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第2話 俺のはじめてを盗んだ透明少女 中編

「……なんだ?」

 


 俺は今、奇怪な現象を目の当たりにしている。


 メガネを外した途端、全裸少女の姿が消えた(・・・)のだ。

 確実に、そこにいたはずなのに。


 一瞬の隙をつかれて、逃げられたのだろうか。



「おい、どこに行ったんだ?」

「どうしたんですか?」



 声は聞こえる。

 そうなると彼女はまだ、そこにいる(・・・・・)ということになる。



「……なるほど」



 つまり、俺が見えなくなったわけだ。

 そして、見えなくなったきっかけはひとつ。



「このメガネが原因か」



 このメガネは陰陽師の親父がつくった特別製だ。

 様々な機能があるし、昨夜、親父はこのメガネをウキウキで(いじ)っていた。

 突然見えるようになったのは、時限式で発動させる仕組みだったのだろう。


 ふむ。

 今日の親父の夕ご飯をどうしてやろうか。今から楽しみである。

 


「もう大丈夫だ。メガネが無ければ見えないようだ」

「そ、それはよかったです」



 原因を解明できてスッキリである。



 「では、失礼したな」


 

 放課後に裸の透明人間がいるのは多少問題であるが、趣味嗜好は尊重されるべきだ。

 周囲に迷惑をかけなければ、俺から注意する道理はない。

 

 さっさとこの場から退散しよう。

 親父の悪戯好きは度が過ぎているから、メガネは掛けないでおくべきだな。

 

 

「いや、本当に失礼じゃないですか……?」



 突如手を掴まれて、一瞬心臓が跳ねた。

 彼女の手はあたたかくて、女性らしく柔らかい。

 

 

「何がだ?」

「失礼だと言っているんですよ」


 

 なぜこの少女は、不満そうな声を漏らしているのだろうか。

 俺としては紳士的に対応したつもりなのだが。

 


「俺は何かしてしまったのか?」

「事故とはいえ、あなたは女の子の裸を見たんですよ?」

「……たしかにそうだな」



 それは紛れもない事実だ。

 事故とはいえ、嫁入り前の女子の裸を見るなど、益荒男(ますらお)として恥ずべき行為である。


 

「ならせめて、もっと他の反応があるんじゃないんですか?」

「……なるほど。一理ある」



 こうなってしまった以上、仕方がない。

 俺も腹をくくるべきだし、まずはベルトを外すとしよう。



「な、何を!?!?」

「決まっているだろう。俺も裸になっているのだ」



 俺は彼女の裸を見てしまった。

 ならば、俺も裸になるのは当然だ。



「えっと、その、いい体をしてますね」

「これでも鍛えているからな」



 自分の体を褒められるのは悪い気はしない。



「ふ、ふんどしなんですね」

「俺は軟弱者ではないからな」

「うわー。ふんどしってこうなってるんだ。食い込みしゅごい」

「あまり見ないでくれ」



 尻に鼻息がかかって、こそばゆいんだが。


 さて、服もきっちり畳み、俺はふんどし一丁状態。

 これで準備は整った。



「このようなことをするのは初めてであるため、粗相にはお目こぼし頂けると幸いだ」

「は、はじめて!? 粗相!?」

「責任をとらせてもらう」



 まさか、俺がこんなことをするためになるとはな。

 だが、これは俺が益荒男であり続けるために必要なことである。

 

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