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魔術師たちよ  作者: 八神あき
二幕 ショルツ邸にて
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復活

 アルフレッドは五人がかりで押さえつけられていた。

 両足がおられ、腹も殴られ内臓が潰れている。口から血を流しながらもまだ抵抗を続けていた。


 ユーリはそうそうに降参していた。両手をあげてひざまずいている。


 この場のリーダーであるランダがアルフレッドの前に立つ。

「あんた、アルフレッド・ドゥーランだろ」

 アルフレッドは暴れるのをやめ、殺意を込めた視線を向けた。


「あたしたちは何も皆殺しにしようってんじゃない。むしろ、新体制のためにも、魔術師の協力者は必要だ。ホムンクルスに好意的なルグラン家とか、現体制を恨んでる魔術師とかな。逆に既得権に浸かることしか考えてないドゥーラン家なんかはダメだ。お前も嫌いだろ、ドゥーラン家」

 アルフレッドは何も言わずに聞いている。ランダはそれを肯定とみなした。


「こっちに来い。ここで死んだってつまんないだろ?」

 舌打ち。

 視界の隅でユーリが泣きながら首を振っていた。反抗するなと目で訴えている。


「言っとくが、学園からの助けは来ないぞ。そっちも同じ状況だからな。これで国内の戦力は壊滅。もちろん、各地に駐屯している部隊への対処も考えてある。このくだらない世界を変えたいと思わないか?」


 アルフレッドの瞳がわずかに揺れる。

 ランダは優しい微笑を浮かべた。

「だから来いよ、"シュディックの誓い"へ」

「……シュディック」

「そうさ。魔術師へ反旗を翻した偉大なる一族。知ってるだろう?」


 アルフレッドは、笑う。大声で、高らかに。

 血を吐きかけた。


「失せろ、三流が」

「そう。残念」

 ランダは手刀でアルフレッドの心臓を貫いた。


 ユーリは目を伏せた。

 恐怖で体が震える。涙があふれて止まらない。

 ランダはゆっくりとユーリに近づいていく。

「さて、あなたはどう?」

「なる! なります。仲間になります。だから殺さないで!」

「そう。よかった」


 ユーリはおずおずと顔をあげる。

 ランダの顔が目に入った。

 その背後で、ホムンクルスたちが倒れていた。

「え?」

 アルフレッドの死体もない。

 そこで気づいた。魔力が正常な状態に戻っている。


 魔法が使える。


 ランダはいぶかしみ、ユーリの視線を追った。

 黒い触手がランダの足をつかんだ。

「くっ!?」

 床にたたきつけ、振り回す。三本の触手で全身を拘束され、宙吊りにされた。


 アルフレッドが幻覚を解き、ランダの前に現れた。足は折れ、血は流しているが、手刀による傷はない。

 触手の一本に、玉座のごとく腰掛け、傲然と敵を見下ろす。

「残念だが失敗だ。三流テロリスト」

 空気を操り、ランダの意識を奪った。


 生かすのはひとりでいい。

 他の敵を使い魔で皆殺しにする。

 敵がいなくなった途端、気力の糸が切れた。その場に倒れ込む。


「あ、あ、あ……っ アルくんんんん!! 怖かった、死ぬがとおぼったあああ!!」

「お前、寝返ってなかったか?」

「一生ついていきばず!!」

「迷惑だ。いっででで」

 ユーリに抱き着かれ、傷が痛む。


 引き離したいがそんな力もない。

 触手の悪魔に周囲を守らせ、もう一匹の悪魔を召喚。


 人の背丈ほどの翼竜があらわれる。視界を共有し、飛び立たせた。

 爆発でできた穴を抜ける。窓を突き破り、外へ。パーティ会場の壁を見下ろす。

 爆発性の鱗粉を発生させ、壁を破壊した。


 悪魔の目を通し、会場内の人間たちが逃げ出すのが見えた。遠くには騎士団もいる。

「あとはてめえらでなんとかしろ! 俺はもうなんもせんぞ!」

「なんで急に叫ぶの? 頭うった?」

 ユーリの声を聞き流し、アルフレッドは意識を手放した。

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