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第6章・街で買い物!突然の依頼?・

 今朝は気持ちの良い朝だ。初クエストでは色々な事があったが、何とか達成出来て思いもよらない報酬が手に入った。

今日は街に行って武器や装備を見に行く予定だ。かと言ってあまり買えないだろうし、節約しながらクエストも確認してこよう。

 アーシャと朝ごはんを食べ、出かける準備を整えた。

この街に来てまだ数日しか経っていないが、住みやすく良い街だな。

そんな事を思いながら角を曲がると、武器屋が見えた。

最初の買い物は武器屋だ。扉を開けて中に入った。

色んな武器や防具が並んでいて、どれも目移りしてしまう。カウンターにはこちらをじっと見ている店主がいた。どの武器が良いのか分からないし話しかけてみよう。

「こんにちは。武器を探しているのですが、どれが良いか分からなくて。」

ジロリと店主が睨みつけ俺を観察する。

「お前さん、武器は何を持ちたいんだ?」

そう言われてみると、考えていなかったな。

「手持ちがあまり無いので、短剣かなと・・・」

そう伝えると、またも鋭い目をこちらに向けた。

「お前さん、武器って物は何でも良いてもんじゃない。相棒なのよ?分かる?・・・・」

さすが、職人だ。武器の説明を熱く語っている。そういえば現世でも道具を大事にして長く使うと自分の手の様に扱えてたな。そう言う事なんだな。

「お話はよく分かりました。けれど、俺には余裕がくて・・・」

話の途中で視界の端に何かを感じた。俺は気配の方へと足を運んだ。そこにあったのは刀身は紅く、柄には輪が付いた双剣が飾られていた。

「お前さん、コレが気になるのか?」

店主の問いかけに俺は目を輝かせて頷いた。

「コレはかなり前からここに飾っているが誰も買っていかないし、そろそろ処分を考えていた所だ。

欲しけりゃ、金貨1枚で譲ってやってもいいが。」

それを聞いて、俺は食い気味に言った。

「コレを売ってくれ!!」

買い物に満足し、金貨を支払って店を出た。上機嫌でギルドへ向かう途中で小さな女の子が俺にぶつかって来た。

「大丈夫か?」

そう言うと、今にも泣き出しそうな顔をしていた。

「お母さんを助けてください!」

事情がありそうだな。詳しく聞くため少女と母親の元に向かった。

 話を聞くと、随分前から体の具合が良くないらしくギルドへ薬草の採取依頼を出しても誰も受けてくれないみたいだ。日に日に具合が悪化する母を見てられず、自分で森に行こうとしていた所に俺とぶつかったのだ。と説明してくれた。

「何かの縁だな。俺は明日、薬草の採取を受ける所だったんだ。」

そう言うと少女は嬉しそうに頼んできた。

「お願いします!どうか、お母さんを助けて下さい!」

明日の予定だったけど、急いだ方が良さそうだな。あまり時間がなさそうだ。

「この後、予定もないし今からギルドで依頼を受けてくる。少し待っていろ。」

少女はコクリと頷いた。

 急いでギルドに向かい、薬草採取の依頼を受けに行った。

ミラファから詳しく説明を受けて薬草の特徴とかを聞き、森へ向かった。 森へと入り薬草が生えていそうな所を隈なく探し、ようやく1つ薬草を見つけた。

依頼内容は薬草3つだったが、多めに採取しておこう。コレは?アレは?と色々な薬草らしき植物を見ていたら、突然「スキル、『鑑定』を入手しました。」

新しいスキルが手に入った。『鑑定』のスキルは有難い!迷わず薬草を見つける事ができる。

 鑑定スキルのおかげで、あっという間に依頼分以上の薬草が手に入った。これで、あの子も安心だろう。そう言えば、新しい武器を鑑定してみるか、気になっていたし・・・

「鑑定!」

 双剣を鑑定してみた。

「双剣、『心炎のダガー』魔力を込めると切れ味が倍増する。装備状態で火炎魔法を1回発動で刀身に同じ効力を纏い、維持出来る」

えっ!?コレってチート武器じゃないの?強すぎない?

しかし、まだ火炎魔法を覚えていないしな。魔力を込めて切れ味増加ぐらいは使えそうだ。

「さて、そろそろ帰るとしよう。依頼は終えたし長居は無用だ。」

森を進み、歩いていると草むらから魔物が現れた。狼の魔物だ!

かなり威嚇していて、今にも襲って来そうだった。武器を構え、睨み合いが続いく・・・

しびれを切らし、魔物が飛びかかってきた。噛みつきに来ているがこの展開は、切り付けても武器を受け止められる展開だ。アニメで何度もみたから分かるのだ。

俺は切り付けをやめて、下から顎を突き刺す事にした。コレが決まり、狼の魔物を倒す事ができた。

「レベルが上がりました。スキル、『双術』を入手しました。」

レベルが3になって双術のスキルが手に入った。魔石もコウモリより大きくないか?

また呼び出されてしまいそうな・・・面倒だが仕方がない。

魔物が飛び出した先にスライムが倒れている。

「消えてないから、まだ生きているのか?」

下水道のクエストで水属性の魔法を使える様になっているし、魔力を操作してスライムに水魔法を少しかけた。お花にお水をあげるイメージで。

「スキル、『魔力操作』を入手しました。」

この世界は何かをするとスキルが手に入る仕組みなのか?けど、どれもレベルがあるみたいだから使いこなさなきゃ意味が無いのだろう。スライムに水を与え様子を見ていたら、傷が癒えて元気になった。俺の存在に気づき怯えているが、俺が治してくれたことに気が付いたみたいだった。

先程とは違い、今度はベッタリとくっ付いてくる。

「スキル、『テイム』を入手しました。」

テイム?確か、魔物を仲間に出来る能力だったよな?スライムを仲間に出来るのか?

このままにしておくのも心配だし、仲間にするかな。

「お前は俺の仲間になりたいのか?」

念話でスライムに話しかけた。すると、スライムは飛び跳ねてた。

「わーい、仲間になる〜。」

仕方がない、それではテイムするか。スライムに手をかざし唱えた。

「テイム!」

スライムの体が光り始めた。何やら名前を付けて欲しそうに見ている。

「よし、決めた。お前は今日から『ラム』だ。よろしくな。」

ラムを肩に乗せて街へと帰った。

ギルドへ到着し依頼完了の薬草を納品して、魔石も買い取ってもらった。

ミラファは俺の肩に乗っているラムを見て、色々聞きたそうだが何も聞かなかった。

「アキラさん、ステータスの更新をしますのでこちらにお願いします。」

言われた通りに指示に従った。スキルも増えたし更新しておく方が良いだろう。

「後1つ依頼を完了してランクアップになります。」

正直、ランクを上げる事はどうでも良いのだが受けれる依頼が増えるし、報酬も上がるからよしとするか。

「あの、ちょっと聞いても良いですか?薬草をどの様に薬に変えるのですか?」

俺は少女が薬草だけで、良いとは思えなかった。

どうせなら、すぐに使える様にしてあげた方が良いはずだ。

「薬草を乾燥させて、粉にします。そこに高純度の水に溶かすとポーションが出上がります。

何をしようとしているのですか?」

ミラファは俺に冷たい視線を向ける。

「いや〜、依頼者の少女は薬草の依頼だが、薬にする手間を省いてあげようと思って・・・」

そう言うとミラファは笑顔で教えてくれた。

「ポーション作成は商業ギルドに登録が必要になります。」

 勝手に作って売ったり、あげたり出来ないように管理しているんだな。

どの世界も一緒なんだな。まぁ色んなものを作って売れるなら仕事になるしアリだな。

「ミラファさんありがとう!早速商業ギルドに登録してくるよ。薬草3つは依頼者に届けてくるね。」

報酬と魔石の金貨を貰って、ギルドを後にした。

急いで、少女の家に向かい薬草を届けてからその足で商業ギルドに向かった。

「ここが商業ギルドか。」

扉を開けて中に入り、受付に向かった。

「ようこそ、商業ギルドへ。本日はどの様な御用件でしょうか?」

冒険者ギルドはネコの獣人で商業ギルドはウサギの獣人か。

「ギルド登録をしたいのですが。」

受付に伝え、登録料を支払った。

「では、こちらに記入していただき、ステータスの登録をします。」

冒険者ギルドと同じだな。仕事先が増えるのは良い事だ。

ステータスの登録も終わり、諸々の手続きも終わった。

「こちらが商業ギルド証です。無くさない様にお願いしますね。

私はラビリーヌです。以後お見知りおきを。」

丁寧な説明を受けて無事登録できた。

明日には少女にポーションを渡したいし、早く戻るとするか。

「ラビリーヌさん、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」

そう言って、ギルドを後にした。

 家に着き、アーシャとラムとご飯を食べてから、ポーション作りに取り掛かる。

道具は帰りに、店に寄り一通り買ってきたから大丈夫だろう。

まずは薬草を乾燥させるんだったな。鑑定スキルで20個ぐらい手に入ったから問題なし。

スライムには水分吸収と保湿させるスキルが確かあったような・・・ちょっとやってみるか。

「ラム!水分吸収って出来たりするか?」

ラムに聞いてみた。

「あのね〜出来るよ〜。」

これは良い!早速薬草を10個、ラムに渡して水分吸収をやってもらった。

良い具合に乾燥したな。コレを買ってきた道具で粉にする。胡麻を擦っている気分だ。

後は高純度の水が必要って言ってたけど、どうするかな?

それと配合がどれぐらいの割合かな?まるで理科の実験みたいだ。

 アーシャの水魔法に俺の魔力操作で水を出し、コップ1杯に対して薬草の粉をスプーンで2杯。

しっかり混ぜて最後は鑑定!!

 結果は『薬草汁』だった。一回で成功はしないだろうしトライアンドエラーだ。

アレコレ試して、水を変える事にした。スライムは水を濾過すると言う事を思い出した。

これもアニメの受け売りだが試してみる手はない。

 魔力操作で出した水を沸騰させて、気化した水滴を容器に貯めてラムに与える。

そしたら、最後はラムからコップに水を入れてもらい完成!

「ラム!頼むぞ。」

コップに水を入れてもらった。

コップを5個用意して、薬草の粉を2杯、4杯、6杯、8杯、10杯と色々試した。

よく混ぜてからそれぞれを鑑定した。結果は10杯入れた物がポーション?の様になっていたが、よく見るとハイポーションと出ている。コレは凄い!実験は成功だ。

「スキル、『薬師』を入手した。」

 早速、届けるとするか。きっと喜ぶだろう。俺は、急いで少女の家に行き、戸を叩いた。

何やら様子が変だった。泣いていたのか?涙が流れた跡をつけた少女が出てきた。

「どうしたんだ?薬草を薬にしたのではないのか?」

 少女に聞いた。

「お薬が出来るまで時間がかかるって!お母さんがグッタリしてお水も飲めないの・・・」

俺は急いで家の中に入った。2階に上がり、母親の寝室に向かった。

母親の前に行き、様子を見るとかろうじて息はしているが、体力はもう限界に来ていた。

母親の体をゆっくり起こし、持ってきた『ハイポーション』を飲ませた。

緑色の光が母親の体を包み込み、顔色が見る見る良くなってきた。

「もう大丈夫。お母さんはきっと良くなる!だから、安心して君も休みなさい。」

 母親の顔を見て安心したのか、そのまま眠ってしまった。

明日の朝には目が覚めるだろうし、食べる物でも作っておくとしよう。

 キッチンに向かい簡単ではあるが、パンとスクランブルエッグを作って置いておいた。

メモを残しその場を立ち去った。

 朝になり、母親はハイポーションのおかげで目が覚めた。いつもの様に食事の支度をする為キッチンに向かった。そこにはすでに食事が用意されているのを見て驚き、昨晩のメモを読んだ。

「娘さんの必死の願いを聞いたまでの事だから気にしなでください。

報酬も受け取ったので。だから、ゆっくり体を治して安心させてやってください。

念の為に薬を1つ置い行きます。」

 母親は、メモを握り締めて涙を流しながら感謝の言葉をいつまでも言っていた。

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