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怨霊刺青師  作者: 転生下書き人


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帝釈天の刺青(たいしゃくてんのしせい)

俺は本当に女性に押しつぶされるところだった。彼女は普通の人じゃなく、110 キログラムの太った人だから、力を込めて押しつければ人を殺せるような重さだった。

幸い刺青台しせいだいはそんなに丈夫じゃなかった。斎藤彩乃さいとうあやのが俺に押しつかれた瞬間、一緒に刺青台が折れて(おれて)しまった。

刺青台が下に沈む(しずむ)瞬間、俺は地面で転がり(ころがり)、隣に避けたら、やっと斎藤彩乃に押されなかった!なんてこった、110 キログラムだよ!

俺は地面に座り、斎藤彩乃に「妹さん、話し合おう。押さないで…… どの男も君の重さに耐えられるわけじゃないよ」と言った。

斎藤彩乃は起き上がり、金属の折り椅子きんぞくのおりいすを引き寄せて座り、泣きながら「夢に見ていた動画も撮れないし、さらに…… こんな姿になっちゃったの」と言った。

突然彼女は立ち上がり、太ったふとったからだを憎しみ(にくしみ)の眼差し(まなざし)で見た後、また激しく泣き始め「兄さん、前几天(この前)仕事を探そうとジムにフィットネスコーチとして応募おうぼしたんだけど、新しい会員は俺を一眼ひとまぐりも見ないの。古い会員だけは俺のことを認め(みとめ)、トレーニング方法を聞いてくれるけど、古い会員はいつか全部いなくなるよ。新しい会員がこのまま俺を見ないなら…… あと 2 年くらいで、フィットネスコーチとして働けなくなるよ」と言った。

俺は思った —— これが斎藤彩乃が本当に悲しむ(かなしむ)理由だろう。

斎藤彩乃はかつて女子ボディビルの優勝者ゆうしょうしゃだったから、手下の会員は肯定こうてい多かった。彼女が「給料が高くない」と言うのは、彼女にとっての話で、実際は月 120 万円くらい稼いでいただろう。もし斎藤彩乃がこのまま太ったままだと、今後きっと仕事を失う(うしなう)だろう。

フィットネスコーチ?本当に言って、俺がジムに行って、こんな太ったコーチにレッスンを売られたら、二言にごんも言わず「行ってくれ」と言うよ!ダイエット中なのに邪魔じゃましないで、太った妹さん!

俺は斎藤彩乃の肩を叩いて(たたいて)励まし(はげまし)た「ねえ、実は…… 心配しなくていい。俺たちの陰陽繍おんようしゅうには、君に合うものがあるよ」

「ダイエットになるの?」

「ダイエットになるかどうかは保証ほしょうできないけど、体型たいけいは保証できるよ」俺が斎藤彩乃に言った。

斎藤彩乃の目は一瞬いっしゅん輝いて(かがやいて)「那…… そんな刺青を入れていただけない?」と言った。

「先に言っておくけど!この刺青の料金りょうきんは、このごくだ」俺は最初に 2 本の指を出したが、思った —— 太った妹さんの 120 万円の仕事を守って(まもって)あげるのに、40 万円は少なすぎる。それでもう 2 本の指を出した「80 万円だ」

80 万円は俺が今まで出した最高額さいこうがくの料金で、この額を言う時、心臓しんぞうがドキドキした。

没成想(意外なことに)、斎藤彩乃はすぐに爽快そうかいに「いいよ!」と答えた。

異議いぎがなければ OK だ」俺は首を縦に振り「那么それで刺青の準備じゅんびをしよう。今日は下書き(したがき)を入れるから、先に料金を払ってくれ」

斎藤彩乃は二言も言わず、スマホを取り出して送金そうきんしようとしたが、Alipay を開いた瞬間、突然「万一まんいち効かないとしたら?」と聞いた。

「効かなかったらいつでも来てくれ。全額ぜんがく返すから、俺の看板かんばんを壊して(こわして)もいいよ」俺が斎藤彩乃に言った。

斎藤彩乃は太ったけど、頭は悪くない。彼女は首を振り、俺の店を見て「この店、80 万円分ぶん価値かちがあるの?」と問うた。

俺は考えて「それなら仕方ない。こうしよう、契約書けいやくしょを作ろう。契約書を締め(しめ)たら、俺が逃げる(のがれる)ことはない吧?」

「締める!」斎藤彩乃が断固だんこと言った。

まあ、俺たち刺青業界しせいぎょうかいはいつも「金を払ってから刺青を入れる」が、最初から契約書を締めてから刺青を入れるのは、業界初ぎょうかいはつだった。

俺は斎藤彩乃と契約書を締めた後、斎藤彩乃のために刺青台を探した。

斎藤彩乃の体重たいじゅう太重ふといから、刺青を入れるのは容易よういじゃなかった。俺の刺青台は耐えられない重量じゅうりょうだった。

それで、俺は斎藤彩乃に衣服を脱がせて、座った状態じょうたいで刺青を入れることにした。

本当に、斎藤彩乃は今は太っているけど、自尊心じそんしんは強い。裏の部屋うらのへやでシャワーを浴びた後、出てくる時には、胸元むねもとを隠すためにぬのを持って覆って(おおって)いた。

だが斎藤彩乃の誘惑力ゆうわくりょくは本当に低い。中村隼人なかむらはやとが今どこにもいないことからも分かる ——110 キログラムの太った人が衣服を脱ぐと、本当にショックだ。

俺は刺青針しせいはりを取り出し、斎藤彩乃に「入れる刺青は『帝釈天たいしゃくてん』だ」と言った。

「帝釈天って何?威武いぶそうだけど、女の俺が男の刺青を入れると、丑い(みにくい)んじゃない?」斎藤彩乃が言った。

俺は「帝釈天は仏教の二十天にじゅうてんの一つで、音楽や舞踊ぶようが好きで、美食びしょくは嫌いだ。体つき(からだつき)も細長い(ほそながい)し、一番重要じゅうようなのは…… 純粋な男じゃなく、女が男の帝王ていおうになったもので、男の容姿ようしをした女だから、かくが高くて、絵柄えがらもきれいだ」と説明せつめいした。

「だから、陽繍ようしゅうの帝釈天を入れれば、食べる欲望よくぼうが減る(へる)。思ってみて…… 食べる量が減れば、ダイエットにならない?」

「そうだね!」斎藤彩乃が太ももを叩いて、肉がゆれた。

俺は斎藤彩乃に座っているように言い、彼女の背中せなかの太りふとりにくを分け(わけ)て、平らな(たいらな)場所を見つけて、そこに直接ちょくせつ刺青を入れ始めた。

俺は先に斎藤彩乃に言っておいた「今は太っているから、全体ぜんたいの絵柄を支え(ささえ)られるけど…… もし痩せた(やせた)ら…… 絵柄が崩れ(くずれ)るよ。皮膚ひふ収縮しゅうしゅくするから。その時は俺に補修ほしゅうしに来てくれ、補修は無料むりょうだ」

「兄さん、本当に業界良心ぎょうかいりょうしんだね」斎藤彩乃が俺にキスを送った。

俺はそのキスに倒れそうになった。こんな重い(おもい)キス、俺は耐えられないよ。

俺が斎藤彩乃に刺青を入れる時、速度そくどはいつも遅かった。早く入れたくないわけじゃなく、彼女の背中の肉が太多たおおいから、一方ので肉を分けて、もう一方の手で刺青を入れなければいけなかった。

幸い斎藤彩乃はスポーツをしていたから、痛みに強い(つよい)。俺が遅く入れても、彼女はそんなに痛く(いたく)感じなかった。

それで、俺は一段一段いちだんいちだん刺青を入れ终え(おえ)た後、斎藤彩乃から 80 万円を受け取り(うけとり)、彼女に「明日のあしたのあさ彩色さいしきをするから、先に帰って(かえって)くれ」と言った。

斎藤彩乃が帰った後、中村隼人が俺の肩を叩いて「兄弟きょうだい…… すごいな、一気いっきに 80 万円稼いだ!」と言った。

「ああ、なかなか仕事が来ないもんだから」俺が中村隼人に笑顔で言った。

中村隼人が俺を見つめて「それならこうしよう。俺に 2 万円いまんえん旅費りょひをくれ。他の地方ちほうに行って、陰陽繍の客を引き寄せ(ひきよせ)てきます。別に…… 広州こうしゅう香港ホンコン上海しゃんはいの辺り(あたり)では、こういうものを信じる人が多いから。君がこの小さな店だけで、いつまでたっても大物おおものになれないよ」

「客を引き寄せてくれるの?」

「もちろんだ!俺の口先くちさきは巧い(たくみ)から、君のために何回なんかいも客を引き寄せてきます。そんなこともできないなら、俺はなにのためにここにいるんだ?」中村隼人がさらに言った「ただし、俺が引き寄せた客は、手数料てすうりょうを取るから」

「どれくらい取る?」俺が中村隼人に問うた。

中村隼人が 2 本の指を出し「20 パーセントの手数料だ」

俺は考えて「わかった!」と言った。

俺は中村隼人に 2 万円現金げんきんを渡し、客を引き寄せるように言った。

本当に、俺は中村隼人にこの 2 万円を騙され(だまされ)ることを恐れ(おそれ)ていない。この 2 日間ふつかかん、中村隼人は一直線いっちょくせん俺を助けて(たすけて)くれて、頼りになる(たよりになる)人だ。就算たとえ逃げたとしても、この 2 万円は彼の給料きゅうりょうにもならないから。

中村隼人が帰った後、俺は直接ちょくせつ家に戻った。

シャワーを浴びて、ベッドでテレビを 2 見た後、寝る(ねる)準備じゅんびをした。布団ふとん整理せいりした瞬間、電話でんわが鳴った。

電話は太った妹さんの斎藤彩乃からだった。

斎藤彩乃の最初の言葉ことばは「君の刺青、どくがあるの?」だった。

「毒がある?」俺が迷った(まよった)。

斎藤彩乃は「君の刺青を入れた後、今晩こんばんはどんなスナックを食べてもあじが薄く(うすく)て、夕食ゆうしょくろうを食う(くう)ような味だった。やっと少し(すこし)食べたけど」と言った。

俺は笑って「刺青が効いた(きいた)よ!この『帝釈天』を入れれば、食べるたべるきがなくなるから、いいことだよ、ダイエットになるよ!」

可是だけど今後こんごどんなものを食べても、美味しい(おいしい)と感じなくなるんじゃない?」斎藤彩乃が可哀相かわいそうに問うた。

俺は笑って「先に言っておくけど、俺たちは事の優先順位ゆうせんじゅんいを分かっていないといけない。殺人さつじんするのか、助ける(たすける)のか、この道理どうりは分かっている吧?美食とスリムなからだは、両方りょうほうを得る(える)ことはできないよ」

「そうだね。明日の朝に彩色をしに来るから、強い(つよい)くすりをかけて(かけて)くれ。そうしないとダイエットにならないから」斎藤彩乃が俺に言った。

俺は「そうだよ」と言い、彼女に明日の朝に刺青の彩色を忘れないで来るように言った後、電話を切った。

斎藤彩乃が陰陽繍でダイエットしたいと思っていることは、陰陽繍でできることだが、俺は斎藤彩乃の最期さいごが…… 唉!と思うほど悪いことになるとは想像そうぞうしていなかった。

翌日よくじつの朝、俺は電動自転車でんどうじてんしゃに乗って(のって)出かけ(でかけ)たら、スマホが鳴った。

新しい仕事しごとだった。

「もしもし、伊藤六郎いとうろくろうさんに紹介しょうかいされました。話をしたいのですが……」LINE のアイコンは女性のもので、声も女性だった。

女性の声は非常に柔らかく(やわらかく)、聞いていると眠く(ねむく)なるような感じだった。

俺は LINE で「どうしたんですか?」と返信へんしんした。

「眠れないのです」と女性が言った。

俺は「俺の刺青店に来てください。見て(みて)あげます」と言った。

「わかりました」と女性がすぐに答えた。

俺が刺青店に着いて(ついて)、店を開け(あけ)た瞬間、白いスーツに黒いズボンを着た女性が走って(はしって)入ってきた。

彼女は上品じょうひん格好かっこうをして、金縁きんぶち眼鏡めがねをかけている。美人びじんだけど、学者がくしゃのように近づきにくい(ちかづきにくい)雰囲気ふんいきがあり、俺は彼女に話しかけ(はなしかけ)るのが怖かった(こわかった)。

彼女が俺を見て「もう 1 ヶ月間いかげつかん、よく眠れないのです」と言った。

不眠症ふみんしょうですか?医者いしゃに見て(みて)もらいましたか?」俺が女性に問うた。

女性は笑って「私自身じしんが医者です…… だから、他の医者に見てもらう必要ひつようはないのです」と言った。

彼女が話す瞬間、突然喉のどから鋭い(するどい)叫びさけびごえが漏れ(もれ)た ——「助けて(たすけて)!」

女性の喉から、男性の助けを求める(もとめる)声が聞こえた。

俺の精神せいしん緊張きんちょうし、女性を見てもなに問題もんだいがないように見えた。

莫非もしかしたら幻聴げんちょうだった?

「ああ、あなたが医者だったんですか。だからこんなに上品な雰囲気があるんですね」俺が女性に親指おやゆびを立てた。

女性は直接ちょくせつ名刺めいしを渡してきた。

「関西大学医学部、臨床医学准教授、佐藤裕子さとうゆうこ

俺は名刺を見て、女性に笑顔で「おお、准教授じゅんきょうじゅですか。本当に上品ですね」と言った。

「はっきり言います」佐藤裕子が眼鏡を直し(なおし)、俺に「眠れないのです。毎晩まいべん眠れない…… 本当に…… 有名ゆうめいな医者は私の友達ともだちも多いのですが、誰も私の病気びょうきを治せ(なおせ)ません。だから、君に来ました…… よく眠れるように手伝って(たすけて)いただきたいのです」

「俺を信じて(しんじて)くれますか?俺のこれは、科学的かがくてきではないですよ」俺が佐藤裕子を見て言った。

佐藤裕子が立ち上がり、突然喉から再び(ふたたび)男性の助けを求める声が聞こえた:「助けて!」

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