!」

「化け物が来るぞ!」


うえっ! せめてご飯は食べさせてよ。


化け物という言葉に、クラドが剣を手に取って立ち上がった。

私も持っていた干し肉を一口で口に放り込み、その場に立ち上がった。


化け物だとしたら、魔獣かしら?


「助けてください!」

「こちらへ。」


素早く駆け寄ってくる三人。

彼らの手には農具が握られていた。

顔が日に焼け、手に土がついていることから推測するに、農夫のようだった。


二人は私が頼りなく見えたのか、クラドの隣に行って立った。

顔には「怖くて死にそうです」と書いてあるかのように、ひどく怯えているのが言われずとも分かった。


「近くに寄るな、離れろ。」

「は、はい!」

「どこで、誰に追われているというのだ?」


農夫たちに向けられるクラドの声には、今まで経験したことのない冷徹さが混じっていた。

クラドの言葉に、自分たちがやってきた小さな丘を指差すが。


「あそこで魔女が、俺たちを殺そうと追いかけてきているんです。」

「そうです。完全に狂った女ですよ!」


化け物だと言うから魔獣かと思ったのに、女だって?

女が、何のために金も持っていなさそうな人たちを追いかけてくるの?

事情は分からないが、男たちがこれほど怯えているのを見ると、魔獣より危険な女であることは間違いない。


私たちは、その魔女という人が来ているという方向を注視した。

しばらくすると、夕日を背にして一人の女が姿を現し始めた。

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