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第12話 俺は男失格なのか!? 後編

「指首には相談しやすいのだ。なんでも真面目に答えてくれそうな安心感がある」

「へ、へー。そう思われてるんだ。ふへへ。嬉しいなぁ」



 おい、首を伸ばすな、犬の尻尾みたいに振り回すな。


 まあ、誰にも見られていないのならいい。


 許嫁の話から説明しよう。

 口に出して言葉にすると、なんとも前時代的な話である。

 しかし、俺はそのような家柄に生まれたし、そのことに誇りを持っている。



「えっと……え? 許嫁?」

「それでだな、その許婚というのが――」

「ちょっと待ってっ! 島田くん、許婚がいたの!?」

「俺もつい最近まで知らなかったのだ」



 本当に、あの親父の思い込みにはほとほと呆れてしまう。



「えっと、島田くんはその許婚と結婚するつもりなの? イヤじゃないの……?」

「許嫁なのだから、結婚するのは当然だろ。俺の感情の問題ではない」

「えっと、その許婚のこと……好きなの?」

「好きか嫌いかで見たことはないな。どちらかというと、そこはかとなく好きではあるな」



 あまり好みではないが、なぜか憎めないのだ。



「へ、へぇー。そうなんだ」



 さっきから指首の様子がおかしいな。



「すまん。何か気を害してしまったか?」

「あ、え……ち、違うの。なんていうか、島田くんは恋愛なんて興味ないと思ってたから」



 ……ふむ。周囲からはそう見られているのか。

 俺は理想の女性のために、男らしくあろうとしているだけなのだがな。

 


「それで、相談ってなに? その許嫁のことだよね?」

「あまり堂々と言える話ではないのだが、そいつが不登校なのだ」

「……あー」



 本当はこのようなことを他人にいいわくないのだが、口が堅い指首なら問題ないだろう。



「俺はどうにかして、学校に通わせたいのだ」

「うーん、無理強いしなくてもいいんじゃない?」

「そうはいかないだろう」

「なんで?」



 本人の未来のためにならないだろうし、なにより。


 

「世間体が悪いだろ」

「世間体って……そこまで考えなくてもいいんじゃない?」

「しかし、島田家の看板に泥を塗るわけにはいかない」

「名家に生まれるのも大変だねー」

「親父は気にしていないが、あれは親父だから許されるのだ」



 親父は家柄以上の名声を有している。

 それゆえに自由でいられるのだろう。


 

「まずは不登校の原因を聞きだした方がいいんじゃない?」

「原因か……」

「何かあるはずだよ、絶対」



 考えたことがなかったな。

 たしかに、何かきっかけがあったと考えるのが自然だ。


 

「ふむ。確かに一理ある」

「でしょ?」

「ありがとう。とりあえず、」

「うん。頑張ったね」

「ああ」


 

 やはり、



「ねえ、こっちから質問してもいい?」

「なんだ?」

「世間体を気にするなら、許婚を解消すればいいんじゃない? なんでそうしないの?」

「いや、そこに道を踏み外そうとする人間がいたら、助けるのは当たり前だろう。好き嫌い関係なくな」

「……はぁ」



 なんだその深いため息は。

 すごく呆れられている気がするぞ。



「島田くん、そのうち背中から刺されるよ?」

「俺はそんな卑劣なことをしているか?」

「君に自覚がなくても、周囲からはそう見られてるかもよ」

「……ふむ。しかし、何をどう直せばいいか皆目見当もつかん」

「まあ、君は君のままでいいんだよ。ただ、後ろから」

「刺されるなら正面がいい。背中の傷は格好がつかない」

「なにそれ。ふふふ」



 さて、そうと決まれば、理由をどう聞き出すか考えねばならぬか。

 最悪のケースを想定して、軽い拷問について学んでおくべきか?



「おはよう~~~」

 


 む。

 新しいクラスメイトが闖入(ちんにゅう)してきたな。

 


「お、指首と島田か。2人が話してるなんて珍しいな」

「……別に、クラスメイトなんだから普通じゃん」


 

 千口(ちぐち) 氏名(しめい)

 かなりややこしい名前をしているのだが、その正体は妖怪のあかなめだ。



「ちょっと話聞こえていたんだが、島田、ムチムチな許婚ができたのか?」

「それは盗み聞きではないか?」

「細かいことは気にするな。オレから言いたいことがひとつある」



 一体なんだろうか。

 こいつは軟派者ゆえに、言うことの予想ができない。



「ムチムチな女の子に欲情しないとか、男じゃないだろっ!!!」



 な、なんだと……!?

 俺は男として失格だったのか!?!?


 いや、確かにそうかっ!!!

 男たるもの、あらゆる女性を愛せてしかるべき……!


 これはまずい。早急に手を打たなければ!

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