巡らせる思い (剛志Ver)
今回のお話(剛志Ver)は 兵藤剛志の視点で描かれています。
「色々聞きたいことが山のようにあるんだけど……」
「時間があるなら、週末俺の実家に来る?」
僕が尋ねるとそれだけ言って、二人とも黙ったまま校内を歩き回る。
( 彼の実家?
たしか陰陽師がいるって言ってた? )
頭の中がグルグルと回って、思考が破裂寸前だ。
僕は中学に入ると急に体調を崩し初めた。
癌が僕の肝臓に出来ていた。
それで、急遽中学2年で母親から肝臓の一部を貰い、生体肝移植を行った。
今でもその判断が正しかったのか悩んでしまう。
一時退院した僕の誕生日、本当に母は嬉しそうだった。
忘れられない笑顔だった。
僕のために切り開いたお腹。
これから一生をかけて恩返しすると思っていたのに……
その次の日に母は交通事故に遭い亡くなってしまった。
どうしても自分のせいに思えてしょうがない。
今は母方の祖父母と暮らしていて、離婚した父親とはほとんど会っていない。
向こうにはもう新しい家族がいるようだし。
彼は週末いつも隣県の実家に帰っているようだ。
ついて行くべきか?
信用出来るのか?
でも、逢えるのならもう一度母さんに逢いたい。
ミステリー倶楽部に入って色々話を聞いてみようか?
読んで頂き有り難うございます。
感想等いただけると幸いです。