翼広げて
うまくいかないな。
溜息と一緒に吐き出す。
しんどいな。
心とおんなじように、へにょんってテーブルに突っ伏す。
天板すらも冷たい。
がんばってるのにな。
失敗しても間違っても転んでも、ただひたすらがんばってるだけなのにな。
報われないな。
痛い、な。
毎日毎日毎日毎日がんばってきたけどうまくいかなくて、心がへにょんってなったから立ち上がるにも力が出なくて。
目を閉じる。
大きく深呼吸をひとつする。
頭の中で、鳥を思い浮かべる。
小さいからだで、思いっきり翼広げて、大きい空に飛んでく鳥。
翼、広げなきゃ。
飛び出せない。
目を開く。
背筋をのばす。
へにょんってした心は、どうせ背筋に引っ張られてあとからついてくる。
両手で頬を一回叩いて気合いを入れる。
ぱん!!って、良い音がなる。
立ち上がって、深く息を吸い込んで。
一歩踏み出す。
大丈夫、まだ頑張れる。
あの鳥みたいに、翼広げられる。
涙がひとつぶ落ちたのは、きっと頬を強く叩きすぎたせいだから。
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