妖狐
「鈴 週末 玉婆に会いたいって伝えて来て」
竹筒を開け管狐の鈴に話しかける。
玉婆とはこの辺りの最古参妖狐だ。
『お昼の坊ちゃんのことですか?』
「そう」
『鏡様の関係者かと……』
鏡様というのは玉婆の孫に当たる妖狐だ。
昔綺麗な男性に惚れて番となったと聞いたことがある。
「そうなのか?」
妖狐・鏡は子供を産んだ後妖力をかなり失い、宮の裏にある祠で眠っていると聞いたことがある。
『それではちょっくら行って聞いて参ります』
管狐の鈴は俺のお守りだった化け猫の九重郎がいなくなってから持たされている連絡係だ。
管狐は妖狐の眷属で言われた事をきちんとこなす。
鈴が出て行ったのを確認して、俺は璃白を呼び出す。
璃白は精霊神の子供である。
左手首が薄く光る。
「ねぇ璃白。今日の嘉神陽真って何者?」
『何かの精霊の末裔だな。眼光が鋭かったから気を付けろよ』
「気を付けろって?」
『取り込まれるぞ』
「脅すなよ! 森の皆は元気かい?」
『あぁ元気だが、玄黒様のことで相談があるって玄白様が言ってたよ。
いつでも良いので東の森に来て欲しいって』
「了解」
光が消え璃白は森へ帰って行く。
璃白は元御神木神・玄白様が作り出した精霊神で俺が名付け親になった。
その為、大きな力を持ち将来は東の森の精霊王になる。
今は東の森の頭である鵺殿の下で修行中だ。
名付けた時に俺の左手首に印を結んでいたので、緊急時にはこうやって繋がることが出来る。
兵藤剛志・嘉神陽真どちらも手強そうだ。
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