言霊の少女 弐
第壱章の完です。
第弐章は暫くお待ちください。
「私は汐里。山元汐里。璃桜君は私の大事なものを奪った人なの」
「おい。誤解受けそうな事言うなよ。俺も彼も君の言霊は効かないよ」
「言霊?やはりそうなの?」
「どうしたの?」まったく理解できていない剛志君が口をとがらせている。
「璃桜君に何か奪われたって感覚が残っていたの。
助けられたって感覚もあって……ねぇ、また助けて!」
「何があった?」
「クラスで嫌な事あって“私の事ほっといて”って言ったら皆から無視されるようになったの」
「一度口にした言霊は消える事が無いけど、書き換える事は出来る」
「どうやって?」
「気持ちを込めて“私の事好きになって、友達になって欲しい”って言霊にのせて言えば良い」
「言霊って何?」
「言葉に込められた霊力と言われているけれど、
君が言葉にのせる想い、本気の気持ちが入れば強い言霊になると思うよ。
あまり強くても問題だけど……」
「強過ぎたから私から取り上げたの?」
「たぶん。でもあの時は俺も子供過ぎてよく解んなかった」
剛志君は俺達の会話を黙って聞いていてくれた。
『練習すれば言霊も上手く使えるようになるよ』
初めておばさんが口を出した。
「練習すれば良いって……」
「解った。有り難う。練習してみる」
山元の笑顔はやはり可愛い。
「丁度良いお試しの人々が来た」
「?」
後ろからガヤガヤと先輩達がやって来た。
「なんかやってみてごらん。あんまり効かないかもしれないけど……」
「千義くんの友人の山元といいます。『仲良くしてください』」
宝生先輩に期待していたが、以外と桂木先輩が頬を染めている。
「“言霊”が効いたかどうだか解らないけど、仲良くなれんじゃない」
そう言い、剛志と目を合わせ笑った。
「もしかしてもう一人の仲間?」
嘉神先輩がそう言って俺の顔を覗く。
「えっ!どうでしょう……?」
何かが始まる感覚が皆に伝わった。
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