倶楽部Ⅱ
柏木さんという先輩が話し出す。
「後の一人はほとんどここに来ないし、
まぁ、三年生は自由だからほとんど来ないけど、二年生はあと四人ぐらい来るわよ」
「君たち不思議君だから、ミステリー倶楽部に入らない?」
嘉神部長が俺と兵藤君を下から覗き込みながら戯けた顔で勧誘する。
「不思議君って……」
兵藤君がふて腐れた表情で呟く。
「写真視るとどっちも結構不思議君じゃん」
「写真にも写るの?」
「お前は視えないもんな!」
嘉神先輩が宝生先輩の頭をポンポンしている。
「普通の人は視えないの!普通の人が大半なの」
宝生先輩がいじけて叫ぶ。
廊下にちらほら生徒が集まり始める。
「桂木先輩は視えるんですか?」
兵藤君が聞く。
俺の見立てでは半分?
「ウーン、私は色が見えるだけなの」
「色?」
「良く言われるオーラってやつだよ」
代わりに宝生先輩が答える。
「二人とも変わっているわ。あなたは嘉神君と色が似ている」
「あっ、俺は千義璃桜といいます。一年七組です」
「僕は兵藤、兵藤剛志です。僕も一年七組です」
「ふ~ん」
「一週間あるからよく考えて入部届だしてね!」
教室を出ようとすると嘉神先輩が用紙を渡してきて笑顔で手を振る。
振り返るとカメラ倶楽部の方に数名入って行く。
そして、ずっと俺を睨む兵藤君が後をついて来ている。
俺はゴタゴタに巻き込まれるのを避けるためにこの高校に入ったのに
最初から巻き込まれた感が半端ない。
読んで頂き有り難うございます。
感想等いただけると幸いです。
嘉神陽真部長の家族の話は「森の童子」という作品になります。
よければ読んでみてください。