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第11章・久しぶりの探索へ・

 ある程度の商品が大量に出来上がった。

モーナリに『ハンドクリーム』を渡してから1週間が経った。結果も気になるし尋ねてみよう。

 モナーリの家に着き、ドアをノックした。

「こんにちは。アキラです。」

 しかし、応答がない。留守なのか?仕方がない冒険者ギルドにでも寄ってみようかな。

そう思い、ギルドに向かって歩いてたら何やら中央広場で人だかりが出来ていた。

「なんの騒ぎだ?」

 人だかりを掻き分けて、様子を見に行ってみた。モナーリを中心に女性たちが取り囲んでいる。

「ちょっと!その手はどうしたの!?スベスベじゃない!」

モナーリの手の潤いに街の女性達が必死になって聞き出そうとしていた。

モナーリは俺に迷惑が掛かると思ったのか、黙っている。

迷惑でもなんでもないし、この状況を作ってしまったのは、俺のせいでもある。

「やぁ!モナーリさん。探しましたよ。試してもらっていたクリームはどうでした?」

周囲に割って入りモナーリに話しかけた。少し、静まり返ったのでモナーリの手を取り更に話を続けた。

「良い感じにスベスベになりましたね。大成功ですよ!」

話を聞いていた女性たちは口々に「私にもちょうだい!」と言って収まりそうにない。

「このクリームはまだ試作段階で、モナーリさんに協力してもらったのです。完成したらちゃんと皆さんにも手に入る様に考えますので待っていてください。」

そう言うとようやく、事態は治まりひと段落した。

 俺はモナーリにお礼を言って、また持っていくと約束しギルドへと向かった。

冒険者ギルドのドアを開けて、受付のミラファに挨拶し最近の状況を教えてもらった。

「最近、東の森『深緑の森』でドラゴンの目撃情報が入りました。

その森は別名『エルフの里』と呼ばれていて、一度入ると出る事が困難と言われてます。」

 ドラゴンにエルフか、確かに厄介かも知れないが知らない知識が手に入るかも知れないと思って

俺は行ってみる事にした。

「ちょっと行って来ますよ。状況を確かめたいし。」

ミラファにそう告げて、早速準備をして街を出た。

東の森へ向かう道を進み、歩いていると荷馬車が盗賊の襲撃を受けていた。

護衛の戦士は殆どがやられてしまっていて、残り一人になっていた。

一人で応戦しているが全滅は時間も問題だった。俺は『アサシン』のスキルを使い盗賊の背後から一気に奇襲をかけて盗賊の人数を減らし、護衛に助太刀した。

奇襲のかいがあって盗賊を全滅する事ができ、持っていた『ハイポーション』で怪我人の治療を始めた。

馬車からは貴族と思われる女性が降りて来て、お礼を言った。

「危ない所をお救い頂きありがとうございます。私は、アンナ=グレイシスと申します。」

俺は先を急ぐので、名前だけを言ってその場を立ち去った。

東の森の入り口付近でエルフと人が争っていた。どちらに加勢すれば良いのか分からない状況なので、

しばらく様子をみる事にした。先ほど助けた護衛は確か耳が尖っていたな。あれはエルフだったのか。

明らかに盗賊に襲われている感じだったが、ここにいるエルフは仲間を逃す為に戦っているのかも知れないな。人の方は明らかに盗賊風情だし、馬車を大事そうに守っている感じだな。

とりあえず盗賊を片付けるとしよう。心炎のダガーに『火炎魔法』のフレイムボムを使い、攻撃を開始した。爆風に合わせて『アサシン』を使い殲滅した。

エルフ達が俺に近づいてきた。俺に敵意がない事を伝えて事情を聞いた。

「我らの姫が隣国に加勢を求めに向かって行かれ、我らは族から子供達を取り返す為戦っていたのだ。」

なるほどな。エルフに加勢して良かったみたいだな。それでは荷馬車に捉えられている子供達を解放した方が良いな。馬車の隅に隠れている奴隷商の親玉を見つけて、鍵を渡す様に言うと、まだ諦めていないのか強気な態度で怒鳴ってきた。

「やれやれ、往生際の悪い。」

俺は殺気を全開に出して武器を親玉の首筋に当て睨みつけた。親玉は泡を吹き気絶してので、縛り上げてエルフに引き渡した。扉の鍵を奪いエルフの子供達を解放し事なきを得た。

「あなたは、どうしてここへ?」

エルフの隊長に聞かれた。

「どうやら、この森にドラゴンが出たらしく、様子を見に調査へやってきた。」

そう答えると、エルフの隊長は色々と教えてくれた。

「まだ、名乗っていなかったな。俺はこのエルフ軍の隊長でファシアスと言う。よろしくな。ドラゴンの事だが、エルフの森の奥深くに棲家がある。遥か昔よりこの地を守ってくれている、我々は敬意を持って神の様に思っている。」

 しかし、なぜ上空を飛んでいるのか?目撃情報も最近になって出てきた話だが。

「人間が龍の棲家を荒らし、追いやってしまったのだ。それだけにとどまらず、我ら種族の子供達を攫って行き先程の状況になっていたのだ。皆も無事に入れたのは貴方のおかげだ。感謝する!」

ファシアスの話を聞いて、事の事態を把握した。

「俺の名はアキラだ。よろしく。それに、色々教えてくれて助かる。俺は龍の棲家へ向かいたいのだが、森に入っても良いだろうか?」

ファシアスは一人で森に入る危険を教えてくれたが、悪い人間のせいで印象が悪くなるのは嫌だった。

「すまないが、放っては置けない。」

そう言うと、ファシアスは俺を信用してくれた。

「アキラは我々を救ってくれた。それにお礼もしたいと思っている。そこで、森の案内を一人付けさせてくれ!用事が済んだらエルフの里へ立ち寄って欲しい。歓迎するぞ!」

ファシアスの好意を有り難く受け取る。それにしても案内役に誰が付いてくれるのか?

「よろしくお願いします。アキラさん。」

エルフの女性戦士が案内役を引き受けてくれた。

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

「私はエルフ軍の索敵担当と狙撃を任されています。ルーシャです。」

索敵と狙撃は有り難いな。ひとまず龍の棲家へ行きたいと伝え案内してくれた。森の奥に近づくにつれて霧が濃くなってきた。辺りを見渡すと、戦闘があったであろう残骸が一面に広がっている。

「もう、近くまでは来ているようだな。」

一瞬も気が抜けない状況だった。更に奥へと進むと大きな木が聳え立ち、洞窟の様な入口がある。

「ここが龍の棲家に違いない。」

入口の前で周囲を観察していたら、木の影から大人数の人間達が現れた。

懲りずに龍の棲家を荒らそうとしている。上空には龍が旋回し威嚇を続けていた。

俺は躊躇なく人間を次々に倒し、鎮圧した。

龍の棲家から何やら鳴き声が聞こえてきて、確かめるために近づこうとする。

それを見た龍は俺へと攻撃を仕掛けて来た。

「まて!俺は敵じゃない!」

そう言っても興奮が収まらない龍は立て続けに攻撃を続ける。攻撃を回避し、体制を立て直す。

すると、龍は入口を塞ぐ形で地上に降りてきた。ようやく話が出来るかもしれない。

「少し話を聞いてくれないか?俺は敵じゃない。」

龍に念話で会話してみた。

「お前達、人間の話など信用できない。」

何があったのかは分からないが、ここに来た理由を話した。

「人間達が棲家を襲い、荒らした事を聞いて少しでも元に戻せればと思いここまで来た。数々の人間の行いで信用できないのも分かる。けれど、一度だけちゃんと話をさせてくれないか?」

変わった人間だと思ったのだろう。少し、龍の殺気が和らいだ。

俺は安心してもらう為にアーシャとフィレンに出て来てもらった。

「なぜ、龍族が人間と一緒にいるのだ?」

俺はアーシャとフィレンとのこれまでを話した。

すると、俺に何かを感じたのか穏やかな様子で話してきた。

「お前からは嫌な気を感じない。我も一緒に行ってやりたいが、今しがた子が卵から孵ったようだ。

2つの卵が孵化したが、この世界ではどちらか一つしか守ってやることが出来ない」

人間や他の種族からも狙われると言った様子だな。折角生まれて来たのに、理不尽すぎる。

「お前なら信用できそうだ。我が子を連れて行ってはくれまいか?」

俺もその方がまだ守ってやれそうな気がした。

「我は風を司どる龍。ウィオネス。お前はなんと言う?」

「俺はアキラだ!よろしくな。」

風龍は俺を棲家の中へと案内し、子の元へとやって来た。

「我はアキラに子を託すが、子が受け入れるとは限らん。」

 試されているみたいだな。それもそうだ。子龍の意思があるだろうし、拒まれるかもな。

2匹の子龍の前に行き、俺は右手を差し出した。

左の子龍に手を差し伸べたが見向きもされない。今度は、右の子龍に目をやった。

少し痩せていて、何処となく元気が無い。俺の目からもこのままでは長くはないと言った様子だった。

「俺と一緒においで!元気になって又お母さんに会いに来よう!」

そう言って、頭の上に手を翳した。すると腕の文字が光り始め俺と子龍は繋がりえを感じた。

「スキル、『風龍の加護』を入手しました。」

「どうやら、認められた様じゃな。我が子を頼んだぞ!」

母龍が安心した感じで、俺に小龍を任せた。

「名前は母龍にちなんでウィネアでどうだ?」

子龍は擦り寄ってきた。懐いてくれたのかな。

「フィオネス、約束だ。子龍は必ず無事に預かる。それと、また会いに来る。」

フィオネスと約束を交わし、ルーシャの案内でエルフの里へ向かう事にした。





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