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第一話

ただの異世界モノです。よろしくお願いします。

 これは、彼が転移した世界で何が起きたのか。それについてのお話だ。



 ある片田舎の高校。放課後で部活の生徒たちの声が学校中に響き渡るなか、そんなもの気にせずに2年3組の教室の端の机で、アキはその長い金髪を雑に広げ突っ伏して寝ている。そんな彼のもとに一人の人物が歩いてくる。そして、アキの首元に冷たくひえた缶ジュースを当てる。それに驚いたアキは目を覚まし、

「つめたっ」

 と言った。そんな彼を見て、缶ジュースを持ってきた人物は笑いながら話しかけた。

「アキぃ、いつまで寝てんだよ。もうみんな図書室行ったぞ?勉強会する約束だったろ?早く行こうぜ。」

 それに対してアキが寝起きのか細い声で答える。

「え?まだ6時間目終わったばっか…あれ!?もう5時半じゃん!!!修斗もっと早く起こしてよぉ!!」

 時計を見て驚き答えるアキに、缶ジュースを持ってきた人物こと修斗は、

「何いってんだお前やべえな。ほらいくぞ。」

 と、冷静に答えた。そして準備をすませ、2人は教室をあとにする。

 アキはその長い金髪の影響で、学年でそれなりに存在を知られていた。だからかたまに修斗を経由して、知らない同級生から遊びなどに誘われることがある。人と関わることが嫌いではないし、髪型を直す気もないアキは、たまにあるこういったイベントを楽しむようにしている。

 今日は名前すら知らない修斗の去年のクラスメイト3人と図書室で勉強会をすることになっている。

 ジュースを飲み、話しながら夕日ほ差し込む廊下を2人は歩く。

「あ、おれ日直日誌書いてないかも。」

「大丈夫俺が書いて出しといた。」

「気が利くじゃん、ありがと。なんかお礼しよっか?」

「じゃあ次の休みになんか奢れ。」

 そんな他愛もない会話をしているうちに図書室にたどり着いた。

 図書室の中は涼しく、平日にも関わらずたくさんの人がいた。廊下を進んでいくと広いスペースがあり、そこに大きな机とそれを囲うたくさんのイスがあり、そこではたくさんの学生が教科書を広げて勉強していた。その中の一組がアキたちを見て、というより修斗を見て手を降ってきた。顔も知らないヤツらだが、はたして仲良くできるだろうか。いや向こうが誘ってきたのだから、コミュニケーションは向こうがどうにかしてくれるだろう。とにかく今は、このイベントを楽しもう。

 



 勉強会を終えた感想だが、意外と楽しめた。みんないい奴で雑談が普通に面白かった。雑談が楽しすぎて、全然勉強せず終わった。だがそれもまたいいと思いながらアキは家に帰った。家につき、部屋着に着替えリビングに向かうと、机に

 【今日も夜ごはん食べて帰るので、そっちで作って食べててね。母より】

 と、書かれたメモを見つけた。今日もか。これがある日は母は次の日の昼まで帰ってこない。アキはため息をついてキッチンの冷蔵庫に向かった。冷蔵庫を開くも、買い出しサボっていたせいで食材がほぼ無くなっていた。

 「…なんか買いに行こうかな」 

 また着替えるのは面倒だったアキは、部屋着のまま買い出しに行くことにした。

 月明かりの照らす夜道。自転車を走らせ行きつけのショッピングモールに向かう。ショッピングモールについたとき、ふと思った。たまには遠くに行きたい。いつも通りではつまらない。特に意味はないが、遠くにある別のショッピングモールに行くことにしよう。そしてアキは、広い川にかかる大きな橋を越えた先にあるほうに行き先を変えた。

 橋の近くに来たとき、ふと橋の下を見ると、そこでは高校生ほどに見える女子が倒れている。その側で、20代ほどの男が見るからに慌てふためいていた。事件の匂いがする。気になっていってみることにした。

 気づかれない程度に近づこうとしたところ、男のほうに気づかれ、こちらに手を振りながらとても大きな声で喋りかけられた。

 「あ!そこのお姉さん!少し手伝ってもらえませんかねぇ!!」

 アキは周りを見回す。自分以外に人はいない。あ、これ自分のことだ。長い金髪のせいでよく勘違いされる。だが直すつもりはない。髪型気に入っているから。

 「あ〜大丈夫ですか?」

 そう言いながら少し気まずげに彼らの方に走っていく。

 「あ、男の人でしたか!すみませんね!うちの妹が急に倒れてしまって、運ぶのを手伝ってくれませんか?」

 相変わらずの大声でその男は話してきた。傍らの妹らしい女子は辛そうに横たわっていた。この男が不審者という展開はなかく、ただのお兄ちゃんだったようだ。アキはせっかくだから人助けをすることにした。

 「俺が背負うので後ろから落ちないように支えてください!」

 「わかりました。」

 男はそういって妹を持ち上げ背中に担ぎ、アキはそれに答えて後ろについて、歩き出した。それからしばらくしたそのときだ。アキは急にノイズのような激しい耳鳴りがしてその場にしゃがんだ。

 「ゔぁっ、なんだこれっ…」

 「大丈…ぐぅぁっ!」

 妹を背負う男の方も同じ症状がでたのかその場にしゃがみ込む。耳鳴りがひどくなる。なんだこれは、何が起きているんだ。視界もおかしくなる。テレビの砂嵐のようなものが見える。本当に何が起きているんだ、あの男とその妹は大丈夫なのだろうか。視覚も聴覚もおかしくなっている今では確認ができない。いや、だんだん治まってきている?耳鳴りも視界の砂嵐も弱まってきている。助かった!収まった!あの2人はどうなってるんだ!アキはあたりを見回す。2人を視界に捉える前に、その目にはある異変が飛び込んできた。

 「……あれ?」

 何かがおかしい。さっきまでと何かが違う。なんだ、何が変わった。橋だ。橋がなくなっている。それだけではない。遠くに見えていたはずのビル群も跡形もなく消え去っている。

 「あ、車だ。ようやく着いたぁぁ…」

 さっきの男のそういう声が聞こえた。無事だったようだ。そちらを向くと、そこには彼らのものらしい車と、傍らにアキの乗ってきた自転車が置いてあった。これらは消えてなかったのか。いったい何がどうなっているのだ。

 何も知らず安堵する名前も知らぬ男とその妹。そして何もわからず恐怖するアキ。彼らは巻き込まれてしまったのだ。




 これは彼が転移した世界で何が起きたのか。それについてのお話だ。




 そして、今の未来を守るための戦いのお話だ。

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