倶楽部Ⅰ
彼は不思議な顔をしたまま俺を見つめている。
その間にも彼の母親が早口で話しかけてくる。
『この子小学生の頃から体調が悪くなって、中学で手術したのよ。
生体肝移植って解る?私の肝臓を剛志にあげたの。
その後に私が交通事故に遭ったんで、自分のせいで私が死んだんじゃ
ないかって気にしているのよね』
「あの何で妖狐の姿で、腰に引っ付いているんですか?」
『それは私にも解らないの。この子の中にある私の肝臓が関係しているんだろうけど?』
漸く彼が話し出す。
「ようこって何?君って何者?」
「陰陽師って解る?詳しい話は放課後でいい?先に倶楽部決めよう」
俺が歩き出すと彼は渋々と付いてくる。
人気なのは本を読むだけの文芸部が一位、次に軽音楽部、将棋囲碁倶楽部、天文部など……
彼が立ち止まったのは“カメラ倶楽部”の同部屋の“ミステリー倶楽部”
部屋の中で三人ほど本を読んでいる。
新入生はまだいないようだ。
その三人に向って突然剛志君が
「幽霊っています?」と尋ねた。
俺は頭を抱える。
「いるよ。僕視えるし」
奥にいた眼鏡の君が答える。意外な答えが返ってきた。
「僕の名は嘉神陽真。ミステリー倶楽部の部長で三年生」
彼はうっすらと光を身体に纏っていた。
《 ほう!彼は精霊の血筋だな 》
左手首が熱くなり頭の中に言葉が届く。
《 意外と多いのか?俺達みたいな人間? 》
俺が尋ねたその瞬間、嘉神が突然チェキで俺達の写真を撮る。
「“ようこそ” で良いのかな?」と言いながら写真を俺に渡してきた。
兵藤君が写真を覗き込もうとする。
「なんか君たちの身体から感じれるものがあったんだけど」
嘉神部長がニヤリと笑う。
写真には、俺の左手首と兵藤君の腰に白い靄のような物が写っている。
窓辺にいた先輩が雑誌ムーを持ちながら近づいてきて写真を覗く。
「なんにも写ってないじゃん」
「月羅はまったく不可思議を視る力ないから」と嘉神部長は笑う。
「僕はカメラ倶楽部の部長で宝生月羅と言います。今カメラ倶楽部員は十五名。そして、彼女がミステリー倶楽部二年の桂木星良くん。部員は今何名?」
「三名だけど君たちはどっちに入部?」
写真を兵藤君に渡すと驚いた顔をして穴が開くように見つめている。
兵藤君には視えるだろうか?
読んで頂き有り難うございます。
感想等いただけると幸いです。
嘉神陽真部長の家族の話は「森の童子」という作品になります。
よければ読んでみてください。