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第35話 キスをしたということは、付き合うということではないのか!? 前編

 俺にはここ1週間ぐらいの記憶がない。


 最後に残っているはっきりした記憶は、股間だ。

 俺よりも大きな股間。

 それは俺が理想の女性(・・)と思っていた人についていた。


 目撃した瞬間、頭が真っ白になり、俺の脳細胞は完全に破壊されてしまった。

 常に思考がぼんやりとし、周囲から見れば廃人のようになっていたことだろう。


 次に目を覚ました瞬間は、さらに衝撃的であった。

 近づいてくる、少女の顔。

 やわらかい唇と、口の中を舐めまわされる感触。


 そして、再度キスをされ――



「夢、だったのだろうか」



 帰宅した後でも唇にビリビリと甘く痺れた感触が残っているのに、実感がない。

 周囲に多くのクラスメイトがいる中での、キス。

 2度も。



「……どうすればいいんだろうな」



 いや、何を悩む必要があるのだ。

 俺が元に戻ったのだから、元通りでいいのではないだろうか。


 元通り、同じ屋根の下で暮らしていくだけである。

 元通り……。

 

 

「………………無理だろ」



 一度、落ち着くために台所に向かい、水でも飲もう。

 今は夜。

 明麻絵はゲームをしているはずだし、出会うことはないはず。

 そう考えていたのだが――



「……ぁ」



 明麻絵はシンクの前で牛乳を飲んでいた。


 俺の許嫁。

 今一緒に住んでいる、女の子。


 そう。

 女の子なのだ。

 今まであまり意識していなかったが、紙透明麻絵はれっきとした女の子なのだ。


 少し太っているが、かわいい顔をしていて、体つきも女性的。


 心臓が高鳴って、おかしくなってしまいそうだ。



「あ、明麻絵」

 


 なぜこんな時に限って、鉢合わせるのだ。



「御手くん、どうしたんですか?」



 俺の視線が勝手に、牛乳で湿った唇へと向かっていく。

 蘇ってくる、キスの感触。



「あ、いや……なんでもない」



 これ以上、明麻絵の顔を直視できない。

 これが恥ずかしいという気持ちなのか?

 


「あ、もしかして、眠れないんですか? それで水を飲みに来たとか」

「そういうわけじゃ……」

「わたしのお腹で寝ますか?」

「……女子がそんなはしたないことを言うなよ」

「今まで散々寝ていたくせに、今さらなんなんですか?」



 なぜ、今までの俺は全然意識していなかったのだ。



「御手くんは寝たくないんですか?」



 不意に、俺の瞳が明麻絵の腹を見てしまい、否応なく思い出していく。

 枕にした、お腹の柔らかさを。

 お腹の音の安らかさを。


 ……最高に気持ちがいいのだ。

 


「……寝る」

「はい。わかりました。ちょっと準備しますね」



 それからすぐに、明麻絵の部屋へと向かったのだが、ドキドキが止まらなかった。

 いつも通り散らかっていて、全然素敵な空間とも思えなかったのに、明麻絵が普段生活している空間だと思っただけで、落ちている下着すらも直視できなかった。


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