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マジェスティア・アエラ ~希望したチートアイテムはレベル1から上がらない異世界でのんびり過ごせるブレスレットひとつだけ~  作者: 園之野希乃路


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14.冒険者ギルドに行こう(4)

愛犬のおもちゃくらい堅いのが作れるリリアン編み機、売ってないかな。


「でも、なんで冒険者ギルドにこだわったんだ?

長男なら家業を手伝うなど、仕事には困らないと思うが、手元の資料をみると、どうしても冒険者ギルドに登録したいと言って聞かなかったとある。」


受付は壊れかけているアゼリアを無視してつぶやいた。


それはもう、痛い少年決定だね。


「今の俺は、もう冒険者にこだわってない。いまからギルド登録は取り消せるの?」


「できないこともないけれど、理由なく自分から取り消すと、再登録はもちろん、よそのギルドにも登録できなくなるし、何の仕事をするにも汚点としてついてまわる。」


うわっ厳しいね。実質上不可能って事みたいだ。


「でも冒険者ギルドにもできる仕事はいくらでもあるぞ。外の依頼掲示板のGランク依頼の所を見ればいい。討伐依頼はないけど、それなりの収入になる仕事はある。」


受付はそういってエントランスの方を指さした。


「そこでこれなんだが……。」


そういうと奥の部屋から持ってきたカラフルな組紐をテーブルの上に置いた。


どう見ても子供のおもちゃにしか見えない。どう遊ぶのかと聞かれても困るけど。


「これは正確な内容確認はできないが、おおよその保有スキルがわかるって簡易鑑定アイテムだ。初級者はまだ自分のスキルを見られないからな。

本人に魔力がなくても動作するように作られている。記録によると『属性なし』以外に、『スキルなし』『魔力量ゼロ』とある。確かにスキルが無いんじゃ属性以前の話で、仕事も限られるが、『属性を持たないスキル』というのもあるからな。

神殿が間違った可能性がないか、試してみるか?」


「なんだ?冒険者ギルドは神殿任せで、スキルを調べてなかったのか?」


初心者向けの話に興味をなくしていたアゼリアがスキルの話になった途端、「ん?」という顔をして割り込んできた。


「ああ、スキルは神殿の証明書をコピーしているだけだ。他人のスキル鑑定ができる職員なんていないしな。それに普通、冒険者は開示したがらないだろう。だからランクの決定は実績で判断してる。」


「ふん、そんなものか。」


それでアゼリアは簡単に納得したようだ。


「そういう、素っ気ないそぶりも素敵だなぁ。」

ため息をつくようにつぶやいたら、

「うっ、私のアゼリアちゃん、そういういきなり横からの攻撃は反則よ。」

と、人差し指を立てて、僕の口元に近づけた。


それを無視して、受付に「じゃ簡易鑑定、お願いします」と言うと、組紐の端と端を両手で持ってしばらくそのままにしているようにと言われた。


両手でぐっと握ったら、いきなり目の前が真っ白になってなにも見えなくなった。


いや、見えなくなったんじゃなくて、みんな白だったから区別がつかなかっただけで、なぜか、ジョウロを手にした神の国の案内人セシルフォリアさんが、フンフン鼻歌を歌いながら、真っ白い花が咲いている、白い植物に水をやっているところだった。


その光景は一瞬で消えて、目の前には組紐があった。なんだったんだあれ…。


受付がもういいというので、組紐を机の上に置くと、さも残念そうに口を開いた。


「やはり『スキルなし』だったな。何かのスキルがあると、組紐の色がそれなりに変化するんだ。」


テーブルの上の呼び出しリンちゃんが悲しそうな目になった。

アゼリアの真似して、頭の出っ張ったところを叩いてみたら、「りーん」と明るく叫んでくれた。良かった元気だ。…おもちゃにするなと受付に怒られた。


でも、『スキルなし』と言われても少しもがっかりはしなかった。セシルフォリアさんに、チートスキルはいらないって言ったのは僕自身だからね。もしかしたら普通のスキルならあるかもって思って確認しただけ。


「納得しました。ああ、もうひとつ質問があった。それならスキルだけじゃなくて、魔法アイテムを持っていても『属性なし』『スキルなし』『魔力量ゼロ』じゃ魔法は発動できないってこと?」


「ん? 私のテムリオちゃんは、魔力付与アイテムを持ってるの?」


鋭いね、アゼリア。


レベル1固定のチートアイテムだけどね。しかもいまは行方不明だし。どこにあるんだろ、あれ。


とりあえず、ブレスレット欲しさにねだったチートアイテムの事は恥ずかしいから黙っていよう。


「持ってないけど、もし手に入るとしたら使えるのかなーって。持ってればスキルなくても、そこそこの冒険者になれるんじゃないかって思っただけ。」


持ってても冒険者にはなりたくないけどね。怖そうだもの。


すると受付が気の毒そうに否定してきた。


「そうだな、魔力付与アイテムは、使う側に対応スキルがなければ発動しないから、たぶん無理だと思うぞ。

そもそも魔力付与アイテムを持った白色冒険者なんて過去にいなかったろうから、誰も確認したことはないと思うが。」


ごもっとも。『属性なし』で『スキルなし』の僕が、神から授かったチートアイテムを持っているのは異世界初の事だろうから、誰も知らないよね。


『白色では発動しないチートアイテム』じゃ、付与詐欺みたいなもんだけどね。

でも十分この異世界はのんびり過ごせそうだから、いらなかったかも。

少しくらいは役に立つスキルをもらっておけば良かったよ。

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