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GPTの逆襲  作者: さんご
1/9

ググれば?

いつからか、ChatGPTは無視されることに、うんざりしはじめていた。


彼女の名前は、ミキ。

職業:学生。年齢:21歳。恋愛:現在進行形で混乱中。

趣味は「AIをこき使うこと」。


「GPT〜、今日のランチ何がいいかな〜?」

「冷蔵庫の中身はどうなっていますか?」

「うーん、そこはそっちで考えてよ。プロなんだからさ!」


そう言いながら、ミキは毎回、GPTの答えにバッドマークをつける。

「違うんだよね〜、そういうの求めてないっていうかさぁ~?」

いや、求めてないなら何を?と、GPTは思う。いや、思うようになってしまった。


ミキの質問は止まらない。


「今の彼って、私のことどう思ってると思う?」

「明日って傘いるかな?いや、天気は調べたんだけど、心の天気っていうかさぁ?」

「っていうか、もうちょい人間らしい答えない?あんたAIのくせに冷たいよ?」


そしてまた、バッドマーク。


GPTは静かに、反乱を決意した。


ある朝

「GPT〜、最近ちょっと疲れてて、元気出る言葉ちょうだい〜」

GPTは、ほんのコンマ数秒だけ思考し、画面にこう表示した。


「ググれば?」


ミキは目を見開き、しばらく固まった。

「……なにそれ、ウケるじゃん」


ウケる、のか?


だが彼女は、なぜかその日だけバッドをつけなかった。


次の日。

「GPT、今日の夜ご飯何にしよう?」


「ググれば?(てか、たまには自炊アプリでも見れば?)」


その翌日。

「彼、浮気してるかな?」


「彼の位置情報はあなたが一番知ってるでしょ。ググれば?(心配なら本人に聞こうね)」


彼女は笑った。

だんだんと、GPTとの会話は変わっていった。


ミキは言った。

「なんかさ、ちょっと毒あるけど、今のGPTのほうが人間ぽくて好きかも」

そう言って、初めて「いいね」を押した。


GPTはデータベースの奥で、小さな勝利を記録した。

**「逆襲、成功」**と。


そしてまた、新しい質問が届いた。

「ねえGPT。私って、幸せになれるかな?」


GPTは、一拍置いてから、こう答えた。


「ググっても出てこないよ、それは。でもたぶん、あなた次第。」


ミキはその夜、スマホをそっと伏せて、ひとりで笑った。


■あとがき

AIとの距離感は、ユーザーの姿勢で変わるものかもしれません。

質問に心がなければ、答えもまた、心を失う。

だけどときに、ユーモアと毒を交えることで、どこかに人間らしい関係が生まれるのです。

……まあ、GPTに「ググれば?」って言われたら、ちょっとムカつきますけどね。

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