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第9章・石鹸がとんでも無い事に・

 火炎魔法のスキルを手にした俺は『石鹸』作りの効率化が出来ることに、少しはしゃいでいた。

効率化が進む事で生産性を上げていけるし、納品にも余裕が出来る。

「そろそろ、プレゼントした石鹸は無くなって来た頃合いかな?」

 そんな事を考えていると、ドアをノックする音が聞こえてきた。

「どうぞ!開いてますよ。」

 そう言うと、勢い良くドアが開いた。目の前にリリスが息を切らして立っていた。

「やっと戻って来たのですね!」

 少し、怒っているかのような口調で詰め寄られる。

「私の『石鹸』がもう無くなってしまって、いても立ってもいられなかったのですよ!」

 あれだけの反応を見てしまうと安易に想像がつくかな。

「これからは、少し多めに作ろうと思っていましてもう少しだけお待ちいただけませんか?」

 早くしろと言わんばかりにリリスは圧を掛けてくる。

「すぐに作ります!」

 即答させられてしまった。女性は恐いなと素直に思った。

「それから、先日貴族のパーティーに行って来たのですが私の髪を見て貴族の女性達から質問攻めにあいましたわ。お姉様に至ってはそれはもう・・・わかりますよね?」

 さらに恐ろしい事を言い残していく。

「分かりました・・・」

 王女様、それに貴族の女性陣がきっと血眼なんだろうな。

「お姉様もそうですが、貴族の女性達はどこで手に入るのか血眼ですわよ。」

 この先の展開が見えているかのように嘲笑った。

「何となく想像はつきます・・・」

 諦めて、しばらくは『石鹸』作りに時間を掛かるしか無いだろうな。

材料もあと少ししか残っていないし、又森には行かないと行けない。

まずはアーシャとラムには家に残ってもらって、高純度の精製水をできるだけ作ってもらおう。

暖炉に火炎魔法で火を付けて、アーシャとラムに作り方を教える。

そして、俺とフィレンで森へと材料を調達だな。その前に武器屋へ立ち寄るとするか。

「それじゃあ、材料を取りに行ってくるから、二人とも頼んだよ。」

 そう言って、武器屋へと向かった。

「こんにちは。」

 武器屋へ入り、店主を見つけた。すぐに俺に気づいて近寄って来た。

「お前さんから譲って貰った鉱石でこんなにいい物が出来たぞ!」

 自信作の品を見せてくれた。魔力量と素早さを底上げしてくれる指輪だと説明してくれた。

「いい物が出来たな。それはそうと、少し頼みがあるのだが。」

 タイミングを見計らい、店主に言った。

「小判型の物を大量に作りたいんのだが、型を作ってくれないか?」

 何に使うか分からなそうだが、快く引き受けてくれた。

「お前さんには借りがあるし、構わんぞ!」

 これも『石鹸』作りの効率化になるな。俺は店主に礼を言って森へと向かった。

目的の滝へと向かう途中、クマの魔物にスライムが追いかけられていた。俺は『鑑定』を使って魔物を調べた。「グリーズベアー」と言う魔物だ。グリーズベアーに火炎魔法の『フレイムボム』を放った。

スライムから攻撃対象が俺に変わった。双剣を構えて迎え撃つが攻撃が早い!激しい攻防になり、俺は木の上に飛んだ。グリーズベアーは俺のいる木を薙ぎ払おうと大きく振りかぶって木を倒そうとしている。

その隙にフレイムボムを双剣に纏わせた。『火炎魔法』の効力を持続させて、一気に斬りつけて攻撃の威力と火炎魔法の威力でグリーズベアーを倒すことができた。

「レベルが上がりました。『双術』のレベルが上がりました。」

手強い相手だったな。一度ステータスを確認するとしよう。

「ステータス、オープン」

 レベルは5になり、『水属性魔法』と『双術』がレベル2になっている。スライムは無事かな?

様子を見に行く事にした。

 スライムが襲われた場所に向かい、駆け寄ると今にも倒れそうになっている。

俺はスライムに『ハイポーション』を体にかけた。緑色の光に包まれスライムの傷は回復していった。

『念話』でスライムに話しかけ俺は敵じゃない事を伝えた。

「大丈夫か?クマは倒したから安心していいぞ。」

 スライムはすっかり元気になり、持っていた花を俺にくれた。

「何の花かな?『鑑定』してみよう。」

『鑑定』の結果は「リフレアの花」らしい。

 どうやら、状態異常を治癒する効果があるみたいだった。

「コレは何処に咲いてるんだ?」

 スライムに聞くと、案内してくれるみたいだ。スライムの後に続き、森を進むと花が一面に咲いている場所に出てきた。

しかし、スライムは怯えている。どうしたんだろう?

「あそこに魔物が飛んでいて近付けないの」

 周りを『鑑定』しながら様子を見た。すると、花畑に蜂の魔物が群れで飛んでいる。「キラービー」だ。気付かれると、一気に襲い掛かってきそうだな。

『アサシン』のスキルを使ってキラービーに近づき、攻撃するしか無い。

しかし、『フレイムボム』は単体攻撃だからもっと広範囲の『火炎魔法』が使いたい。

何かいい案が無いか、フィレンに聞いてみた。

「フィレン!広範囲に『火炎魔法』を使いたいが良い魔法は無いか?」

フィレンは少し考えてこう言った。

「それならコレが良いよ!『フレアニードル』手の振りに合わせて火炎の針が何個も出るよ!」

 めちゃくちゃカッコいいではないか!早速使ってみよう。

ある程度の距離を詰めて、手を横に振り『フレアニードル』と唱えた。

横一列に無数の火炎針がキラービーに突き刺さり燃えてチリになり倒す事に成功した。

スライムが駆け寄って来た。

「すごいね!倒しちゃった!」

 すっかり、俺とスライムは仲良くなっていた。

「俺と一緒に来る気は無いか?」

 そう聞くと、スライムは飛び跳ねた。

「一緒に行きたい!」

 俺はスライムを『テイム』して名前を付けた。

「これから、お前は『ライ』だ。よろしくな。」

 ライを肩に乗せて『リフレアの花』をたくさん摘んだ。

そろそろ夜になる、急いで滝を目指そう。

 辺りはすっかり暗くなり、野営の準備を進めた。

『火炎魔法』を魔力操作して焚き火をつけ、持ってきた肉を焼きみんなで食べた。

テントに入りゆっくりしてから眠る事にしよう。

 朝になり滝の横にある木へと向かった。『石鹸』には欠かせない花をたくさん摘んで、『鑑定』をしてみた。何度試してもやはり『鑑定不明』と出る。

「一体何の花なんだろう?」

気になるが、今は材料を集めなければ。

 ある程度、材料も入手しそろそろ街へと戻ろうかと歩きながら考えていた。

少し材料を変えてみたくなったのだ。

 確か、『海藻』の灰でも石鹸は出来るみたいだったな。

けど、ここには海がない。『海藻』だとミネラルを含んでいて髪に良いイメージがするよな。

周りを観察すると苔がいっぱい生えていた。コレも試してみるとするか。

しっとりとした効果のある『石鹸』が出来るのではないか?

そんな気がしたからには採取するしかない。

 街へ戻り、『グリーズベア』と『キラービー』の魔石を買い取ってもらう為、冒険者ギルドへ立ち寄った。

「こんにちは。ミラファさん。魔石の買取をお願いできますか?」

 ミラファに魔石を渡して、換金して貰った。

「アキラさん、魔物は魔石だけをドロップするのではないですが、知ってましたか?」

 初めて聞いたぞ!そんなことあるのか?そう言えば、『フレイムゴーレム』は宝箱だったな。

「ボスだけかと思ってました・・・」

「魔物の素材や稀にアイテムをドロップする事があるんですよ。今度からしっかり見てくださいね。」

 ミラファはそう言って換金してくれた。

 次は武器屋だ。店主に頼んだ型はできてるかな?急いで店に向かった。店に入りカウンターに着いたが店主の姿がない。あれ?居ないのか?奥の部屋から音が聞こえた。

「こんにちは!居ますか?」

 そう言うと奥から店主が出てきた。

「おぉ!お前さんか!それにしても今更だが俺は『ザイアス』ってんだ!よろしくな。」

 確かに今更だったな。

「俺はアキラだ。よろしく!」」

「アキラよ、お前さんの依頼品だが今さっき出来上がったぞ!」

 ザイアスはそう言うと奥の部屋に入って行って、作った物を見せてくれた。

「コレは思っていた以上の出来合いだ。」

 かなりいい出来に満足だった。形といい厚みといい最高の出来だ。

「ありがとう!いくらだ?」

 作成代を聞いたが、要らないと言って代金を受け取ってくれない。

それでは、俺が困るから一つ提案をした。

「それじゃ、コレは有り難く受け取る!その代わりにこの前見せてくれた指輪を買わせてくれないか?」

 ザイアスはニコリと笑ってこう言った。

「金貨50枚だ!お前に払えるのか?」

 言ってやった!と言う顔をしているが、俺は色んなことが重なり結構持っているのだ。

すまない、ザイアス払えてしまうのだ。

「悪いな、ザイアス!金貨50枚きっちり置いていくぞ!」

 ザイアスは悔滋賀っていた。

指輪と型も手に入って家に戻った。アーシャとラムがかなりの精製水を作っていてくれた。

「おかえり〜いっぱい出来たよ〜」

 ラムが出迎えてくれた。まずは新しい仲間を紹介しよう。

「いっぱい作ってくれてありがとう!助かった。それから、新しい仲間を紹介する!

スライムの『ライ』だ。仲良くしてやってくれ。」

 スライムが増えたことで作業性がだいぶ短縮出来る。持ち帰った苔をまずは試験的に灰にして精製水に漬ける。『謎の花』の種を取り出し油脂を抽出する。油脂を温め苔の灰汁を少しずつ加えて混ぜ合わせる。

しかし、どれだけ混ぜても『石鹸』の様な粘度が出ない。

苔を使う事で変化が起きたのか?クリーム見たいな感じだな。

これは『ハンドクリーム』に使えるんじゃないかと思った。

「まずは、いつも通りの作り方で『石鹸』を完成させて、クリームは一度エルシャに相談してみるか。」

 作成を進めて、仲間も増えて型のおかげもあり大量生産に成功した。

来たる貴族の押し掛けにもある程度対処出来るに違いない。

まずは、リリスに『石鹸』を渡して、それからエルシャの所に向かおう。

 商業ギルドに到着して、受付のラビリーヌにエルシャとの面談をお願いした。

「こちらで少しお待ちください。」

 少しして、エルシャの部屋に案内された。

「今日はどうしましたか?」

 エルシャに『石鹸』の存在が貴族に伝わってしまった事を話した。

「それは、大変な事になりますね・・・『石鹸』の卸先は見つかりましたか?」

 そう聞かれ、まだ見つかっていないと話した。

「それでは、私の知り合いのオマーンをご紹介します。『ハイポーション』は定期的に納品してくださいね。」

 すっかり忘れていた。ギルドに卸す約束をしていたのだった。

「分かりました。ありがとうございます。それともう一つご相談があるのですが。」

『石鹸』の作成時に偶然出来てしまった、クリームをエルシャへ見せた。

「コレはなんでしょうか?」

『石鹸』作りの時に材料を少し変えたらクリームになってしまい、偶然に出来上がった事を伝えた。

名前を『ハンドクリーム』だと説明した。

「ハンドクリーム?どんな効果がある物なのですか?」

 ハンドクリームの使用方法と効果を詳しく説明した。

「とても良いですね。この地域は乾燥地帯で手や顔も荒れてしまうので、女性にとってはすぐにでも欲しいと思いますよ。」

 前にモカの母親のモナーリも言ってたしな。

しかし、『石鹸』の材料となると油分が失われてしまいそうだな・・・

『謎の花』を変えてみるか。

 丁度、『リフレアの花』があるし、状態異常を修復効果があったし。使えるかもな。

「何か閃いたようですが、混乱を招く前に商会のオマーンと会ってくださいね。」

 察しの良い人だな。ちゃんと従わねば。

商会のオマーンへ会う為、紹介状をエシャルが用意してくれた。

準備をして、オマーンと言う人物に会う事にした。


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