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こわがりウメコ

掲載日:2026/01/01


 ウメコが(うち)()(とき)、ウメコは五歳(ごさい)だった。

 ウメコは(ひと)(こわ)い。

 (わたし)(はじ)めて()たウメコは、お(とう)さんの(くるま)のトランクで(からだ)(まる)めてふるえていた。

 ウメコは保護犬(ほごけん)人間(にんげん)(こと)(こわ)がっていた。

 首輪(くびわ)にリードを()けて(にわ)()してあげると、グイグイと(わたし)をひっぱって、(にわ)(すみ)(からだ)(かく)してしまった。

 (にわ)(かべ)()()けた()っかにリードを開閉(かいへい)するリングでくっつけて、(わたし)(いえ)(なか)(はい)った。

 (いえ)(なか)から(かく)れてウメコの様子(ようす)をうかがう。

 ウメコは(おそ)(おそ)(にわ)(すみ)から()てくると、縦長(たてなが)(おお)きな(しろ)鉢植(はちう)えの(うら)(かく)れた。

 夕方(ゆうがた)になると、(わたし)餌入(えさい)れにドッグフードを()れて、(にわ)()いた。

 ウメコは()になるのか餌入(えさい)れに近寄(ちかよ)ったが、ドッグフードを()べない。

 (わたし)はウメコから(はな)れて()()けて(すわ)った。

 ウメコは遠慮(えんりょ)がちに(すこ)しづつドッグフードを()べた。

 ウメコがドッグフードを()(おわ)わると、玄関(げんかん)(よこ)のスペースに設置(せっち)した犬小屋(いぬごや)にウメコをつないだ。

 ウメコは犬小屋(いぬごや)(かく)れるように(はい)った。犬小屋(いぬごや)はウメコのために(あたら)しく()った(もの)だ。

 ここには(むかし)、この(いえ)()っていた前犬(まえいぬ)()らしていた。前犬(まえいぬ)野良犬(のらいぬ)で、ある()(いえ)(にわ)にやって()て、()(いぬ)のように堂々(どうどう)()ていた。人間(にんげん)()()れしい、ウメコとは真逆(まぎゃく)性格(せいかく)だった。

 (つぎ)()(わたし)はウメコと散歩(さんぽ)()った。ウメコは散歩(さんぽ)には積極的(せっきょくてき)だった。ウメコはコンクリートに(からだ)(こす)()けるので、ハーネスが一週間(いっしゅうかん)でボロボロになった。

 ウメコは(くるま)(こわ)い。

 散歩(さんぽ)(くるま)(ちか)づくとウメコは(にげ)げようとする。(くるま)がブロロウと(おお)きな(おと)をたてると、ウメコも(おお)きく反応(はんのう)する。それもなぜか道路(どうろ)横切(よこぎ)って反対(はんたい)(にげ)げようとするので(あぶ)ない。

 ウメコは体重(たいじゅう)(じゅう)キロほどの中型犬(ちゅうがたけん)だ。ウメコが(ちから)いっぱい()()るとかなりの(ちから)だ。(わたし)はそれに()けず、ウメコが道路(どうろ)()ないように()()る。(くるま)(とお)るたびにウメコとの綱引(つなひ)きが(はじ)まる。散歩(さんぽ)(とき)丈夫(じょうぶ)(くさり)のリードを使(つか)うことにした。

 ウメコが()てから数日後(すうじつご)、その()はウメコが(いえ)()てから(はじ)めての(あめ)だった。

 (いえ)(なか)にいた(わたし)はウメコの犬小屋(いぬごや)(ほう)からバキバキと(おと)がしたので()()った。

 ウメコは犬小屋(いぬごや)(まわ)りにある格子状(こうしじょう)()(さく)(あな)()けて、(さく)()こう(がわ)()ていた。(あめ)()たれて()れたウメコは、不安(ふあん)そうな(かお)(わたし)()た。

 ウメコは(あめ)(こわ)い。

 ザーザーと()(あめ)()れたウメコの(からだ)をふくために玄関(げんかん)にウメコを()れた。

 玄関(げんかん)のタイルに、前犬(まえいぬ)使(つか)っていた毛布(もうふ)()き、(わたし)(すわ)るとウメコはふせをして、(わたし)(あし)(あご)()せてきた(はじ)めてウメコからの信頼(しんらい)(かん)じた。

 その()から、(あめ)()はウメコは玄関(げんかん)ですごすことになった。(いえ)(なか)でウメコは(あめ)(おと)(すこ)しずつ()れていった。

 しかし、ウメコは突然(とつぜん)(あば)()し、壁紙(かべがみ)毛布(もうふ)()みつきビリビリにした。

 ウメコは(かみなり)一番(いちばん)(こわ)い。

 ゴロゴロと(かみなり)()こえると、ハァハァと息遣(いきづか)いが(あら)くなり、(くち)から(なが)(した)をダラリと()す。(した)(さき)からヨダレがポタポタと()ちるが、ウメコはお(かま)いなしだ。

 (わたし)(よこ)で「大丈夫(だいじょうぶ)だよ」と(からだ)をさすっても、ビシャーンと(かみなり)()ちると、それどころじゃないと()わんばかりに(あば)れる。

 (かみなり)()(はじ)めると、ウメコは(みみ)をピンと()てて、玄関(げんかん)(そと)()る。(かみなり)()ちると、玄関(がんかん)から(いえ)(おく)()こうと、リードを限界(げんかい)まで()()る。フローリングをまるでロッククライミングをするように、(あし)(つめ)をたてて(つか)み、さらに(くち)でフローリングを()んで、リードの限界(げんかい)より(まえ)(すす)もうとする。

 (わたし)はウメコの(からだ)にしがみ()き、フローリングに()()くウメコを()()がす。

 (わたし)がウメコを(いえ)(おく)()かないように、ウメコの(まえ)(すわ)ると、ウメコは(わたし)(のぼ)って(おく)()こうとする。(わたし)はウメコを()()めて、(からだ)をさすってあげる。

 夜遅(よるおそ)くに(かなり)()むと、ウメコは警戒(けいかい)玄関(げんかん)()ながらふせる。(わたし)(つか)()てて玄関(げんかん)()ってきた毛布(もうふ)にくるまって(ねむ)る。ウメコは(わたし)にくっつかない。(ひと)()れながら(ねむ)りたい(いぬ)ではないのだ。

 (つぎ)()()れた(にわ)でウメコは(はし)(まわ)る。(わたし)はウメコの元気(げんき)がない(とき)()(こと)はない。(たの)しい(とき)(こわ)(とき)元気(げんき)いっぱいだ。

 (わたし)はそれが一番(いちばん)(うれ)しい。

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