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第11話 俺は男失格なのか!? 前編

 さて、紙透明麻絵が登校を拒否していても、俺が行かないという道理はない。


 五行山高校。

 それが俺の通う高校の名前だ。

 一応、紙透明麻絵もこの高校に通うことになっているらしい。


 さて、この高校は一見普通の学校であるが、その実、かなり特殊である。


 一部の生徒が妖怪なのである。

 あかなめ。

 天邪鬼(あまのじゃく)

 かまいたち。

 雷獣などなど。

 俺の知り合いだけでも、多く存在する。

 その全員が全員、人間社会に溶け込もうと必死だ。

 そんな彼ら彼女らの補助をするのが、現在における陰陽師の仕事である。



「あ、おはよう」

「ああ。おはよう」



 残念。今日もまた、教室に一番乗りとはいかなかったようだ。

 すでに教室にいた生徒は、やはりいつも通りか。

 指首(さしくび)美雪(みゆき)

 パッと見はただの文学少女であるが、肌がとても白く、美しいうなじをしているのが特徴的だな。



「あれ? 島田くん、何か雰囲気が変わった?」

「ああ。今日はメガネが違うからな」



 今朝、親父に言われて家に置いてきたのだ。

 どうやら調整が必要らしい。



「今のメガネも似合ってる」

「うむ。ありがとう。指首(さしくび)はいつも教室に一番乗りだな。実に素晴らしい」

「うん。私の自慢だから」

「俺としては悔しい限りだ」



 これでも、一番を狙っているのだ。

 今以上に早く登校することは可能なのだが、朝食やジョギングがおろそかになってしまう。健康にかかわるため、流石に許容できない。



「そんなに教室に早く来て、何をしているんだ?」

「うーん。特に何も」



 ほう。

 なかなか興味深い



「ずっとボーっとしているのか?」

「ボーっとしてるし、みんなに挨拶するのも好き」

「物好きだな」

「それに、朝のクラスメイトを見るのが楽しい。その瞬間にしか見れない気の抜けた姿を見ると、インスピレーションが湧くの」

「さすが文芸部だ」



 俺は文章を書くという行為が苦手だからな。

 純粋に尊敬する。



「それに、私は待つのが得意だから」

「そうだったな」

「うん。なにせ首がこぉ~~~~~~んなに首が伸びるんだから」



 おおー。

 いつ見ても、ろくろ首の姿は圧巻である。


 彼女も人間社会に溶け込んでいる妖怪のひとりだ。


 ……あれ? 誰にも見られていないよな?

 

 

「おい、不用意に首を伸ばすな」

「ふふふ。首を長くするのは島田くんの前だけだよ」

「そうしてくれると助かる。始末書を書くのは苦労するんだ。……はぁ」

「あれ、なんだか普段より疲れてない?」



 まあ、ある理由であまり眠れていないからな。

 夜はほとんど目を閉じているだけだ。


 それに、最近は新しい同居人のせいで気苦労も多い。



「なあ、指首」

「どうしたの?」

「相談にのってくれないか?」

「え、島田くんが相談? 珍しいね」



 何を珍しがる必要があるのだ。


 

「俺も人間だ。悩みのひとつやふたつ、あってもおかしくなかろう」

「バカなのに?」

「いつも言っているだろう。俺はバカではない。ただ自分を貫いているだけだ」

「ふふふ。そういうことにしておくよ」



 なにやら含蓄(がんちく)がある物言いだが、まあいいだろう。

 


「相談を聞くのはいいんだけど、その前に質問していい?」

「なんだ?」

「なんで私なの?」



 ふむ。

 そこまで深く考えていなかったな。


 だが、感じていることはひとつある。


 

「指首には相談しやすいのだ。なんでも真面目に答えてくれそうな安心感がある」

「へ、へー。そう思われてるんだ。ふへへ。嬉しいなぁ」



 おい、首を伸ばすな、犬の尻尾みたいに振り回すな。


 まあ、誰にも見られていないのならいい。


 さて。

 まずは許婚の件から話すとしよう。

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