18
今日はあそこで寝られそうだわ。
うきうきして、私の足取りは一段と軽くなった。
丸太の柵で作られた壁の前まで来て、足を止めた。
「誰だ!」
多少神経質な声。
でも私は今、ベッドで寝られると思うと気分がいい。
「こんにちは! 私はリエンといいます。中に入れてもらえるよう、門を開けていただけませんか!」
「帰れ! うちの村は当分、部外者を受け入れるつもりはない。」
ええっ?
どういうこと?
人を受け入れないなんて。
ここまで来るのにどれだけ時間がかかったと思ってるの!
他の場所に行くにはさらにずっと歩かなければならないかもしれないし、どうしてもこの柵の村に入らなければならなかった。
「そんなこと言わずに! 私たちを入れてくれませんか! 隣にいる人、お金持ってますよ!」
ちらりとクラドを見る柵の上の男。
けれど、金持ちだという言葉にも、中には入れられないと強硬な姿勢を見せた。
その時、隣にいたクラドが一歩前に踏み出し、柵の上の男を見て大声で叫んだ。
「村長に伝えてくれ! 騎士クラドが来たと。」
「騎士? 少々お待ちを。おい、お前はここを見張っていろ。」
二人が柵の上にいたが、年上に見える男が村長にクラドの言葉を伝えに去っていった。
彼が去ってからいくらもしないうちに柵の門が開き、髪の白い老人と、さっき柵から離れた男が姿を現した。
「いつまた来られるかと待っておりました。あまりに来られないので、私が死んでから来られるのではないかと思っていましたよ。」
「久しぶりだな。その間、ここには変わりはなかったか?」
「こんな山の中に住んでいれば、色々なことは常に起こるものですよ。ここで立ち話も何ですから、中へご案内します。ところで、隣のお嬢さんは?」
「仲間だ。」
「あぁ、お仲間でしたか。」
なんだか惜しむような目で私を見る。
なぜ……?
「私はこの村の村長、トーマスです。」
「クラドの仲間のリエンです。よろしくお願いします。」
「はは、こちらこそよろしくお願いします。さあ、中へ。」
そう言いながら村長が。
隣にいた男の後頭部を音が出るほど叩いた。
以前、クラドと名乗る者が来たらすぐに通せと言っておかなかったか、と。
「いや、そんなのどうやって覚えているんですか。」
「この野郎、それでも。」
クラドは前にもここに来たことがあるのかしら?
村長がクラドを歓迎している様子だった。
そして私たちは、村長の家に招待された。
「何もありませんが、たくさん召し上がってください。」
「……」
「いただきます!」
これくらいなら、野宿に比べれば豪華な食事だわ。
私は真っ先に肉を手に取った。
一口かじってみると、どこかで食べたことのある味がした。
「熊の肉?」
「ほう、山の中なので、時々柵の周りをうろつく奴らがいるのですが、それを捕まえたのです。」
「久しぶりに食べるせいか、美味しいですね。」
「たくさんありますから、たっぷり食べてください。」
村長の言葉通り、本当にたくさん食べた。
お腹がぽっこり出るくらいに。
「げふっ。」
しまった、思わず。
大きな音ではなかったけれど。
そっと周囲を窺うと、誰も気にしていない様子だ。
食事を終えると、村長が茶を飲むようにと茶碗を持ってきた。
「食用にできる花を摘んで乾かしたものです。」
茶碗に花を入れてお湯を注ぐと、乾いた花が生きているかのように花びらを大きく広げた。
「不思議。いい香りですね。」
「余所者は受け入れていないそうだね?」
「はい。もしや、先日空で起きた爆発をご覧になりましたか?」
「見たよ。山脈の近くにいる者はみんな見たのではないか。」
私は村長が出してくれた茶をすすりながら、二人の話に耳を傾けた。
「そうでなくてもこの山脈には多数の山賊がおりますが、先日の件で外部からも人が押し寄せるのを懸念し、当面の間は部外者を受け入れないことにしました。昨日も山賊が立ち去った直後だったため、村の者たちは皆、神経を尖らせていました。先ほどの無礼はどうかご容赦ください。」
「気にしていない。」
お金になるものを見てやって来る人々を警戒したのね。
つい最近のことなのに、もう人が集まるのを心配するほどだなんて、よほどお金になるものに違いないわ。
その後、クラドが問い、村長が答える時間が続いた。
翌日。
村を見て回ると言って外に出たクラド。
私一人でじっとしているのも気が引けたので、私もクラドについて行った。
すると一部の人たちがクラドを見て、知り合いであるかのように自分から話しかけてきたりもした。
食べ物をくれるので受け取っているうちに、いつの間にか私の手にある籠は食べ物でいっぱいになった。
こんな村の歓迎ぶりが気になって、クラドに尋ねた。
「クラドを知っている方が多いですけど、前にここに来たことがあるんですか?」
「修行生時代にここへ派遣されたことがあります。その時、この村を拠点に仲間たちと山賊を掃討したのです。」
あぁ、だから村長さんをはじめ、年配の方たちはクラドを覚えているのね。
それにしても、話を聞く限り一人ではなく数人で来たようだけど、特にクラドを覚えているところを見ると、よほど仕事ができたのかしら。
一緒に村を回り、補強が必要そうな部分が見つかると、後でどうすればいいかを住民たちに伝えてあげていた。
そうして柵の村に数日滞在しながら、次の移動のための準備を終えた。
そうして村を去る日が訪れた。
私たちは村人たちに見送られながら、道へと踏み出した。
「私に任せてください。安全な道をご案内します。」
そして、私たちに案内人が一人ついた。




