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第29話 勝 手 に 戦 え 後編

 どうも。

 大人たちに囲まれて居心地の悪さを感じている、紙透明麻絵です。


 御手くんはお茶がかかってしまった白雪さんの着替えを用意しに行ってしまいました。

 ここは寒いですし、あっちについていけばよかったかもです。


 まあ、仕方ないので、存在感をうす~くして、白雪さんのお母さんと御所さんの会話でも聞いておくしかないですね。

 

 ……それにしても、なんで御所さんはわざとお茶をこぼしたのでしょうか。


 

「演技が下手ね」

「僕の息子は鈍感だから。意外と気付いていないと思うよ」

「自慢気に言わないでください」



 御手くんが鈍感という点には100パーセント同意です。



「こんなことをしなくても、あの子には包み隠さず説明するつもりでしたよ」

「そっちもあるけど、御手の方が心配でね」



 なにを心配しているのでしょうか?

 まったく見当がつきません。



「きゃああああああああああああああああああああ!!!」



 女子の叫び声!?

 更衣室の方向でしょうか!?!?

 この声は――



「御手くんの絶叫!? 一体なにが!?」



 わたし、どうすればいいんでしょう!?



「あちゃー。事故っちゃったか」

「何を呑気にしているんですか!?」

「ああ。一応放っておいて大丈夫だよ。ひとりにさせた方がいい」

「……」

「どういうことなんですか!?」



 この2人はなんでこんなに冷静なんですか!?

 あの御手くんが女みたいに叫ぶ出来事なんて、まったく想像できないんですがっ!あの御手くんが女みたいに叫ぶ出来事なんて、まったく想像できないんですがっ!


 一体なにが――



「あなたの息子、月夜を女の子だと勘違いしていたのですね」

「そうみたいなんだよねー」

「……へ?」



 月夜って、白雪さんの下の名前ですよね?



「彼女、男だったんですか!?!?」

「明麻絵ちゃんも気付いてなかったんだー」



 えっ。

 えっ。

 ええええ!?

 あんなかわいい顔をしているのにチンコもついているとか、ズルすぎませんか!?


 あっ!

 それを知ってしまったから、御手くんは絶叫していたんですか!


 でも、でもでも!

 


「白雪さん、女子の制服を着てましたよ!?」

「私が転校の条件として提示しただけです」

「はあ!?」



 頭が全然追いつきません!

 


「全く。君の息子さんがかわいそうだよ」

「あれも雪女の一族です。そこまで抵抗感はないでしょう。それに、他人の家庭の事情に突っ込まないでください」

「それもそうだね。本題に戻ろうか」



 本題?

 ああ。そういえば、白雪さんの父親の暴走をなんとかするのが目的でしたね。


 白雪さん男の娘事件の衝撃が強すぎて、すっかり忘れていました。


 

「なんで君は夫を呪ったの?」

「……え?」



 白雪さんのお母さんが、白雪さんのお父さんを呪ったのですか?

 というか、呪いなんてものがあるんですか?



「あら、気づいていたのですか」

「この症状は雪女の一族に伝わるものだ。相手の正気を失わせることができる。まるで雪山で遭難した人間のように。なんで呪ったの?」

「喧嘩した拍子にかけてしまっただけですよ」



 そんな理由!?

 雪女って暴力的な血筋なのでしょうか?


 

「自分で解けないからって、息子がここに来るように誘導して。しかも、説明しなんてね。僕には怒る権利ぐらいあるよね?」

「……解けた後で説明するつもりでしたよ」



 この雪女、すごくきれいな見た目なのに、意外と子供っぽいですね。



「じゃあ、呪いを解くよ」



 御所さんは柏手(かしわで)を打っただけでした。

 たったそれだけで、白雪さんの父親から白い靄のようなものが出てきて、勝手に瓶の中に入ってしまいました。



「これでもう大丈夫だ。すぐに目を覚ますはずだ。明麻絵ちゃん、縄を解いてくれないかい?」

「わ、わかりました」



 突然暴れたりしませんよね……?

 …………ふぅ。

 解けるまで目が覚めなくてよかったです。



「ここはっ!」



 うわっ!

 ギリギリでした!


 彼、周囲を見渡していますけど、いきなりわたしに襲い掛かってきたりしませんよね……?

 服を脱ぎ捨てて逃げたい気分です。

 


「おい、お前!」

「起きましたか、あなた」



 ほっ。

 わたしはスルーして、妻のところに行ってもらえました。



「ふざけるな! なんだあの月夜の制服は!」

「ただの女子用の制服ですよ。かわいいではないですか」

「普段から女の格好をしていたら、感動が薄れるだろうが!」



 …………ん?



「何を言っているのですか。普段からかわいくすべきです」

「お前は何もわかっていない。ギャップが大事なんだよ! 月夜は普段ボーイッシュにして、」

「あなたこそわかっていません。普段からかわいいものが、最もかわいいのです。当たり前にかわいくあるべきです」



 なんなんですか、この夫婦っ。

 なんで息子の格好でなんでこんなに喧嘩できるんですか!?



「このわからず屋! 俺様に呪いまで掛けやがって」

「それはあなたが悪いんじゃないですかっ!」

「お前はいつもそればっかりだなっ!」

「成人の儀ばっかりに集中して、全然かまってくれなかったじゃないですかっ」

「仕方ないだろ。狼男にとっては、それだけ大事なことなんだぞ!」

「それに、夜の方も……」

「……え?」



 え????


 

「そんなに俺様と……?」

「なんなんですか。悪いですか」

「あ、えっと」



 あれ?

 喧嘩から一転して、甘い雰囲気になって……。



「じゃあ、今日の夜、勝負するか。ベッドの上で」

「望むところですよ。絶対に月夜は女装が似合うって」

「はははっ! そうだな!」



 ああ。えっと。

 2人とも顔を赤らめちゃって……。

 これ、話がまとまったんですか?


 ……なんか、もう。

 勝手に戦ってろ、って感じです。

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